“棚引”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
たなび96.7%
たなびか3.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
振り返ると、野路の末、雑木林の向うの空に、大小の屋根が夢の町のように浮んで、霞に棚引たなびいているのが見える。平馬の藩である。
平馬と鶯 (新字新仮名) / 林不忘(著)
空を横切るにじの糸、野辺のべ棚引たなびかすみの糸、つゆにかがやく蜘蛛くもの糸。切ろうとすれば、すぐ切れて、見ているうちはすぐれてうつくしい。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
破目われめから漏れおちる垂滴すいてき水沫しぶきに、光線が美しい虹を棚引たなびかせて、たこ唸声うなりごえなどが空に聞え、乾燥した浜屋の前の往来には、よかよかあめの太鼓が子供を呼んでいた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)