“し”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:
語句割合
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(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
なんでも夜中すぎになると、天子さまのおやすみになる紫宸殿のお屋根の上になんともれない気味くものがあります。
(新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そのうえいることはあるまいと思っていると、そのけったいな男が、突然きょろきょろと四方を見廻して、落着かないことしい。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
がそれをると、子安貝ではなくて古糞でありました。中納言はそれきりたず、氣病みもはつてんでしまひました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
停車場は、突然荒寺の裏へ入った形で、と身にみるの葉の、鳥の羽ででられるように、さらさらと——袖が鳴った。
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ここに於て佐志木作右衛門は、千束島の山善左衛門等とったが、結局ながら藩兵に攻められるより兵を挙ぐるにかずとなった。
島原の乱 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
一撃に敵を打ち倒すことには何の痛痒も感じない代りに、らずらず友人を傷つけることには児女に似た恐怖を感ずるものである。
侏儒の言葉 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
嫡男信忠(年十九)は河尻秀隆を従えて、矢部村勅養寺附近の天神山に、次男北畠信雄は稲葉一徹属して御堂山に、夫々陣をいた。
長篠合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「いつのまに、こんなに時間がたったろう。」と、つぶやきながら、のレストランのへくると、もうまっていました。
世の中へ出る子供たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
春は水嵩で、両岸に咲く一重桜の花の反映の薄べに色に淵はんでも、瀬々の白波はます/\えて、こまかい荒波を立てゝゐる。
(新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
此の婚礼に就いて在所の者が、先住のを引いて不吉な噂を立てるので、豪気新住境内の暗い竹籔切払つて桑畑につた。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
つまり河流上汐とが河口暫時つて、上汐め、海水きながらそれが上流つてよく進行するのである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
繃帶いてれば五六てゝいてもいが、液汁すやうならば明日にもるやうにと醫者はいつたのであるが
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ところが案外、いい加減に聞いていられないことをいい出しそうなので、急に女のような優しくて厚い唇が、難しく大きくまった。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
油断をしているうちに、達二はいきなり山男に足をまいてされました。山男は達二を組みいて、刀をり上げてしまいました。
種山ヶ原 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
其跡入違つてたのは、織色羽織結城博多の五本手衣服茶博多めました人物、年齢四十五六になる。客
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
今までの怖ろしかった心が、だんだんに消えて行って、水の肌にみ込む気持が何とも言えぬ清々しさになってゆくのでありました。
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
廿日かげんで、さし木立おぼろおぼろとく、たりや孤徽殿細殿口にはくものもなきぞかし。
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
吾々三人馬車に乗りて其ビヽエン街に達しますと藻西太郎は丁度夕飯を初める所で妻と共に店の次の間で席にうとて居ました
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
あゝ御存じなしにのやうにんでお出遊ばすを、さげて離縁状もらふてされとはれたか、かられるは必定
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
これを tick-tack といって、その場になって刻々移る一般の人気によって激しく上下する馬金率をらせあっているのだ。
いい芳香臓腑のドン底までみ渡りましたよ。そうなると香水だか肌のだか解かれあしません。おまけにハッキリした日本語で
人間腸詰 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「わが夫の神よ、それではこのしかえしに、日本じゅうの人を一日に千人ずつめ殺してゆきますから、そう思っていらっしゃいまし」
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
彼女は、二つの世界の境界を、はっきりとまたぎ越えて、やがて訪れるであろう恋愛の世界に、身も世もなく酔いれるのだった。
紅毛傾城 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
殘念でならぬので、自分持場を一生懸命つたけれど、ない。幻子大成功引替へて大失敗茫然としてつた。
