“し”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:
語句割合
11.7%
10.8%
7.1%
6.3%
4.6%
4.5%
3.2%
3.0%
3.0%
2.9%
(他:1916)42.9%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
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「嘘でかためたにしろ、何にしろ、あれほど義雄さんにいるようにして頼んで置いて、今更そんなことが出来るものだろうか」
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その苦い面を見て、市五郎も話しにくいのをいて一通り話してしまうと、伊太夫の苦い面が少しくけかかってきました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
が、あれはゆきれいがあつて、小兒こども可愛いとしがつて、れてかへつたのであらうもれない。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ぷんびやう遲速ちそく彼方かなた難破船なんぱせんのためには生死せいし堺界わかれめかもれぬ
自分が一緒に追っている時はさのみにも思わないが、遠く離れて聞いていると、寒い寂しいような感じが幼い心にもみ渡った。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
仏名の僧を迎える行事も今年きりのことであるとお思いになると、僧の錫杖しゃくじょうの音も身にんでお聞かれになった。
源氏物語:42 まぼろし (新字新仮名) / 紫式部(著)
するとうま若者わかものまえまでて、ふいにばったりたおれて、そのままそこでんでしまいました。
一本のわら (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
きょうもきょうとて浅草あさくさの、このはるんだ志道軒しどうけん小屋前こやまえで、出会頭であいがしら
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
彼は、そうした一代に期しがたい大業を志すよりも、一事一書に志を集めて一代に成就することを期するにかじと思っていた。
蘭学事始 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
五色の糸の乱れしは美しけれども、実用に供することは赤とか黄とかの一色に決し、ほかは皆切り捨つるにかずと思っていた。
蘭学事始 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
る顔の右から左から見る中を、余は少しは得意に、多くは羞明まぶしそうに、眼を開けたりつぶったりしてせて行く。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
かくて、知らずらず東照宮の鳥居をくぐってしまった時に気がつくと、かぶっていた頭巾に、知らず識らず手がかかりました。
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
彼が、こう聞いたのは、田所種直や稲井瀬ノ五郎や入道永観らと共に、船上山へむかって、野陣をいていた陣場のうちだった。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、敵が耳に眼に知る時は、もう潰乱かいらんされていた。備える間などないし、崩れて、次陣をいとまもなかった。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「處が、先生は何時もやさうな顏をしてお教へになります。そして先生のお教へになることはちつとも身にみません。」
猫又先生 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
いよいよ押借りであると見きわめた番頭は、彼等が何を取り出すかと見ていると、その風呂敷からは血にみた油紙が現われた。
半七捕物帳:40 異人の首 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
半蔵は店座敷の雨戸を繰って、それを一枚ほどめずに置き、しばらく友だちと二人で表庭にふりそそぐ強い雨をながめていた。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
彼が了解したところでは、彼女は数年来、雨戸をめ切って真実の光のさし込まない家の中に、暮らしつづけてきたのであった。
特別に自分を尊敬もない代りに、うおあれば魚、野菜あれば野菜、誰が持て来たとも知れず台所にほうりこんである。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
主「金を人に投げ附けて逃げてく奴があるものか、お名前が知れんじゃアお礼のようもなし、本当に困るじゃアねえか」
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
向うの産科病院の門、珈琲店コーヒーてん、それから柳博士や千村教授がしばらく泊っていた旅館の窓、何もかも眼にみた。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
元の暗闇が帰って来たけれど、皆の網膜もうまくには白光が深くみこんでいて、闇黒あんこくがぼんやり薄明るく感じた。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その中で特に際立って丈の高い孔子の姿を認め得た時、子路は突然とつぜん、何か胸をめ付けられるような苦しさを感じた。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
鉄の桶みたいに、彼を囲んでいる殺気は、彼の白い歯から洩れた冷笑に、ふと毛穴のまるようなものにおもてを吹かれた。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
玄関げんかんさきはこの別室全体べっしつぜんたいめているひろ、これが六号室ごうしつである。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
すなわちそれをふりまいて、人間の徳義心を買いめる、すなわちその人のたましい堕落だらくさせる道具とするのです。
私の個人主義 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
鍋島なべしま唐物からものなにいてるだらう、かこひへとほる、草履ざうりが出てやう
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
その源之助が、あれあざやかに喜三郎の心臓を突き刺す事が出来ると思うかい? 一寸ちょっと六ヶい話だ。
カンカン虫殺人事件 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
