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蒼白
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あをじろ
ふりがな文庫
“
蒼白
(
あをじろ
)” の例文
「もう
何時
(
なんじ
)
」と
云
(
い
)
ひながら、
枕元
(
まくらもと
)
の
宗助
(
そうすけ
)
を
見上
(
みあ
)
げた。
宵
(
よひ
)
とは
違
(
ちが
)
つて
頬
(
ほゝ
)
から
血
(
ち
)
が
退
(
ひ
)
いて、
洋燈
(
らんぷ
)
に
照
(
て
)
らされた
所
(
ところ
)
が、ことに
蒼白
(
あをじろ
)
く
映
(
うつ
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
顏色
(
かほいろ
)
は
蒼白
(
あをじろ
)
く、
姿
(
すがた
)
は
瘠
(
や
)
せて、
初中終
(
しよつちゆう
)
風邪
(
かぜ
)
を
引
(
ひ
)
き
易
(
やす
)
い、
少食
(
せうしよく
)
で
落々
(
おち/\
)
眠
(
ねむ
)
られぬ
質
(
たち
)
、一
杯
(
ぱい
)
の
酒
(
さけ
)
にも
眼
(
め
)
が
廻
(
まは
)
り、
往々
(
まゝ
)
ヒステリーが
起
(
おこ
)
るのである。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
喜三郎は神經質らしく
小鬢
(
こびん
)
を
掻
(
か
)
いたり、襟を直したりして居ります。
蒼白
(
あをじろ
)
いお
店
(
たな
)
者で、いかにも弱々しく善良さうでさへあります。
銭形平次捕物控:298 匕首の行方
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ともすると風に吹き消されさうになる裸蝋燭を袖で
護
(
まも
)
りながら、一歩々々長い廊下を歩いて行くかれの
蒼白
(
あをじろ
)
い
鬚
(
ひげ
)
の深い顔が見えた。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
Jesu
(
ヂェシュー
)
Maria
(
マリヤ
)
! どれほど
苦
(
にが
)
い
水
(
みづ
)
が
其
(
その
)
蒼白
(
あをじろ
)
い
頬
(
ほゝ
)
をローザラインの
爲
(
ため
)
に
洗
(
あら
)
うたことやら?
幾何
(
どれほど
)
の
鹽辛水
(
しほからみづ
)
を
無用
(
むだ
)
にしたことやら
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
▼ もっと見る
「
世
(
よ
)
の
人々
(
ひとびと
)
の
御主
(
おんあるじ
)
よ、われをも
拯
(
たす
)
け
給
(
たま
)
へ。」
此世
(
このよ
)
の
御扶
(
おんたすけ
)
も
蒼白
(
あをじろ
)
いこのわが
罪業
(
ざいごふ
)
は
贖
(
あがな
)
ひ
給
(
たま
)
はなかつた。わが
身
(
み
)
は
甦生
(
よみがへり
)
の
日
(
ひ
)
まで
忘
(
わすれ
)
られてゐる。
癩病やみの話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
軽気球の繋がれてゐるのは、この三階の物干台で、朝と夕方には、
縞銘仙
(
しまめいせん
)
の筒つぽの着物を着たここの主人が
蒼白
(
あをじろ
)
い顔を現して操作を行ふ。
日本三文オペラ
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
酒気が身体へ廻つたと見えて、頬も、耳も、手までも
紅
(
あか
)
く成つた。丑松は又、一向顔色が変らない。飲めば飲む程、
反
(
かへ
)
つて頬は
蒼白
(
あをじろ
)
く成る。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
俺あ
直
(
ぢ
)
き見分けらあ。機関兵は
痩
(
や
)
せて色が
蒼白
(
あをじろ
)
いや。水兵はまる/\と
肥
(
ふと
)
つて色が黒いや。
何故
(
なぜ
)
つてよ、機関兵は石炭のこなほこりや、油煙を
ある職工の手記
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
打ち見やりて時頼
莞爾
(
につこ
)
と打ち
笑
(
ゑ
)
み、
二振三振
(
ふたふりみふり
)
、
不圖
(
ふと
)
平見
(
ひらみ
)
に映る我が顏見れば、こはいかに、内落ち色
蒼白
(
あをじろ
)
く、ありし昔に似もつかぬ悲慘の容貌。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
玄乗破了和尚
(
げんじようはれうをしやう
)
さんが、玄関へ応対に出て見ると、若者は
蒼白
(
あをじろ
)
い顔をうつむけて、庭の梅の木の下にしよんぼり立つてゐた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
そして
斷
(
た
)
えず其の考に
小突
(
こづか
)
かれるのであるから、神經は次第にひ
弱
(