「罪ありと我をいるか。何をあかしに、何の罪を数えんとはする。りは天も照覧あれ」とき手を抜け出でよと空高く挙げる。
薤露行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
『もうないから、萬望して頂戴な』とちやんは謙遜して、『二れないわ。屹度そんな井戸あつてよ』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
初枝は十二の冬、村の小学校への行きがけに、みついた雪の上に誰かに突き転がされて、それがもとで今の脊髄炎を患ったのだった。
菜穂子 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
先刻グロテスクだと思った彼の手を堅く握りめて、今更のように肩幅の広い、厳丈なこの山人の体を頼もしげに見詰めたのであります。
案内人風景 (新字新仮名) / 百瀬慎太郎黒部溯郎(著)
の上に立って、うつくしい村をながめては、歌にうたい、牧場にいって、やさしいひつじのむれをながめては、をかくのがつねでした。
丘の銅像 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
これも何者かに命ぜられてかく入つて居るらしい、起してはならないやうに思はれ、アヽ横になつて、足をめて、目をいだ。
処方秘箋 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
問の漠然たるが如くに答もまた漠然たるを失わぬけれども、かも漠然たる大掴みの語の中に皭然としてすべからざる真理が存する。
永久平和の先決問題 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
(七九)閭巷てんとするは、(八〇)青雲くにずんば、んぞく(名ヲ)後世かん
しその周圍事情は、病人をKかしてさないので、ぐに何處へか入院させなければならなかつた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
ふっくら豊頬な面だちであるが、やはり父義朝に似て、長面のほうであった。一体に源家の人々は、四しく、り骨で顔が長い。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あたらずとも六分利付なしといふやうなが、可り空めなながら、一の青木さんの氕持げきした。
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
碧色の瞳は何処と信ってっかり見詰めないような平静な光りをよわせて居る。が、時折り突き入るようにってきらめくこともある。
決闘場 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「くそうッ、切支丹族のやつなんかに、高麗村の者がおそれていてたまるものか。ちゃんは臆病だから、をまいて逃げて来たんだろう」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼は倚凭って眺め入っていた田圃だの、いていた草だの、それから岡をる旅人の群などを胸に浮べながら帰って来た。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そうしている間も、ちょっと油断すると、秋草のしとどな露に、火縄は消してしまうし、弾薬は湿めらしてしまう。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「貴公の一がなければ、鄧賢のために討たれていたかも知れない。つつしんで高恩を謝します」と、ひざまずいて頓首した。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今日では病院は、資力以上贅澤つてゐるので、餘計建物餘計などで隨分費用つてゐるのです。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
彼等が人々を折檻する時に、人々は無上の快楽を感ずるなり、我眼曇れるか、彼等の眼ひたる、之を断ずる者は誰ぞ。
我牢獄 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
然らずして、に聞見をるのみならば、則ち或はじ非をらんことを恐る。謂はゆるに兵をし、するなり、る可し。
王その高徳あって必ず位を奪わん事を恐れ宮中に召して殺さんとす、父これをみ子をその舅波梨富羅国波婆利に送る
そうして、越中守がよろめきながら、とうとう、の縁にれてしまうと、脇差をそこへ捨てたなり、慌ててどこか見えなくなってしまった。
忠義 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
洋傘は二本あつても、一本を高田氏に呉れてやつたら事は済む。「真理」が二つあつたら、博士は首をめなければならなかつたらう。
僕はつねに思う、一の花のなかに千種の花を見えぬ者は花を語るに足らぬと。すなわち理想を論ずる者は一の中に千万の数を読むを要する。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
縦令事実はしからずとするも、芭蕉はか感ぜり。故に芭蕉のに死せんとして門人その辞世の句を問ふや、芭蕉答へて曰く
古池の句の弁 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
いつも置いているのでありますが、その素焼のよごれた壺は、五月雨の降る暗い日などことに心にみて眺められます。
俳句の作りよう (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
下には黄金色をしたいてすこしの塵もなかった。老嫗は青年を伴れて遊廊を通って往った。遊廊の欄干も皆宝石であった。
賈后と小吏 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
此春より引きも切らぬ文の、此の二十日計りはそよとだに音なきは、言はでもるき、なる戀と思ひ絶えしにあんなれ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
