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為
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し
ふりがな文庫
“
為
(
し
)” の例文
旧字:
爲
お三輪はあの母の晩年に言ったこと
為
(
し
)
たことなぞをいろいろと思い出すようになったほど、自分も同じように年をとったかと思った。
食堂
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
此の婚礼に就いて在所の者が、先住の
例
(
ためし
)
を引いて
不吉
(
ふきつ
)
な噂を立てるので、
豪気
(
がうき
)
な
新住
(
しんじう
)
は
境内
(
けいだい
)
の暗い
竹籔
(
たけやぶ
)
を
切払
(
きりはら
)
つて桑畑に
為
(
し
)
て
了
(
しま
)
つた。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
人生の高尚な目的や、わが身の人間としての品位を忘れて、われわれが自分で考えたり
為
(
し
)
たりすること、それを除いたほかの一切は。
犬を連れた奥さん
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
種々
(
いろ/\
)
なる感想が自分の胸に
潮
(
うしほ
)
のやうに集つて来て、其山中の村が何だか自分と深い宿縁を
有
(
も
)
つて居るやうな気が
為
(
し
)
て、何うも
為
(
な
)
らぬ。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
サ
為
(
し
)
ようかと思ッていたんだが、しかしもう出来ない。他人同様の私をかばって実の母親さんと議論をなすった、その貴嬢の御信切を
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
▼ もっと見る
内匠頭の
為
(
し
)
た事を、武士として、当然だとする者もあるし、
短慮
(
たんりょ
)
である、世間知らずの
坊
(
ぼ
)
ンチの
癇癪
(
かんしゃく
)
だと、非難する者もかなり多い。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
香水の発する放射線と快き合流を
為
(
し
)
ない時は、その香水は、その人にとつて「開かざる蕾の花」であるか、又は、「半開の花」である。
「香水の表情」に就いて:――漫談的無駄話――
(新字旧仮名)
/
大手拓次
(著)
お母さん
宜
(
い
)
いじゃアないか、前に贔屓で呼んでくれたお客なれば、今美代ちゃんを請出せば
私
(
わし
)
の妹分にも
為
(
し
)
ようと思っている、その妹を
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
土から生れて土に働く土の精、土の
化物
(
ばけもの
)
とも云うべき農家の人は、死んで土になる事を自然の約束として少しも怪むことを
為
(
し
)
ない。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
世の中には謡曲嫌いと称する人が大層多くて、到る処謡曲の攻撃を
為
(
し
)
て廻わって、甚だしきに到っては謡曲亡国論なぞを唱える人がある。
謡曲黒白談
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
『おや、この餓鬼、お尿しやがつたな、うぬ、今度
為
(
し
)
て見い、おめえのおちんこを、これよ、此の鋏でチヨン切つちまふぞい。』
神童の死
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
その他に何も
為
(
し
)
なかった。午後から堀江の正福寺で女相撲を見た、それ丈。今は一時である。疲れたからもう寝る。(一、二二)
青べか日記:――吾が生活 し・さ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「お葉さん、寒いだろう。
此方
(
こっち
)
へ来てお当りな。」と、お杉は
徐
(
しずか
)
に焚火の
傍
(
そば
)
へ寄った。お葉は岩に腰をかけたままで、返事も
為
(
し
)
なかった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「だつて」と云ひながら、
寄
(
よ
)
つて
来
(
き
)
た。「
私
(
わたくし
)
、
何故
(
なぜ
)
だか、あゝ
為
(
し
)
たかつたんですもの。野々宮さんに失礼する
積
(
つもり
)
ぢやないんですけれども」
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
待て
霎時
(
しばし
)
、どうも
爾
(
そ
)
うでない、
抑
(
そもそ
)
も
乃公
(
おれ
)
が
彼
(
あ
)
の学校の監督をしないと
云
(
い
)
うものは、
為
(
し
)
ない
所以
(
ゆえん
)
があって
為
(
し
)
ないとチャンと説を
極
(
き
)
めて居る。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「仕事の手を
緩
(
ゆる
)
めて怠ける算段
計
(
ばか
)
り
為
(
し
)
てけツかる、
互
(
たげえ
)
に話ヨ為て、ズラかる相談でも為て見ろ、明日ア天日が拝め無えと思え」
監獄部屋
(新字新仮名)
/
羽志主水
(著)
「ハハハハッ何に今に遊ばれるよ、学校でも立派に出来あがったところで、しんみりと戦いたいものだ、私は今からそれを楽みに
