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し
ふりがな文庫
“
閉
(
し
)” の例文
「そんなものはありません。旦那は用心深いから、表も裏も念入りに
閉
(
し
)
めて、家中皆んな留守のことにし、窓だけ開けて置きました」
銭形平次捕物控:297 花見の留守
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「いつのまに、こんなに
早
(
はや
)
く
時間
(
じかん
)
がたったろう。」と、つぶやきながら、
例
(
れい
)
のレストランの
前
(
まえ
)
へくると、もう
店
(
みせ
)
は
閉
(
し
)
まっていました。
世の中へ出る子供たち
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
階段を
降
(
お
)
り、階下の校舍の一部を横切り、それから二つの
扉
(
ドア
)
を音を立てないやうに
巧
(
うま
)
く
開
(
あ
)
けて、また
閉
(
し
)
めて、別の階段の所まで來た。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
ろくに動きまわることもできないほどの狭い低い室も、彼には一王国のように思われた。彼は
扉
(
とびら
)
を
鍵
(
かぎ
)
で
閉
(
し
)
め切り、満足して笑った。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
あちらこちらと散々迷い歩いたすえ、表戸を
閉
(
し
)
めかけている荒物煙草屋へ飛び込んで、ようやく、そこへ行く道筋をきくことができた。
キャラコさん:11 新しき出発
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
▼ もっと見る
その抽斗が
開
(
あ
)
けられたり
閉
(
し
)
められたりする時に抽斗の微分子が諸君の鼻の中を舞い上ったり諸君の
咽
(
のど
)
を舞い下ったりするのである。
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
曲馬団
(
きょくばだん
)
を出るとぼくはガロフォリのうちへもどったが、うちはすっかり
閉
(
し
)
まっていた。近所の人に聞いて様子がすっかりわかった。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
ヂュリ おゝ、
早
(
はや
)
う
扉
(
と
)
を
閉
(
し
)
めて、そしてしめてまうたら、わたしと一しょに
泣
(
な
)
いて
下
(
くだ
)
され。もう
絶望
(
だめ
)
ぢゃ!
絶望
(
だめ
)
ぢゃ、
絶望
(
だめ
)
ぢゃ!
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
ととつぜん、暴風にそなえるように、うろたえた手下どもは、
扉
(
とびら
)
へ手をかけて、ドーンという
響
(
ひび
)
きとともに、
間道門
(
かんどうもん
)
を
閉
(
し
)
めてしまった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『あゝつ、』と
忌
(
いま
)
はしさに
手
(
て
)
で
払
(
はら
)
つて、
坐
(
すは
)
り
直
(
なほ
)
して
其処等
(
そこら
)
を
眴
(
みまは
)
す、と
密
(
そつ
)
と
座敷
(
ざしき
)
を
覗
(
のぞ
)
いた
女中
(
ぢよちゆう
)
が、
黙
(
だま
)
つて、スーツと
障子
(
しやうじ
)
を
閉
(
し
)
めた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ぴったりと障子を
閉
(
し
)
めきって、あるじの源十郎とひとりの
年増女
(
としま
)
が、これも何やら声を忍ばせて、しきりに話しこんでいる最中。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
体裁よく言って、次の室との間の
襖子
(
からかみ
)
を命婦自身が確かに
閉
(
し
)
めて、隣室へ源氏の座の用意をしたのである。源氏は少し恥ずかしい気がした。
源氏物語:06 末摘花
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
川沿
(
かはぞひ
)
の
公園
(
こうゑん
)
の
真暗
(
まつくら
)
な
入口
(
いりぐち
)
あたりから
吾妻橋
(
あづまばし
)
の
橋
(
はし
)
だもと。
電車通
(
でんしやどほり
)
でありながら
早
(
はや
)
くから
店
(
みせ
)
の
戸
(
と
)
を
閉
(
し
)
める
鼻緒屋
(
はなをや
)
の
立
(
た
)
ちつゞく
軒下
(
のきした
)
。
吾妻橋
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
凍
(
い
)
てついた道に私たちの下駄を踏み鳴らす音が、両側の大戸を
閉
(
し
)
めきった土蔵造りの建物にカランコロンとびっくりするような
谺
(
こだま
)
を
反
(
かえ
)
した。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
夜は戸を
閉
(
し
)
めて灯の色が暖く、人けも多くなるので、何か拠りどころが有るような気がするが、昼間吹く
空
(
から
)
ッ風は明るいだけに妙に頼りなく
こがらし:――南駅余情――
(新字新仮名)
/
岩本素白
(著)
やがて町にはいりましたが通りの家々はもうみんな戸を
閉
(
し
)
めてしまって、高い窓から暖かそうな光が、道の雪の上に落ちているばかりでした。
手袋を買いに
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
家
(
うち
)
じゅうのものがごろごろした。降り込む雨をふせぐために、東南に向いた店座敷の戸も半分ほど
閉
(
し
)
めてある。半蔵はその居間に
毛氈
(
もうせん
)