「これは迷子札よ。いつどこでぶッくらけえっても、死骸だけはジープにもかれずに戻って来るようにというわけ。人間もこうなっちゃおしまいだ。おい、なにか出さないか」
三界万霊塔 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「大名同盟」の右派綱領にことごとく反対して福沢のいわゆる「モナルキ」のために着々道をきつつあった。
福沢諭吉 (新字新仮名) / 服部之総(著)
大正十三年九月『麻布襍記』の一書をするに当り、再びこの小篇『雨瀟瀟』を取りてその巻初に掲げぬ。
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
(七九)閭巷てんとするは、(八〇)青雲くにずんば、んぞく(名ヲ)後世かん
今われわれの喚問に最初に答えたこの愛すべき先覚者、国民全体の触覚ともいうべき聡明叡知なる青年の哀願に、いたる耳を向けるということは
船医の立場 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
八絃の琴を調べたるごと、天の下らしびし、伊耶本和氣の天皇の御子、市の邊の押齒のの、御末
「フフンそんなに宜きゃア慈母さんおなさいな。人が厭だというものを好々ッて、可笑しな慈母さんだよ」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
大戦いらいの出費に次ぐ出費から、幕府としてもムリは承知で諸国へ苛烈な追徴の使をのべつ派遣していたところなのだった。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
義侠の巴山人奮然意を決してまづわれら木曜会の気勢を揚げしめんがためにを投じ美育社なるものを興し月刊雑誌『饒舌』を発行したり。
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
……処が中日を過ぎた或る日のこと、そのキツカケが来ても「浪子」から「伯母」を呼ぶ声がしない、何か新狂言をするのか? と、「加藤夫人」をて居たものは
(新字旧仮名) / 喜多村緑郎(著)
に代筆を頼もうと思ったが、せっかくあげるのに自分でかかなくっちゃ、坊っちゃんに済まないと思って、わざわざたがきを一返して、それから清書をした。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
さうさうと空揺りとよむ走り火の炎の幅は山をらせり
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
時に兄の利吒托鉢なしてを得んと城中に入りしが、生憎布施するものもなかりければ空鉢をもてらんとしけるが、にて弟に行遇ひたり。
印度の古話 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
蝉時雨ながらふ聽けば母の手のたき手觸みにおもほゆ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
に於ても誠実が物を言う。僕は同僚との折合が好い。喧嘩をしてって別懇になったのもある。一杯飲んで胸襟を開くと皆ういだ。渡る世間に鬼はないという諺はい。
ロマンスと縁談 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
ところが、そのとき、さんの三之助が、ほご(ものをかきそこなって、不用になった)を部屋いっぱいにひろげて、整理をしていました。
木下君も来た、金子さんや真鍋さんも来てくれた。杉浦さんが学校の毛布を持って来てくれてその上へねかされた。そのうちにんがやって来た。
病中記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
半日の合戦に八百八の死骸を積み、張飛のことを、八百八屍将軍と綽名して、黄匪を戦慄させたという勇名のある漢だ。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
読みさしてゆとりあるまのうらぎやが楽しみとは読みける
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
寒鴉が影の上におりたちぬ
不器男句集:02 不器男句集 (新字旧仮名) / 芝不器男(著)
あわあわしいら雲がら一面に棚引くかと思うと、フトまたあちこちく間雲切れがして
武蔵野 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
ここの山村は華陰県の県ざかいで史家村とよばれている。戸数三、四百軒すべてが“”というだった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
頭髪しているもの、に一わない裸体のもの、みどろにいてるもの……ただの一人として満足姿をしたものはりませぬ。
「へいな、銭のあるはよろしいけんど、うちらのような貧乏人にゃ、たまらんぞな。」
大根の葉 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
演奏会は数千の人を集めて、数千の人はことごとく双手げながらこの二人を歓迎している。同じ数千の人はことごとく五いて、われ一人を排斥している。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それが此通り消え細る迄にやお上の仕打ちも随分と思ひ切つてごいには酷ごかつたが、片つ方も、亦つこいとも執つこいもんぢやつた。
世界は次第に狭くなつて、やがては私をめ殺しさうだつた。だが私は生きたかつた。生きたかつた! ——然るに、自己をなくしてゐた、即ち私は唖だつた。
我が生活 (新字旧仮名) / 中原中也(著)
そこで、たんざおの値をきいて、欲しそうになでてはいたが、それは買わないで、買ったのは蒔絵爪箱と、糸を七かけ。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
阿園が問いに何心なくさようと答えつ、後にてハッときたれども舌に及ばざりき、女房はき立てり