為
(
し
)
ている」
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
で、
船
(
ふね
)
が
一揺
(
ひとゆす
)
れ
揺
(
ゆ
)
れると
思
(
おも
)
ふと、
有繋
(
さすが
)
に
物駭
(
ものおどろ
)
きを
為
(
し
)
たらしい、
艫
(
とも
)
に
居
(
ゐ
)
た
五位鷺
(
ごゐさぎ
)
は、はらりと
其
(
そ
)
の
紫
(
むらさき
)
がゝつた
薄黒
(
うすぐろ
)
い
翼
(
つばさ
)
を
開
(
ひら
)
いた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
かれ等は、口に出して責めるやうな事は、
為
(
し
)
なかつたけれど、それ
丈
(
だ
)
けにとし子は、もつと意地の悪い、いやみのあてこすりでいぢめられた。
乞食の名誉
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
御免なされと
襖
(
ふすま
)
越しのやさしき声に胸ときめき、
為
(
し
)
かけた
欠伸
(
あくび
)
を半分
噛
(
か
)
みて何とも知れぬ返辞をすれば、
唐紙
(
からかみ
)
する/\と開き
丁寧
(
ていねい
)
に
辞義
(
じぎ
)
して
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
宮は
毎
(
いつ
)
よりも
心煩
(
こころわづらはし
)
きこの日なれば、かの筆採りて書続けんと
為
(
し
)
たりしが、
余
(
あまり
)
に思乱るればさるべき力も無くて、いとどしく紛れかねてゐたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
その言葉が思いがけず自分の今
為
(
し
)
たことのなかにあると思った。石鹸は自分にとって途方もなく
高価
(
たか
)
い石鹸であった。自分は母のことを思った。
泥濘
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
で元気よく三脚を片付け
旅宿
(
やど
)
へ帰えろうと
為
(
し
)
かけますと、其時まで観ていた
男女
(
ふたり
)
の者から呼び止められたのでございます。
温室の恋
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
自身は世間に当然許された破戒さへ
為
(
し
)
でかす勇気がないといふ、自意識過剰の逃避性からきてゐるやうにも思はれた。
雨宮紅庵
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
その約束も
極
(
きは
)
めて置きたいねと
微笑
(
ほほゑ
)
んで言へば、そいつはいけない、己れはどうしても出世なんぞは
為
(
し
)
ないのだから。
わかれ道
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
新公が悶死したことに
就
(
つ
)
いていろいろの噂が伝わった。それによると、米が海産問屋の公子と立待岬から投身したのは、新公が
為
(
し
)
くんだ
演戯
(
しばい
)
であった。
妖蛸
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
朝も昼も晩も女房の舌は止むときなく運転して、何かこの男が言つたり、
為
(
し
)
たりすると、直に長演説が始まります。
新浦島
(新字旧仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
無論兄きは恐ろしさに気が狂つて
為
(
し
)
たことだとは知つてゐましたが、それでもわたくしはひどく悲しく思ひました。
うづしほ
(新字旧仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
『あゝゝ。』といふ力無い
欠呻
(
あくび
)
が次の間から聞えて、『お利代、お利代。』と、
嗄
(
しはが
)
れた声で呼び、
老女
(
としより
)
が眼を覚まして、寝返りでも
為
(
し
)
たいのであらう。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「何をビク/\するんだ」と、主人は吾妻を
一睨
(
いちげい
)
せり「
其様
(
そんな
)
ことで探偵が勤まるか——篠田や社員の奴等に探偵と云ふことを感付かれりや
為
(
し
)
なかろな」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
吾子
(
わこ
)
よ。吾子の
為
(
し
)
了
(
おお
)
せなんだ
荒
(
あら
)
び心で、吾子よりももっと、わるい
猛
(
たけ
)
び心を持った者の、大和に来向うのを、待ち押え、
塞
(
さ
)
え防いで居ろ、と仰せられた。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
すゞは、「快上快」の調合から、原料の補給や、時には、それを裏口から、足音をしのばせて、そッと這入ってくる青い顔の支那人に売ることも
為
(
し
)
ていた。
武装せる市街
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
それで兼公は平生花を作ることを自慢するでもなく、花が好きだなどと人に話し
為
(
し
)
たこともない、よくこんなにいつも花を絶やさずに作ってますねと云うと
姪子
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
...