を敷いた。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
銀之助は
静
(
しづ
)
に
分
(
わか
)
れて
最早
(
もう
)
歩くのが
慊
(
いや
)
になり、車を飛ばして
自宅
(
うち
)
に帰つた。遅くなるとか、
閉
(
し
)
めても
可
(
い
)
いとか
房
(
ふさ
)
に言つたのを忘れて
了
(
しま
)
つたのである。
節操
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
やがて大胯に船長が入って来て、右も左も見ずに扉を背後にばたんと
閉
(
し
)
めると、朝食の用意のしてあるところへと室を突っ切ってまっすぐに進んだ。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
中には重そうな戸が
閉
(
し
)
まっているのが見えました。やがて、その戸は見る見るうちにすうーっと開いてゆきました。
アラビヤンナイト:03 三、アリ・ババと四十人のどろぼう
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
甚兵衛
(
じんべえ
)
は
不思議
(
ふしぎ
)
に思いましたが、ともかくも
猿
(
さる
)
のいうとおりにして、三日間人形
部屋
(
べや
)
の
襖
(
ふすま
)
を
閉
(
し
)
め切って
置
(
お
)
きました。
猿
(
さる
)
はどこかへ行ってしまいました。
人形使い
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
再び頓狂な音を立てながら
閉
(
し
)
まつてゆく硝子窓のうしろに、ついとその男は顏を引つこめてしまつたからである。
風景
(旧字旧仮名)
/
堀辰雄
(著)
第二の扉のところが
閉
(
し
)
まる——という風に、扉は開いたり閉ったりして、やがて五つの扉の全部を通って、樽ロケットは一つの大きな部屋におちついた。
ふしぎ国探検
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
でも、ドウランのふたが開くことはよくありますから、生徒は気にもかけずに、またふたを
閉
(
し
)
めてしまいました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
かしこに
軍
(
いくさ
)
を起す狼どもの
敵
(
あだ
)
、
羔
(
こひつじ
)
としてわが眠りゐし處——より我を
閉
(
し
)
め
出
(
いだ
)
すその殘忍に勝つこともあらば —六
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
潜戸はいきなりぱあんとはげしい音を立てて
閉
(
し
)
まった。それは古ぼけた縁の釘が飛んだほどの
烈
(
はげ
)
しさであった。
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
それから、母さんとの約束で、
鶏小舎
(
とりごや
)
は、僕がいつも
閉
(
し
)
めに行くことになってる。僕はまた草むしりもする。どんな草でもいいってわけにいかないからね。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
人が箱の蓋をしっかり
閉
(
し
)
めるのを忘れたと見え、いっもとちがって、
蒼白
(
あおじろ
)
い光りが上の方からさして来ます。
椰子蟹
(新字新仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
「おつかあ、
寒
(
さむ
)
かなかつたか、
俺
(
お
)
ら
知
(
し
)
らねえで
居
(
ゐ
)
た」いひながら
大戸
(
おほど
)
をがら/\と
閉
(
し
)
めた。
闇
(
くら
)
くなつた
家
(
いへ
)
の
内
(
うち
)
には
竈
(
かまど
)
の
火
(
ひ
)
のみが
勢
(
いきほ
)
ひよく
赤
(
あか
)
く立つた。おつぎは
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
そして、入口のドアがパタンと
閉
(
し
)
まったとき、ルミちゃんは、なんだかゾーッと、からだが寒くなってきました。なんともいえない、恐ろしい気がしたのです。
魔法人形
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
駅
(
えき
)
のどの家ももう戸を
閉
(
し
)
めてしまって、
一面
(
いちめん
)
の星の下に、
棟々
(
むねむね
)
が黒く
列
(
なら
)
びました。その時童子はふと水の
流
(
なが
)
れる音を聞かれました。そしてしばらく考えてから
雁の童子
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
私はその言葉の意味を考えたが、そのうちに二人は、今
閉
(
し
)
めたばかりの
扉
(
ドア
)
を、音もなく開いて出て行った。
幽霊と推進機
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
陰気ではあるが
家並
(
やなみ
)
の悪くない抜け道にあったが、家はまったく
閉
(
し
)
め切って、窓に貸間の札もみえない。
世界怪談名作集:02 貸家
(新字新仮名)
/
エドワード・ジョージ・アール・ブルワー・リットン
(著)
ルイザはナポレオンに引き
摺
(
ず
)
られてよろめいた。二人の争いは、トルコの香料の
匂
(
にお
)
いを
馥郁
(
ふくいく
)
と
撒
(
ま
)
き散らしながら、寝台の方へ近づいて行った。緞帳が
閉
(
し
)
められた。
ナポレオンと田虫
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
戸外では、いつか雨が降り出していて、湿った
軒燈
(
けんとう
)
に霧のような水しぶきがしていました。兄さんは土間へ降りて硝子戸を
閉
(
し
)
め、カナキンのカアテンを引きました。
蛙
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