空家 (新字新仮名) / 宮崎湖処子(著)
子、子貢にって曰く、汝回とれかれる。えて曰く、は何をえて回を望まん、回は一を聞いて以て十を知る、賜は一を聞いて以て二を知るのみ。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
「若菜は拳銃で撃たれてんだと言うのに、長島博士は、音波で殺したと言い張るのだ」
音波の殺人 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
上半身に十二の内、、丑、寅、、辰、の七つまで、墨と朱の二色で、いともかに彫つてあるのでした。
 ——王、太子(将軍の世子)ヲウテ、後宮、マタ子ヲ産ムナシ。僧隆光、進言シテ云フ、人ノニ乏シキ者、ミナ生前多ク殺生ノイナリ。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
雨落敷詰めたにはえて、蛞蝓ふ、けてじと/\する、細君元結をこゝにてると、三七二十一日にしてして足卷づける蟷螂寄生蟲となるといつて塾生つた。
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
実に甲斐のない、まことにつまらないという程の語である。「わらは」は童男童女いずれにもいい、「老人女童児も、が願ふ心ひに」(巻十八・四〇九四)の例がある。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
孝孺は聚宝門外磔殺せられぬ。孝孺慨然、絶命のりて戮にく。時に年四十六、詞に曰く
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
雅頌よりして各国の国風まで収録した詩集であるが、詩はなり、志のく所なりとも称し、孟子にも詩三百一言以てこれをえば思い邪なしともいい
婦人問題解決の急務 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
人を以て蟹にかざるべけんやと、独り合点これを久しゅうせし内、かの親切な蟹の歩み余りに遅く、時々立ち留まりもするをり熟視すると何の事だ、半死の蟹の傷口に自分の口を
れば三という虫が人間の身から抜け出して、天に昇って隠し事を密告するなどともいっていたが、我国ではそういう後ろ暗いことは言わなかった。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「お尿ッこを、しちまいやがった」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
船の帆もわりにけりな、時津風
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
種々に意見を加えましたが、一方が頑固な老爺さんで肯きませんから、そんならば暇をやろうと万事行届いた茂木佐平治さんだから多分の手当をてくれ
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
眠るは春の凪日和、沖の吹っ立って、鞺鞳の浪まじき此処は堺の港まち、けの空とぶ綿雲の切間を、く冬月の、影物凄き真夜中ごろ、に近き裏町を黒羽二重に朱色の下着
艶容万年若衆 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
「ここに医学士、とてあるですな。」
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
其の前を礼拝して過ぐるのを見た、と云われたほど時人尊崇された菅三品の門に遊んで、才識日に長じて、声名世にいた保胤は、に応じて及第し、官も進んで大内記にまでなった。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
椿岳が師と仰いでを執ったのは大西椿年であった。当時椿年は蔵前に画塾を開いていたので、椿年の画風を喜んだというよりは馬喰町の家から近かったのでその門に入ったのだろう。
不二ヶ嶺にいやきつもる堅雪のゆふべはあかくに燃えつつ
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
根は山帰来という漢方薬ですが、かし本当のサンキライではありません。これが誰でも知っているナズナ(ペンペン草)この実が三味線のバチに似ているでしょう。
いた男となりや、あぎやんとこれたて、暮すこツたい。吝気しうてしたてちや出来んし……丸一年、自分の国の言葉ば使はでん居つて見ろな、あんた、どぎやんあつて思ふ。
牛山ホテル(五場) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
りそめし生命しむ日日なりき紅ばらが獄庭に群れて咲きたり
遺愛集:02 遺愛集 (新字新仮名) / 島秋人(著)
時さらず、れがましさや、醜草
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
(劇場の徒の多く相嫉視するを諷するにや。)我等は海神の前に立てり。世にはこれを「バジリカ」とぞいふ。
『僕は先に逃げてまひますよ。』
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)
何うも大洋へ押し出してすこしけて来ると、何となく船の安定が悪いように感じて、この第二回の、そして最後の航海に出航する際も、船長は始終ちょっとそれを気にしていたという。
沈黙の水平線 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
「でも、己の書くものは普通の奴には分りゃしないよ。しかし、いちゃん、あたりまえのことを書いただけなんだよ」
地上:地に潜むもの (新字新仮名) / 島田清次郎(著)
九天邪るの使け、十悪を罰するのね、魑魅魍魎をして以て其奸るる無く、夜叉羅刹をして其暴にするを得ざらしむ。んや清平の世坦蕩のときにおいてをや。
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
ささげて愛する仕方とだ。は後者のようなみったれた心をもちたくないものだ!