よわ
)
となツて、
頬
(
ほゝ
)
の肉は
剡
(
こ
)
ける、顏の色は
蒼白
(
あをじろ
)
くなる
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
彼の顏が
蒼白
(
あをじろ
)
いのも、あんなに
爐
(
ろ
)
に近く坐つてゐるのも、家の中で外套を着てゐるのも確かにそんな理由からなのだ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
透
(
す
)
きとほるやうに
蒼白
(
あをじろ
)
きがいたましく
見
(
み
)
えて、
折柄
(
をりから
)
世話
(
せわ
)
やきに
來
(
き
)
て
居
(
ゐ
)
たりし
差配
(
さはい
)
が
心
(
こゝろ
)
に、
此人
(
これ
)
を
先刻
(
さき
)
のそゝくさ
男
(
をとこ
)
が
妻
(
つま
)
とも
妹
(
いもと
)
とも
受
(
うけ
)
とられぬと
思
(
おも
)
ひぬ。
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
と
六月
(
ろくぐわつ
)
の
日
(
ひ
)
の
照
(
て
)
らす
中
(
なか
)
に、
寢不足
(
ねぶそく
)
の
蒼白
(
あをじろ
)
い
顏
(
かほ
)
を、
蒸返
(
むしかへ
)
しにうだらして、
筋
(
すぢ
)
もとろけさうに、ふら/\と
邸
(
やしき
)
に
近
(
ちか
)
づく。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
片輪といふ程目立たなくも室長は軽いセムシで、二六時中
蒼白
(
あをじろ
)
い顔の
眉
(
まゆ
)
を逆立てて下を向いて黙つてゐた。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
蒼白
(
あをじろ
)
い少年であつた私は、彼からその一節を読みきかされて、
遽
(
には
)
かに小さい心臓の痛みを感じた。私はその頃、周囲に女の子の遊び友達しかもつてゐなかつた。
町の踊り場
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
津下君は色の
蒼白
(
あをじろ
)
い
細面
(
ほそおもて
)
の青年で、いつも
眉根
(
まゆね
)
に
皺
(
しわ
)
を寄せてゐた。私は君の一家の否運が Kain のしるしのやうに、君の相貌の上に
見
(
あら
)
はれてゐたかと思ふ。
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
酔
(
よ
)
へば
蒼白
(
あをじろ
)
くなる顔は
益々
(
ます/\
)
蒼白
(
あをじろ
)
く
秀
(
ひい
)
でた
眉
(
まゆ
)
を寄せて口を一文字に結んだのを見ると
房
(
ふさ
)
は
可恐
(
こはい
)
と思つた。
節操
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
鼠色の
白楊
(
はこやなぎ
)
よ、罪ありさうに
顫
(
ふる
)
へてゐる、
全體
(
ぜんたい
)
どんな
打明話
(
うちあけばなし
)
が、その
蒼白
(
あをじろ
)
い葉の上に書いてあつたのだらう、どういふ思出を恐れてゐるのだ、秋の
小逕
(
こみち
)
に棄てられた熱に惱んだ
少女子
(
をとめご
)
よ。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
あの
蒼白
(
あをじろ
)
いつるつるの瀬戸でできてゐるらしい立派な
盤面
(
ダイアル
)
の時計です。
耕耘部の時計
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
ひそやかな葉摺れに消え入る思ひして私の夢は
蒼白
(
あをじろ
)
い眼を沈めてゆく
太陽の子
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
金花はまるで
喪心
(
さうしん
)
したやうに、翡翠の耳環の下がつた頭をぐつたりと後へ
仰向
(
あふむ
)
けた儘、しかし
蒼白
(
あをじろ
)
い頬の底には、
鮮
(
あざやか
)
な血の色を
仄
(
ほの
)
めかせて、鼻の先に迫つた彼の顔へ、
恍惚
(
くわうこつ
)
としたうす眼を注いでゐた。
南京の基督
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
歸
(
かへ
)
るな
可愛
(
かあい
)
い、
蒼白
(
あをじろ
)
い
蝸牛
(
でゝ
)
よ、さア/\一
緒
(
しよ
)
に
來
(
き
)
て
踊
(
をど
)
らんせ。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
みんなみんな
蒼白
(
あをじろ
)
いせるろいどの向ふよ
幻燈:《幼な日の思ひ出のために》
(新字旧仮名)
/
森川義信
(著)
夕暮の窓にもたれて、
蒼白
(
あをじろ
)
き息ふく
まよわし
(新字旧仮名)
/
漢那浪笛
(著)
落涙
(
らくるゐ
)
す、
蒼白
(
あをじろ
)
き
頬
(
ほ
)
に。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
