“情無”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
なさけな60.9%
つれな8.7%
なさけね8.7%
じゃうな4.3%
じょうな4.3%
すげな4.3%
なさけなく4.3%
なさけの4.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それを私は情無なさけなく、瓦の一撃で殺してしまった——そう思った時の私の苦しさは、ひとえに先生の御推察を仰ぐほかはございません。
疑惑 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
公子 それは、あまり、情無つれないお言葉と申すもの。が、その情無いお言葉は今に始まったことではなく、昔からのことでござりました。
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
こう、おめえたちにゃ限らねえ。世間にゃそうした情無なさけねえ了簡な奴ばかりだから、そんな奴等へ面当つらあてに、河野の一家いっけ鎗玉やりだまに挙げたんだ。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
マーキュ はて、あの蒼白あをじろ情無じゃうなをんなのローザラインめが散々さん/″\やつくるしめるによって、はて狂人きちがひにもなりかねまいわい。
はなは、あののち、じきに、情無じょうなしのかぜにもぎとられてしまいました。」と、こたえました。そして、むべのつるが、しっかりとれた小枝こえだにぎっているのをて、しじゅうからは
谷間のしじゅうから (新字新仮名) / 小川未明(著)
さりとて情無すげなく振り切りもなされずに、恋のしもべの狂うのをじらして遊ぶ、悪性しょうわるの姫君のように、気をいらだたせるお心が、私には怨めしいよりも、なつかしく、また慕わしいとは
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
おのがかしらにさしたる金簪きんかんざしまで引抜きぬくみを添えて売ってのみ、我身のまわり調度にしてたまわりし大事の/\女房に満足させて、昔のきをたのしみに語りたさのためなりしに、情無なさけなくも死なれては
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
太陽てんとう様が黄色きんなく見えて、生汗なまあせが背中を流れて、ツクツク魚売人さかなうりの商売が情無なさけのうなります。何の因果でこげな人間に生れ付いたか知らん。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)