上枝に八尺の勾璁の五百津の御統の玉を取りけ、中つ枝に八尺の鏡を取りけ、下枝白和幣青和幣を取りでて一五、この種種の物は、布刀玉の命太御幣と取り持ちて
「死骸を仰向きにして見ると、首筋にも指の跡がある。——匕首が突つ立つてゐるから、うつかりされたが、あれは刺される前に、男の強い力でめ殺されてゐたんだ」
あすよりは 春菜まむとめしに、きのふも 今日も りつゝ
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
水薬みし
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
(十二) 孔子は死後、魯の城北ののほとりに葬られた。弟子皆に服すること三年、相訣れて去ろうとする時に非常に悲しんで、また留まる者もあった。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
少年はまた空気銃をとり上げ、今度は熱心にを狙う。三発、四発、五発、——しかし的は一つも落ちない。少年はぶ銀貨を出し、店の外へ行ってしまう。
浅草公園:或シナリオ (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
余は湯壺に立ちながら、身体めす前に、まずこの異様の広告めいたものを読む気になった。真中に素人落語大会と書いて、その下に催主裸連と記してある。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
明眸絳脣香肌白き事の如し。女王マリア・ルイザ、その美をみ、遂に之を鴆殺せしむ。人間め得たり一香嚢の長恨ある、かの楊太真れぞや。侯爵夫人に情郎あり。
深みと 落ちつ 清き河内に 朝去らず 霧立ち渡り 夕されば 雲居棚引き 雲居なす 心もぬに 立つ霧の 思ひ過さず 行く水の 音も清けく 万代に 言ひ続ぎ行かむ 河し絶えずは
二、三の山名について (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
では書肆と契約なしに手をけたのかとくと、全く左様でもないらしい。と云つて、本屋の方が丸で約束を無した様にも云はない。要するに曖昧であつた。たゞ困つてゐる事丈は事実らしかつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
その彼が、結局自分も彼らと同じ能力の所有者だったということを、そうしてさらにうべき遼東だったということは、どうしてやすやすと認められよう。
戯作三昧 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「何だ、おか。親分てえ奴があるかい」
またきて倭建の命に、「東の方十二道の荒ぶる神、またはぬ人どもを、言向けせ」と詔りたまひて、吉備等が祖、名は御鉏友耳建日子を副へて遣す時に、比比羅木八尋矛を給ひき。
と道衍とはよりに知己たり。道衍又て道士席応真を師として陰陽術数の学を受く。って道家のを知り、仙趣の微に通ず。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
一日太孫をして詞句属対をなさしめしに、わず、び以て燕王に命ぜられけるに、燕王の語はち佳なりけり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
吾妻はばし川地のながめ居りしが、忽如りて声ひそめつ「——ぢや、又た肺病の黴菌でもまさうとんですか——」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
ワツと泣きる声を無理に制せる梅子は、ヒシとばかり銀子をきつ、燃え立つ二人の花の唇、一つに合して、ばし人生のきを逃れぬ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
昨夜チラとその悪相談を小耳に挟んだので、どうかしてお前さんにらせて上げたいと、種々手を廻して、やっと尋ねあてたのが紀州屋敷。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ああそうでござんしたか。今笊組の連中が、この先の小桜屋へ五、六人連れで来ているところ……であの首尾をらせに、こッそり一座を抜けて来たものですよ」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
翌日、李陵韓延年かにれと疾呼しつつ、胡軍の最精鋭は、黄白のを目ざして襲いかかった。その勢いに漢軍は、しだいに平地から西方の山地へと押されて行く。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
将軍および成安侯韓延年の率いる各八百人だが、それぞれ黄と白とのをもって印としているゆえ、明日胡騎の精鋭をしてそこに攻撃を集中せしめてこれを破ったなら
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
「楽師のがはじめて演奏した時にきいた関雎の終曲は、洋々として耳にみちあふれる感があったのだが——」
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
楽長のは斉に去った。亜飯に去った。三飯のに去った。四飯のに去った。鼓師方叔は河内に逃げた。鼓師は漢に逃げた。
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
五銭玉と引換えに一袋のパンをツカむと、イキナリ自分の口へもっていったその顔! 泣き叫ぶ背の子や、両手にってがみつく子供達を振りもぎって