寒くないようにわらを敷いて、できるだけ居心地の好い寝床ねどここしらえてやったあと、私は物置の戸をめた。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
昨日に比べるとこれだけの変化を認めた彼は、最後にどうぞという案内と共に、硝子戸ガラスどまっている座敷へ通った。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼はその光る身体で私の原稿紙の上に寝たものだから、油がずっと下までとおって私をずいぶんな目にわせた。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
エルマン氏は、禿げ上つた前額ぜんがくみ出る汗を無雑作に手帛ハンカチで拭きとりながら、ぶつきらぼうに答へた。
老羸ろうるいなほかくの如くにしていささか時運に追随することを得たりとせんか、幸何ぞよくこれにくものあらんや。
桑中喜語 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
自分の乗っている車の運転手から呼び掛けられ、君江はさすがにびっくりはしたものの、知らぬ顔で押通すにくはないと思定め
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
子之介 はあ。(馬をひかんとすれど動かず。)えゝ、なにが氣に入らいですねるのぢや。さあ、行け。ゆけ。つ、叱つ。
佐々木高綱 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
かほさげて離縁状りゑんじようもらふてくだされとはれたものか、かられるは必定ひつぢよう
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
モーそのころわたくしにはなかなにやら味気あじけなくかんじられてょうがないのでした。
将軍ウヰルソンがある時コネクチカツトの議員をてゐる自分の義弟それがしと、リンコルン大統領を訪ねた事があつた。
高重はまだ侵入されぬローラ櫓を楯にとって、頭の上で唸るつぶてを防ぎながら、警官隊の来たことをらすために叫んだ。
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
「相手は、分った。やっぱり、ゆうべそっとらせてくれた人の告げは、嘘ではなかった。……しかし、あれは誰だったろう」
無宿人国記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一段と空虚になつた家の気配が、なぜか懐しい旅愁のやうに、シインと広い耳鳴りとなり深く顳〓こめかみみてくるのだ。
竹藪の家 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
京二郎は別の手頸をにぎつてトキ子の心臓に当てさせた。そのために二人の膝は密着して、二人の体温がみるやうにふれてきた。
決闘 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
場所は亡き善五郎が溜め込んだおびたゞしい錢箱の前、お茂與は細引で喉をめられて、黄金の中に死んで居たのです。
「そんな證據は殘さねえが、首をめて殺した上、生き返つちや惡いと思つたか、玄能げんのうで頭を叩き割つて行つた」
酔ひれて、廊下をふらり、ふらりよろめき歩き、面白がつて眺めてゐる軍治に、卑猥な指の作り方をして見せる男もあつた。
鳥羽家の子供 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
彼女は、二つの世界の境界を、はっきりとまたぎ越えて、やがて訪れるであろう恋愛の世界に、身も世もなく酔いれるのだった。
紅毛傾城 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
それを小説や戯曲ばかり幅をかせてゐるやうにひられるのは少くとも善良なる僕等には甚だ迷惑と言はなければならぬ。
変遷その他 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
かう云ふと、切支丹きりしたん宗門の信者は、彼等のパアテルをひるものとして、自分をとがめようとするかも知れない。
煙草と悪魔 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
わたしかい。私は有名な魔術師ニヤンプウだ。」と、七色の虹猫は、いかめしい、もつたいらしい、作り声で答へました。
虹猫の話 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
浅井氏いわく場所広くして遠近さだかならずもしこの画を画とせんとならば更に一週の日子にっしを費して再び渋川に往けと。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
婦人が這入はひつて来る様になればめたものだ、虚無党でも社会党でも其の恐ろしいのは、中心に婦人が居るからだ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
服装なり木綿縮もめんちゞみの浅黄地に能模様丸紋手のうもようまるもんて単物ひとえもの唐繻子とうじゅすの帯を
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
かし、貴様、剛造の様な食慾無情の悪党に、あゝいふ令嬢むすめの生まれると云ふのは、理解すべからざることだよ」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
かのみならず古文古歌の故事は往々浮華に流れて物理の思想に乏しく、言葉は優美にして其実は婬風にいっするもの多し。
新女大学 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
けれど先生せんせい自分じぶん虚榮心きよえいしん犧牲ぎせいになるやうな生活せいくわつません。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
村で螢の名所は二つ、何方どつちようと智惠子が言ひ出すと、子供らは皆舟綱ふなた橋に伴れてつて呉れと強請せがんだ。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
があ昨夜ゆべな、土ぁ、みだじゃぃ。」嘉ッコはしめった黒い地面を、ばたばたみながらいました。
十月の末 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
その夜もすすをながしたような暗さが、みて石のように固い空模様にまじって、庭は水底の冷えを行きわたらせていた。
野に臥す者 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
〔譯〕えきは是れせいの字の註脚ちゆうきやくなり。は是れ情の字の註脚なり。しよは是れ心の字の註脚なり。
圏点けんてんのないのは障子しょうじに紙がってないようなさびしい感じがするので、自分で丸を付けた。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)