“痴”のいろいろな読み方と例文
旧字:
読み方割合
39.4%
ばか12.9%
たわ12.9%
8.3%
おろか7.6%
こけ4.5%
たわけ3.0%
うつ2.3%
おろ1.5%
1.5%
しれ1.5%
おこ0.8%
たは0.8%
つか0.8%
ねたま0.8%
ほう0.8%
ウヂ0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ただ内蔵助が茶屋酒に酔いれながら、片時へんじも仇討のことを忘れなかったように、自分も女のために一大事を忘れようとは思わない。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
精神の混沌こんとんとしている広巳にはものを考える力がなかった。広巳はばかのように女の顔を見た。お鶴がそれをもどかしがった。
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「ナ、何? 壺の蓋をすてたと? 馬鹿者めッ! 棄てたとて、まだお庭にころがっておろう。早々そうそうに拾ってまいれ、たわけがッ!」
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
且つその狂か、か、いずれ常識無き阿房あほうなるを聞きたれば、驚ける気色も無くて、行水に乱鬢みだれびんの毛を鏡に対して撫附なでつけいたりけり。
妖僧記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
我はアルナルドなり、泣きまた歌ひてゆく、われ過去こしかたをみてわがおろかなりしを悲しみ、行末ゆくすゑをみてわが望む日の來るを喜ぶ 一四二—一四四
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
山木はこけのように口を開いて茫失していたが、やがて眼性の悪い細い瞼の間からポロポロ涙をこぼしながら力任せに踏絵を抱きしめ
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「何をたわけ! 迂濶者めが! お師匠の一大事心付かぬか! おろせおろせ! えい戸を開けい」
北斎と幽霊 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
帰りには、チャイニイズ・グロオマン劇場で、オニイルの奇妙な幕間狂言ストレンジ・インタアルウドという映画の封切ふうきりに招待されました。その時はもう、接吻の長さだけ気になる、ぼくは、うつけさでした。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
「恐れ入りまする——かかるおろかしきすがたを御覧に入れまして——」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
その私の眼の前で正木博士は、さもたまらなさそうに腹を抱えた。小さな身体からだから、あらん限りの大きな声をゆすり出して笑いけ初めた。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
卒然として事を做して赫然として功有らんことを欲するは、卑き男のしれたる望みならずや。粗心浮気、筆をも択まず道具をも詮議せざるほどの事にて、能く何をか為し得ん。
鼠頭魚釣り (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
関白の説明汝に聞こうか! 地下侍じげざむらいの分際で、おこがましいことは云わぬがよい。ここに居られるのは殿下の寵臣、不破小四郎行春様だ。
血ぬられた懐刀 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
悩みよ、恐れよ、憂さよ、このたはれ心よ、夢よ——消えて、花となれの切ない憧れであつた。
真夏の夜の夢 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
うづた死屍しかばねうへを×(14)つかれてすゝんだ
しかしながら友人柿丘秋郎の場合にあっては、なんというその身識らずの貪慾者どんよくものであろう。彼は、もう一人の牝豚夫人めぶたふじんというねたまれものと、切るに切られぬ醜関係を生じてしまったのだった。
振動魔 (新字新仮名) / 海野十三(著)
いには円陣までもが身動きもならぬほどに立込み、大半の者は足踏のままに浮れほうけ、踊りほうけていた。
鬼涙村 (新字新仮名) / 牧野信一(著)
二歳ふたつ年齡としから十六歳じふろくになるまで何度見たか知れないこの海を、わたしは畢竟ウヂケデ空虚ボヤラと見て居たのだ。そこの表情には春、雪解けの野原で銀色の草の若芽モエを喰ふ牛のハダ柔和ヤヤシミがある。
地方主義篇:(散文詩) (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)