“落籍”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ひか70.9%
7.3%
らくせき5.5%
ひき3.6%
うけだ3.6%
みうけ1.8%
ひい1.8%
ひっこみ1.8%
ひく1.8%
ひっこ1.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
私はある男に落籍ひかされて妾になり酒場のマダムになつたが、私は淫蕩で、殆どあらゆる常連と関係した。野村もその中の一人であつた。
続戦争と一人の女 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
「お駒は逃げて逃げて逃げ廻った。白旗直八はそれを追い廻して、板倉屋へ落籍かれる前に射落そうとした」
それは品川しながわの遊女ぼうが外人に落籍らくせきせられんとしたことで、当時は邦人ほうじんにして外人のめかけとなれるをラシャメンと呼び、すこぶる卑下ひげしたものである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「千円が少し切れるぐらいだと思うわ。それに違約の期限が過ぎているから、親元身受けだったら、落籍ひき祝いなんかしなくたっていいのよ。」
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
娘が孝行で何より幸い、縹緻はよし気質は優しく、当世珍らしいあのお種、ナーニ年期の済まねえ中に落籍うけだされるのは知れたこと。女氏無くして玉の輿、立身出世しようもしれぬ。
村井長庵記名の傘 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「鳰鳥の落籍みうけ、差し支えないな。差し支えなければ、その金で、よろしいように扱かってくれ。夜にならぬ中に連れて出たい」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
あんな派手な落籍祝ひきいわいどころじゃありません、貴郎あなた着換きがえも無くしてまで、借金の方をつけて、夜遁よにげをするようにして落籍ひいたんですもの。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
隣室とまちがえて小女が投込んで行った新聞紙を、ふと取上げて絵のある下の方を見ると、一番に目についた標題みだしは小歌の落籍ひっこみ、その要をつまんで云えば
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
裏は天地で間に合っても、裲襠しかけの色は変えねばならず、茶は切れる、時計はとまる、小間物屋は朝から来る、朋輩は落籍ひくのがある、内証では小児こどもが死ぬ、書記の内へ水がつく、幇間たいこもちがはな会をやる
葛飾砂子 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
世のいゝ時には一旦落籍ひっこんでもじきまたたものですが、当節のように世が悪くっては、芸妓もたいていではないので、落籍ひっこんだとしたら容易に出ません、あなた景気が宜くって御覧じろ
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)