それを突っかけてすぐ庭に出ることが出来る、
夜分
(
やぶん
)
こそ
雨戸
(
あまど
)
を
閉
(
し
)
めて家と庭との限界を
厳
(
きび
)
しくしますが、昼は
殆
(
ほとん
)
ど家と庭との境はないといってよいほどであります。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
桝屋の前で駕籠をおりると、表を
閉
(
し
)
めた店の前に、佐吉が若い男と立ち話をしていた。おしのはこの一年半ばかり来なかったので、彼はちょっとわからなかったらしい。
五瓣の椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
窃
(
そっ
)
と覗込んで、小声で、「もうお休みなすったの?」といいながら、中へ入って又
窃
(
そっ
)
と跡を
閉
(
し
)
めたのは、十二時過で遠慮するのだったかも知れぬが、私は
一寸
(
ちょっと
)
妙に思った。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
そこにはいつもの理髪店が、客の来ない
椅子
(
いす
)
を並べて、白昼の往来を眺めているし、さびれた町の左側には、売れない時計屋が
欠伸
(
あくび
)
をして、いつものように戸を
閉
(
し
)
めている。
猫町:散文詩風な小説
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
今夜はもう五ツ(午後八時)を過ぎているので、海辺の茶店は
閉
(
し
)
まっていた。北から数えて五つ目の茶店の前で、下総屋の番頭吉助は立ちどまってそっと左右を見まわした。
半七捕物帳:31 張子の虎
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
嫁
(
よめ
)
になんど
思
(
おも
)
ひも
寄
(
よ
)
らぬことなり
詞
(
ことば
)
かはすも
忌
(
いま
)
はしきに
疾々
(
とく/\
)
歸
(
かへ
)
らずやお
歸
(
かへ
)
りなされエヽ
何
(
なに
)
をうぢ/\
老婆
(
ばあ
)
さま
其處
(
そこ
)
を
閉
(
し
)
めなさいと
詞
(
ことば
)
づかひも
荒々
(
あら/\
)
しく
怒
(
いか
)
りの
面色
(
めんしよく
)
すさまじきを
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
どこかしことなく江戸中残らずの木戸が、もう
閉
(
し
)
まってしまっているのだということだった。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
「
透明人間
(
とうめいにんげん
)
がくるって……そいつはたいへんだ。おいっ! ドアを
閉
(
し
)
めろ、ドアを閉めろ!」
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
と、自分も逃げて来たように言って、八千代さんはそこらの障子を
閉
(
し
)
めてくれて
傍
(
そば
)
へ来た。
遠藤(岩野)清子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
白々と
閉
(
し
)
まった。男はそのときやっと安心したように目をやると、また仕事台にむかった。
香爐を盗む
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
不器用なるは芸を
為
(
な
)
す事能わざる故選びに念入る事の由、その選ぶ術は、まず一人を
容
(
い
)
るべきほどの戸棚を造り、戸を
閉
(
し
)
める時自ずから栓下りて開けざるごとくして中に食物を置き
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
云
(
い
)
うなりニキタは
戸
(
と
)
をぱたり。そうして
背
(
せ
)
を
閉
(
し
)
めた
戸
(
と
)
に
当
(
あ
)
ててやはりそこに
仁王立
(
におうだち
)
。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
そのうち
雨
(
あめ
)
は
益
(
ます/\
)
深
(
ふか
)
くなつた。
家
(
いへ
)
を
包
(
つゝ
)
んで遠い
音
(
おと
)
が
聴
(
きこ
)
えた。
門野
(
かどの
)
が
出
(
で
)
て
来
(
き
)
て、
少
(
すこ
)
し
寒
(
さむ
)
い様ですな、
硝子戸
(
がらすど
)
を
閉
(
し
)
めませうかと
聞
(
き
)
いた。
硝子戸
(
がらすど
)
を
引
(
ひ
)
く
間
(
あひだ
)
、
二人
(
ふたり
)
は
顔
(
かほ
)
を
揃
(
そろ
)
えて
庭
(
には
)
の方を
見
(
み
)
てゐた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
危険が切迫したので雷門も戸を
閉
(
し
)
めてしまったから、いよいよ一方口になって、吾妻橋の方へ人は波を打って逃げ出し、一方は花川戸、馬道方面、一方は橋を渡って本所へと
遁
(
に
)
げて行く。
幕末維新懐古談:13 浅草の大火のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
それだけなら不思議はないんですが、庭へ廻つてみると、障子が
閉
(
し
)
めきつてあります。声をかけると家内より先に「お帰りなさい」といふその医者の返事が、部屋の中から聞えるんです。
クロニック・モノロゲ
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
“閉”の意味
《名詞》
(とず) 暦注の十二直の一つ。堤を築くことなどに吉、柱立て、婚姻、鍼灸などに凶という日。
(出典:Wiktionary)
閉
常用漢字
小6
部首:⾨
11画
“閉”を含む語句
閉塞
閉籠
幽閉
閉口
開閉
閉場
閉切
戸閉
閉込
閉鎖
開閉器
密閉
閉出
閉伊川
閉店
上閉伊郡
密閉室
大閉口
閉扉
本開閉器
...