為
(
し
)
」た奴がなんで百両持っているものかと「撫でて見ると訝しげな手障りだから」開けてみると
正
(
まさ
)
しく百両。
我が円朝研究:「怪談牡丹灯籠」「江島屋騒動」「怪談乳房榎」「文七元結」「真景累ヶ淵」について
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
「こんなに咳ばかりしていて此の人はまあ何んで無茶なんだろう、そんな
為
(
し
)
なくとも好い旅に出て来るなんて……」菜穂子は
他人事
(
ひとごと
)
ながらそんな事も思った。
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
その「日記」を公にする私どもは、人の墓を暴いて、死屍を群集の面前に曝すのと同じやうな残酷なことを
為
(
し
)
て居るのではあるまいか。或はさうかも知れ無い。
一葉の日記
(新字旧仮名)
/
久保田万太郎
(著)
だが、親の
間違
(
まちがひ
)
で(親といふものはよく間違を言つたり、
為
(
し
)
たりするものなのだ)その四人が五人に殖えたからといつて、何も首を
縊
(
くゝ
)
つて死ぬるにも及ぶまい。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「此れだけの大
中
(
あた
)
りを占められたら、開業二三日で破産しませうよ。
其処
(
そこ
)
な小僧奴なんざ、朝から十六七本挙げやがッたから、
慥
(
たし
)
かに三四円の働きは
為
(
し
)
てますわ」
東京市騒擾中の釣
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
為
(
し
)
なくちゃあならぬ。殊に今日本の宗教社会に人物のない時にわざわざ死にに行く必要がないじゃないか
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
妾になら
為
(
し
)
ておこうといったことのある、その男への
復讐心
(
ふくしゅうしん
)
から来る興味もあったが、現在の自分等夫婦には、欠けているらしい或要求と歓楽とに
憧
(
あこが
)
るる心とが
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
沖繩戦が激烈になり、司令長官も陣歿したといふから、十右衛門の次男の大尉も当然陣歿したに相違ない。皆もさう信じて、十右衛門は葬式の用意などを
為
(
し
)
はじめた。
三年
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
自分が紺野老人をたずねて、眼鏡の玉を拾った話でも
為
(
し
)
ようものなら、却って紺野老人を警戒させ、或は紺野老人に
逐電
(
ちくでん
)
させるような結果を惹き起さぬとも限らない。
好色破邪顕正
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
B 私達の小さい手でも、私達の手に出来ることは
何
(
な
)
んでもして
好
(
い
)
い事だったら
為
(
し
)
ましょうねえ。
大きな手
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
気をぬく為めだと云つて茶屋酒なんぞを飲んであるいた
為
(
し
)
うちが肝癪に障つて来るのであつた。
夜烏
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
「僕は君の頼みはどんなことでも
為
(
し
)
よう。君の今一番して欲しいことは何だい」と私は
訊
(
き
)
いた。
淫売婦
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
乃
(
すなは
)
ち
辞
(
いな
)
び譲りて曰く、
臣
(
やつがれ
)
、
不幸
(
さいはひなき
)
、元より
多
(
さはの
)
病有り。何ぞ
能
(
よ
)
く
社稷
(
くにいへ
)
を保たむ。願くは
陛下
(
きみ
)
、天
の
下を挙げて皇后に附けよ。
仍
(
よ
)
りて大友皇子を立てて、
宜
(
よろ
)
しく
儲君
(
まうけのきみ
)
と
為
(
し
)
たまへ。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
吉兵衛という妙好人の言葉を借りると、「
為
(
し
)
始めで為納め」、つまり「為直しのない」ことなのである。茶を点てるのは、そういう行いでなければならぬというのである。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
「能登へ言うてやつたらどうどす? そして浅はんに来てお貰ひやすな。さうしたら浅はんが連れて帰らはるか、病院へ入れはるか、どつちなと
為
(
し
)
やはりますやらうえな。」
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
そして細君は、自分が魔睡の間にサジエストせられて
為
(
し
)
た事を、魔睡が醒めてからは覚えてゐる筈が無いのである。此の魔睡の間の出来事は奈何なる程度まで及んだのであらうか。
魔睡
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
吉野
(
よしの
)
の花の盛りの頃を人は説くが、私は
黄
(
き
)
な菜の花が
殆
(
ほと
)
んど広い大和国中を
彩色
(
さいしき
)
する様な、落花後の期を愛するのである、で私が大和めぐりを
為
(
し
)
たのも
丁度
(
ちょうど
)
この菜の花の頃であった。
菜の花物語
(新字新仮名)
/
児玉花外
(著)
為
常用漢字
中学
部首:⽕
9画
“為”を含む語句
所為
行為
何為
為合
無為
御為
徒為
為替
為様
有為
作為
以為
人為
為出
為立
為掛
為難
当為
為事
為方
...