冬枯れ (新字新仮名) / 徳永直(著)
女房は相変らず力無い眼をうッすらと開けたまま窓にがみついていて、子供達は窮屈そうに眠っていた。
冬枯れ (新字新仮名) / 徳永直(著)
旅の侍はこれを聞くと、パッと二、三歩飛び退ざって、刀のへ手を掛けた。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
右門は思わず飛び退さった。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
だから私ね、私は無駄でもやらずには居られないというと其ならおやりなさるもよいが、効はありますまいとはっきり云いなさるんでもの、私悲しくてね、泣いたわ
吾背子をなこの山の喚子鳥君喚びかへせ夜の更けぬに (巻十、雑)
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
「はアて?」と帆村はを指先で強くした。これは彼の癖で、なにかヶ敷いことにぶつかったとき、それを解くためには是非これをやらないと智慧袋の口が開かない。
流線間諜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
此日なりしをして、詩を作らう、詩を作らう、和韻に人をかしたいものとへしが、一心つては不思議感応もあるものにて、近日突然として一詩たり
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
しく京及び諸国をして天神地祇名山大川には幣帛を致さむべし。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
紅蓮白蓮しきにかず
愛卿伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
蜥蜴類は長尾驢のごとく、尾と後の二脚のみでね歩き、い行くもの少なからず、ってスプールスが南米で見た古土人の彫画に、四脚の蜥蜴イグアナを二脚にたもあった由。
鄱銀 ををれ難く、莱石 し易し。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
太郎木原へ、吉田と名のつて乘込んだ天狗は二千兩ほど掻き集めた處へ、水戸領田伏の浪人宿から呼出しあり、吉田は似せ者と分つた。
天狗塚 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
と、後になっては、かずかずのらせを思い当るのだ。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(と従者、おれし一枝の鈴蘭の花を女子に渡す、女子無音に受け取り、唇にあつ)
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
奥山ぬぎふるなばしけむなふりそね
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
真綱はこれを憤慨して、「起るの路は行人目をう、枉法の場、孤直何の益かあらん、職を去りて早く冥々に入るにかず」
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
思ったよりは高名で、現に、この頃も藤屋に泊った、何某侯の御隠居の御召に因って、上下で座敷をた時、(さてもな、鼓ヶ嶽が近いせいか、これほどの松風は、東京でも聞けぬ、)
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
得手吉とは男勢の綽号だが猴よくこれを露出するからの名らしく、「神代巻」に猿田彦の鼻長さ七、『参宮名所図会』に猿丸太夫は道鏡の事と見え
衣服、玩好、遊戯、一も彼のくものなし。机上一硯、一筆、蕭然たる書生のみ。最も読書を好み手に巻をてず、その抄録したるもの四十余巻ありという。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
しばらくありて、右の小鳥は辺および部に爪牙の跡を得、血を垂れ、来たりて小生に向かい哀を請うがごとし。
妖怪報告 (新字新仮名) / 井上円了(著)
サント・ウーフラジー、サント・マルグリット姉、まだ幼いサント・マルト姉、いつも皆を笑わせる長い鼻を持ったサン・ミシェル姉。
かく蛇を霊怪視したなるミヅチを、十二支のに当て略してミと呼んだは同じく十二支のをネズミの略ネ、を兎の略ウで呼ぶに等し。
風の暴頻響動に紛れて、寝耳にこれを聞着る者も無かりければ、誰一人がざる間に、火は烈々下屋きて、の燃立つ底より一声叫喚せるは、狂女は嘻々として高く笑ひぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
... す、けんや』と。(三〇)左右(三一)せんとす。(三二)太公く、『義人』と。けてらしむ。武王げ、天下(三三)とす。
ちょうど北の方の千島、カムサツカ、北海道の山奥あたりからき上げて来る熊の皮屋から皮を仕入れて、あと月の半ばに東京へ着いたんです……。
糸が一するたびに、みなはハッときもをひやした。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
いつも席順はりである。教師等も教員会議の時に時々は清吉の身の上に話が及ぶと、あれは、天性足らないから仕方がないと、ど問題にもしない人がある。
蝋人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「凡百ノ技、ニ始マリ、拙ニ終ル、ニ出デテ不思ニ入ル、故ニ巧思極マル時ハチ神妙ナリ。神妙ナル時ハ則チ自然ナリ。自然ナルモノハ巧思ヲ以テ得ベカラズ、歳月ヲ以テ到ルベカラズ……」