物を思へど、
蒼白
(
あをじろ
)
い
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
顏
(
かほ
)
蒼白
(
あをじろ
)
き
若者
(
わかもの
)
に
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
蒼白
(
あをじろ
)
う、
灰
(
はひ
)
のやうに
蒼白
(
あをじろ
)
うなって、
血
(
ち
)
みどろになって、どこもどこも
血
(
ち
)
が
凝
(
こご
)
りついて。
見
(
み
)
ると
其儘
(
そのまゝ
)
、わしゃ
氣
(
き
)
を
失
(
うし
)
なうてしまひましたわいの。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
猪
(
しゝ
)
が
飛出
(
とびだ
)
したやうに
又
(
また
)
驚
(
おどろ
)
いて、
彼
(
かれ
)
は
廣
(
ひろ
)
い
辻
(
つじ
)
に
一人
(
ひとり
)
立
(
た
)
つて、
店々
(
みせ/\
)
の
電燈
(
でんとう
)
の
數
(
かず
)
より
多
(
おほ
)
い、
大屋根
(
おほやね
)
の
石
(
いし
)
の
蒼白
(
あをじろ
)
い
數
(
かず
)
を
見
(
み
)
た。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
頸
(
くび
)
すぢには月光のやうな
蒼白
(
あをじろ
)
い光の反映があり、同じ
微
(
かす
)
かな輝きは、
淡
(
あは
)
い雲の列を染め、宵の
明星
(
みやうじやう
)
の夢幻的な姿はそこから現はれて身をかゞめてゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
北の方から電車が進んで来、警笛を鳴らし、
蒼白
(
あをじろ
)
く烈しいヘッドライトはそれを避ける彼らの影を、雨に濡れた軌道の小石の上に大きく振廻すのであつた。
釜ヶ崎
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
けれども三四郎は、かう云ふ
顔
(
かほ
)
だちから
出
(
で
)
る、此時にひらめいた咄嗟の表情を生れて始めて見た。
蒼白
(
あをじろ
)
い
額
(
ひたひ
)
の
後
(
うしろ
)
に、自然の
儘
(
まゝ
)
に
垂
(
た
)
れた
濃
(
こ
)
い髪が、肩迄見える。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
地上
(
ちじやう
)
にあつて、この
蒼白
(
あをじろ
)
い
苦患
(
くげん
)
に
取巻
(
とりま
)
かれてゐるわが
身
(
み
)
は、
今
(
いま
)
この
無垢
(
むく
)
の
血
(
ち
)
を
有
(
も
)
つてゐる
主
(
しゆ
)
の
幼児
(
をさなご
)
の
頸
(
くび
)
に
血
(
ち
)
を
吸取
(
すひと
)
つてやらうと、こゝまで
見張
(
みは
)
つて
来
(
き
)
たのである。
癩病やみの話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
息ぎれがして、顔色が一層
蒼白
(
あをじろ
)
くなつた栄蔵だけが、どこへ身を隠したものかと、まごついてゐた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
いつも血色の悪い、
蒼白
(
あをじろ
)
い顔が、
大酒
(
たいしゆ
)
をしたやうに
暗赤色
(
あんせきしよく
)
になつて、持前の
二皮目
(
ふたかはめ
)
が
血走
(
ちばし
)
つてゐる。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
そして
斷
(
た
)
えず其の考に
小突
(
こづか
)
かれるのであるから、神經は次第にひ
弱
(
よわ
)
となツて、
頬
(
ほゝ
)
の肉は
剡
(
こ
)
ける、顏の色は
蒼白
(
あをじろ
)
くなる、誰が見てもカラ元氣のない
不活發
(
ふくわつぱつ
)
な青年となツて[#
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
「
蒼白
(
あをじろ
)
い生え際、唇が
珊瑚
(
さんご
)
色で、横顏の綺麗さは、歌舞伎役者にも、あんなのはありません」
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
目星をつけた家の
気勢
(
けはひ
)
を暫く
窺
(
うかゞ
)
つた後、格子戸を開けてみると、額の
蒼白
(
あをじろ
)
い、
眉毛
(
まゆげ
)
の濃い、目の大きい四十がらみのお神が長火鉢のところにゐて、ちよつと困惑した顔だつた。
のらもの
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
物思
(
ものおも
)
ひ
顏
(
がほ
)
の
若者
(
わかもの
)
が
襟
(
えり
)
のあたり
冷
(
ひ
)
いやりとしてハツと
振拂
(
ふりはら
)
へば
半面
(
はんめん
)
を
射
(
ゐ
)
る
