波止場の附近はいつものやうに、ぷんぷん酒臭い水夫や、忙しさうに陸揚してゐる人夫どもで一ぱいだつた。僕はさういふさなかを窮窟さうに歩くといふよりも、むしろ人氣のなささうなところを、ところを、と拾ひながら歩いてゐた。すると突然、僕は或るへんてこ …
著者 | 堀辰雄 |
ジャンル | 文学 > 日本文学 > 小説 物語 |
初出 | 第一稿「山繭 第十号」1926(大正15)年3月1日、改稿「文學 第六号」1930(昭和5)年3月1日 |
文字種別 | 旧字旧仮名 |
読書目安時間 | 約7分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約12分(300文字/分) |