三界万霊塔さんがいばんれいとう
深尾好三はゆたかに陽のさしこむ広縁の籐椅子の中で背を立てた。 「ひさしぶりに会社へ出てみるか」 油雑布で拭きあげたモザイックの床と革張の回転椅子と大きな事務机が眼にうかんだ。押せば信号が返ってくるパイロット式の呼鈴。手擦れのした黒檀の葉巻箱 …