こがらし――南駅余情――――みなみえきよじょう――
こがらし、筑波おろし、そういう言葉を明治中期の東京の少年達は早くから知って居た。そうして其の言葉を、自分達の書くものの中などにも使って居た。それは寒さが今よりも早く来たし、衣料も今のように温い毛の物などが無く、風がひどく身に沁みて、始終人が …