瓦斯燈
(
がすとう
)
の
光
(
ひかり
)
蒼白
(
あをじろ
)
し
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
マーキュ はて、あの
蒼白
(
あをじろ
)
い
情無
(
じゃうな
)
し
女
(
をんな
)
のローザラインめが
散々
(
さん/″\
)
に
奴
(
やつ
)
を
苦
(
くるし
)
めるによって、
果
(
はて
)
は
狂人
(
きちがひ
)
にもなりかねまいわい。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
さ、
其
(
それ
)
を
食
(
た
)
べた
所爲
(
せゐ
)
でせう、お
腹
(
なか
)
の
皮
(
かは
)
が
蒼白
(
あをじろ
)
く、
鱶
(
ふか
)
のやうにだぶだぶして、
手足
(
てあし
)
は
海松
(
みる
)
の
枝
(
えだ
)
の
枯
(
か
)
れたやうになつて、
漸
(
や
)
つと
見着
(
みつ
)
けたのが
鬼
(
おに
)
ヶ
島
(
しま
)
、——
魔界
(
まかい
)
だわね。
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
今日
(
こんにち
)
迄
(
まで
)
の
經驗
(
けいけん
)
に
訴
(
うつた
)
へて、これ
位
(
くらゐ
)
微
(
かす
)
かな
燈火
(
ともしび
)
に、
夜
(
よ
)
を
營
(
いと
)
なむ
人間
(
にんげん
)
を
憶
(
おも
)
ひ
起
(
おこ
)
す
事
(
こと
)
が
出來
(
でき
)
なかつた。
其
(
その
)
光
(
ひかり
)
は
無論
(
むろん
)
月
(
つき
)
よりも
強
(
つよ
)
かつた。
且
(
かつ
)
月
(
つき
)
の
如
(
ごと
)
く
蒼白
(
あをじろ
)
い
色
(
いろ
)
ではなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
顏色は變に
蒼白
(
あをじろ
)
かつた。しかしその他では彼は容貌の美しい人であつた。特に初めて見た時さうである。よく/\見ると彼の顏には何か人に
不快
(
いや
)
だと思はすものがあつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
時
(
とき
)
は
冬
(
ふゆ
)
の
初
(
はじめ
)
で、
霜
(
しも
)
が
少
(
すこ
)
し
降
(
ふ
)
つてゐる。
椒江
(
せうこう
)
の
支流
(
しりう
)
で、
始豐溪
(
しほうけい
)
と
云
(
い
)
ふ
川
(
かは
)
の
左岸
(
さがん
)
を
迂囘
(
うくわい
)
しつつ
北
(
きた
)
へ
進
(
すゝ
)
んで
行
(
ゆ
)
く。
初
(
はじ
)
め
陰
(
くも
)
つてゐた
空
(
そら
)
がやうやう
晴
(
は
)
れて、
蒼白
(
あをじろ
)
い
日
(
ひ
)
が
岸
(
きし
)
の
紅葉
(
もみぢ
)
を
照
(
てら
)
してゐる。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
ふと池の向ひの木立の蔭に
淡赤
(
うすあか
)
い電燈の影が、
月暈
(
つきのかさ
)
のやうな円を描いて、庭木や草の上に
蒼白
(
あをじろ
)
く反映してゐるのが目についたが、それは隠居所のやうな一
棟
(
むね
)
の
離房
(
はなれ
)
で、
瓦葺
(
かはらぶき
)
の高い二階建であつた。
或売笑婦の話
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
... 誰が見てもカラ元氣のない
不活發
(
ふくわつぱつ
)
な青年となツて」は底本では「は次第にひ
弱
(
よわ
)
となツて、
頬
(
ほゝ
)
の肉は
剡
(
こ
)
ける、顏の色は
蒼白
(
あをじろ
)
くなる、誰が見てもカラ元氣のない
不活發
(
ふくわつぱつ
)
で何うかして忘れて了はうとする、 ...
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
「
貴方
(
あなた
)
は丸で代言人の様な事を仰しやるのね」と云つた。代助は
蒼白
(
あをじろ
)
くなつた
額
(
ひたひ
)
を
嫂
(
あによめ
)
の
傍
(
そば
)
へ
寄
(
よ
)
せた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
あ、と
言
(
い
)
つて、
其
(
そ
)
の
消
(
き
)
えかゝるのに
驚
(
おどろ
)
いて、
半
(
なか
)
ばうつゝに
目
(
め
)
を
開
(
ひら
)
く、
女
(
をんな
)
たちの
顏
(
かほ
)
は
蒼白
(
あをじろ
)
い。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“蒼白(蒼白色)”の解説
蒼白色(そうはく-しょく)は色の一つ。青白(あおじろ)とも。JIS慣用色名には含まれない。同名で2系統の色がある。
(出典:Wikipedia)
蒼
漢検準1級
部首:⾋
13画
白
常用漢字
小1
部首:⽩
5画
“蒼白”で始まる語句
蒼白化
蒼白顏
蒼白痩削