“蒼白”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
あおじろ52.7%
そうはく17.0%
あをじろ10.3%
まっさお7.9%
あおざ4.2%
あおしろ2.8%
あをしろ0.9%
あをざ0.7%
あおざめ0.5%
あを0.5%
さうはく0.5%
まつさを0.2%
あえ0.2%
あお0.2%
あおく0.2%
あおじ0.2%
しろ0.2%
まっしろ0.2%
まッさお0.2%
まッさを0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
蒼白い、仮面のような顔に、んだ嘲笑が、刻みつけられでもしたように動かず、血ばしった眼は、けものめいた光りを放っていた。
やぶからし (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
つるつる坊主の蒼白の顔に、小さなの絹の着物を着せられて、ぐったりわっている姿は文楽か何かの陰惨な人形のようであった。
廃墟から (新字新仮名) / 原民喜(著)
「もう何時」とひながら、枕元宗助見上げた。とはつてから退いて、洋燈らされたが、ことに蒼白つた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
職人は見るみる蒼白になって、俯向いて唇を噛んでいたが、匕首を腹掛の丼におさめると、首を垂れたまましずかに出て行った。
顎十郎捕物帳:02 稲荷の使 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
突然レムブルグが悲鳴をあげて廊下に飛出す、米良はバルコニに駈け上るとれた空気に蒼白めた闘争にれた同志の死体が沈むのを見た。
地図に出てくる男女 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
身体も服装もき通っておりますが、顔だけはたしかにその女だと分るくらいにかであります。ただ常よりは非常に蒼白いのであります。
創作家の態度 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しばらく黙然として三千代の顔を見てゐるうちに、女のからが次第に退ぞいてつて、普通よりはに付く程蒼白くなつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
さつぱりした旦那様! あなたのお顔はまるで黒海のやうに蒼白めてしまひ、あなたの心臓はぴつたり止まつてしまひましたわ! まあ
平田は驚くほど蒼白た顔をして、「遅くなッた、遅くなッた」と、独語のように言ッて、忙がしそうに歩き出した。足には上草履を忘れていた。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
瀧口が顏愈〻やつれ、頬肉は目立つまでに落ちて眉のみ秀で、凄きほど色蒼白みてかなる雙の鬢のみぞ、愈〻其のを増しける。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
梅子はて平然と装へり、れど制すべからざるは其顔なり、よ、其の蒼白を、芳子は稍々予算狂へるが如く、かしげに姉の見つめて、居たりしが、芳子々々と
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
夫と妻とは、蒼白になりながら、黙々として相対してゐた。信一郎は、ポケットに入れてある時計が、何か魔の符でもあるやうに、気味悪く感ぜられ始めた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
「ウン、顔の蒼白え若え人でな。年の頃はやっと三十位だんべい。ちょっくら様子のいゝ人だアよ」
青服の男 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
樹島は、ハッと、真綿に据えたまま、蒼白くなって飛退った。そして、両手をついた。指はズキズキと身にえた。
夫人利生記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
私は蒼白なりました。何んでもこの人は知ってるのだ! 斯う思って蒼くなったのです。
西班牙の恋 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
皆んなは思わずくびに流込んだ霧雨のをヒヤリと感じて顔を見合せました。丁度いまもその話が出たばかりですし倔強な工夫たちもさっと顔が蒼白らんでしまいました。
(新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
水晶のように蒼白かった顔が、今はあたかも瑪瑙のように美しい桃色に一変したが、同時に姿勢もチャンと締まり、よろめいていた足もと据わった。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そう唱えると共に、ふしぎな力がわいて、彼女は、蒼白えていたを、きりっと、真っ直に上げた。自分の力でないようなものが、そのを厳然とささえた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その包み紙に字が書いてあった。もしやとげて読み下して、小万は驚いて蒼白になッた。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
蒼白!……にもやら? や、パリスどのまで? さへ血汐って?……あゝ/\、といふ無慚時刻ぢゃ、如是あさましいをば一爲出來すとは!……や、身動やる。