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
……その時田沼は感激して、涙を流したということだ。……それだのに私のお父上が、この世を辞してからというものは、千沙汰の限りの態だ。
十二神貝十郎手柄話 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
一時の豪気は以て懦夫かすに足り、一場の詭言は以て少年輩の心を籠絡するに足るといえども、具眼卓識君子くべからずうべからざるなり。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
言葉さへらねえ様な役人が来て、御維新たと言はぬばかりに威張り散らす、税は年増しに殖える、働き盛を兵隊に取られる、一つでもいことはえので
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
肩をめむとぎゆく。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
小野さんの靴は、湿っぽい光をかるごとく、地に落す洋袴に隠して、小路蕎麦屋行灯まで抜け出して左へ折れた。往来は人のがする。地にく影は長くはない。丸まって動いて来る。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
然してその兄高田を作らば、汝が命は下田りたまへ。その兄下田を作らば、汝が命は高田を營りたまへ一七。然したまはば、吾水をれば、三年の間にかならずその兄貧しくなりなむ。
ますます、って、抱きめる手に、力がはいるばかり——
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
ことにその題目が風月の虚飾を貴ばずして、ただちに自己の胸臆くもの、もって識見高邁、凡俗に超越するところあるを見るに足る。
曙覧の歌 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
が三四近所いのを一づつれた。さうしてから蒲團ばれた。それはがぎつしりとつた財布であつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
立留つて四方てあ
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
それでいて、あたりはーんとしているのです。そこを通る車はひとりでにすっかり速力をおとして、殆ど止る位にして通る。いかにも大きい都会の出来事の感じです。
事務室のまん中の大机には白い大掛児を着た支那人が二人、差し向かいに帳簿をらべている。一人はまだ二十前後であろう。もう一人はやや黄ばみかけた、長い口髭をはやしている。
馬の脚 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
いずれにしろ稚純な心には非情有情の界を越え、の区別をみする単直なものが残っているであろう。
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
材能伎芸を以て奉承するは男芸者の職分である。廉恥を棄てて金銭を貪るものとするは、そのてせざる所である。紫玉が花山を排したのは曲が花山にあったのである。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
きたり辛苦さこそなるべけれど奉公大切へとせられしがりてられぬなりれほどにおしからずばれほどまでにもかじとつらしとてには部屋のうちにづみぬらぬ双美人はるゝしかるべきを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それから二十年ばかりたつた、彼は雪国の汽車の中に偶然、彼女とめぐり合つた。窓の外が暗くなるのにつれ、めつた外套の匀ひが急に身にしみる時分だつた。
鬼ごつこ (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ヒソヒソとい進んで行くのであったが、そのうちに闇夜の草花の水っぽい、清新な芳香が、生娘の体臭のように、彼の空腹にみ透って来た。
白菊 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「怪我でもすると詰まらねえ。もういい加減にしましょうよ。伊豆屋の見舞なら、これからへ引っ返して握り飯の支度でもさせた方がようござんす。どうせめった後でなけりゃあ行かれやしません」
半七捕物帳:29 熊の死骸 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
山東省川の某山村の街路にある涼亭。それは街路の真中に屋根をこしらえ、左右の柱に添えて石台を置いて腰掛けとしたもので、その中を抜けて往来する者が勝手に休んでいけるようになっている。
帰舟は客なかりき。醍醐の入江の口をる時彦岳嵐み、みれば大白の光け、こなたには大入島の火影きらめきそめぬ。静かに櫓こぐ翁の影黒く水に映れり。
源おじ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
と、熱くささやいて、そして、自分の言葉に、酔いれるかのように、もたれかかったが、千世は身をすくめたまま、答えられぬ。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
その底から滲染み出る狂おしいいが
原爆詩集 (新字新仮名) / 峠三吉(著)
