情無つれな)” の例文
公子 それは、あまり、情無つれないお言葉と申すもの。が、その情無いお言葉は今に始まったことではなく、昔からのことでござりました。
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
敷台までも下りず突立ちながら、用事なら庫裡の方へ廻れ、と情無つれなく云ひ捨てゝ障子ぴつしやり、後は何方どこやらの樹頭に啼くひよの声ばかりして音もなく響きもなし。
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
公子 (静かなれども熱心の口調にて)日頃情無つれな貴女あなたのことゆえ、私に逢いに来られたのではござりますまいが、一人でそのようにうなだれているのを見ると、何んとなく貴女が
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)