朱を刷いたような艶々した赭ら顔は年がら年中高麗狛のように獅子噛み、これが、生れてからまだ一度もほころびたことがない。
顎十郎捕物帳:02 稲荷の使 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
車は平坦な甃石路を走りだした。石をいた平坦な路は郊外にはあまりないので、城内だろうかと思ったが何しろ扉が締っているので解らなかった。
賈后と小吏 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
且述作の事たる、功あれば又がある。一たび口より発し、文一たび筆に上るときは、いかなる博聞達識を以てしても、醇中を交ふることを免れない。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
戦災にかかってからは、いや更に荒されたまま、びらされたままになっていた頭脳が、ここにく本然の調子を取り戻す機会を得たことになる。
頼春のいた両眼から、喜びの涙が降るようにこぼれた。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
誰か知道らん恩情永く
愛卿伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
養家大藤村中萩原とて、わたすりは天目山大菩薩峠山〻峰〻をつくりて、西南にそびゆる白妙富士は、をしみてかげをめさねども
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
神※の※の字は音「ぎ」にして示扁に氏の字を書く。普通に(氏の下に一を引く者)の字を書くは誤なり。祗は音「し」にして祗候などの祗なり。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
めて出て行ッたばかりのところで、小万を始め此糸初紫初緑名山千鳥などいずれも七八分のいを催し、新造のお梅まで人と汁粉とに酔ッて、頬から耳朶を真赤にしていた。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
狭心症ノ発作ニ似タ痛ミガ激シク胸ヲメツケタ。………アレカラ既ニ二時間以上経ッテイル筈ダガ、マダ血壓ガ下ラナイト見エル。
瘋癲老人日記 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
私は纔かに残つてゐる封建時代の石垣のところに来て、誰にも見られぬやうにそこに草をいて坐した。
あさぢ沼 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
その冴え冴えと振り白無垢衣の、の折れ方までが、わけもなく魂を織り込もうとするのに魅せられるであろう、水を打ったようにんみりとした街道の樹もえ、田の面の水も
雪の白峰 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
御覽なさい、眞紅めてますよ。』
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
心魂も今は空になり、其処此処かと求食るほどに、小笹一叢茂れる中に、く見当る鼠の天麩羅。得たりと飛び付きはんとすれば、忽ち発止と物音して、その身のは物にめられぬ。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
毎年梅者開友空蝉之世人君羊蹄春無有来」の歌のシの仮名にやはり羊蹄の字が用いてあるのを指したものでしょう。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
それが大に一時間乃一時間半、一二度は三時間餘にも及んだことがあるのだが
を取って占い、われは隗生に借金した覚えなし、隗生自分の金を隠しおき、わが易占を善くするを知って、われがここに来るをってその在り処を妻子に告げしむるよう謀らい置いたのだ
虎に似て角あるをというと言って、むつかしい文字ばかりべ居る。
「しかしわずかに五年ばかりの間にこのような建物を押し立てたり、このように信者を集めたり、よくたものでございますな」
生死卍巴 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
天皇ここに畏みて白したまはく、「恐し、我が大神、しおみまさむとは、らざりき」と白して、大御刀また弓矢を始めて、百官の人どものせる衣服を脱がしめて、拜み獻りき。
不良少女沒落」といふ標題に、私達前後しての結婚を×あたりに落書されてから、みなもうしました。Kさんがまづ母となり、あなたも間もなく母となりました。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
保寿院殿浄如貞松大姉は直温の妻にして瑞仙の家第四世の女主啓、窪田氏である。以上の六は正面につてある。梅嶽真英童子は直温の子洪之助である。此一諡だけは左側面に彫つてある。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
非局部性大地震太平洋側海底り、地震規模廣大なると陸地震原からいために、はたまた海底地震性質として震動大搖れであるが、しながら緩漫である。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
獏は哺乳類のうちの奇蹄目で獏科の動物だ。形はに似て、全身短毛をもってわれ、尾は短く、鼻及び上唇は合して短き象鼻の如くサ。前肢に四、後肢に三趾を有す。
獏鸚 (新字新仮名) / 海野十三(著)