“鵯”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
ひよどり62.5%
ひよ37.5%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
寒の雨の降る中を、ひよどりが栴檀の実を食いに来る。鵯も栴檀の実も等しく雨に濡れつつある。寒いながら何となく親しい感じのする句である。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
二、三日も降り続いた後の朝に、一尺か二尺四方の黒い土の肌を出しておくと、何の餌もおとりもなくてそれだけでひよどりつぐみが下りてくる。
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
へさきはそのまま進んだ、けれど佐助の櫓の手は、どうしても大きく動かなかった。——じゃくとして、人影も見えない島には、ひよどりが高く啼いていた。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
侯爵は鴎の影がなくなつたのでまた安心してかば色の実にくちばしを入れ出した小ひよどりに眼をやりながら言葉を続ける。
(新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
ひよどりの来る高いけやきこずえはすっかり秋の色にそまり、芝生しばふの中に一叢ひとむら咲き乱れているコスモスの花は、強い日差しに照り映えていた。
南画を描く話 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
その時——それは、ひよく音に似たような、哀れに淋しい尺八たけの調べが、林の静寂しじまに低くふるえて、どこからともなく聞こえてきた。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
浅露あからさまなる日の光のまばゆきのみにて、啼狂なきくるひしこずゑひよの去りし後は、隔てる隣より戞々かつかつ羽子はね突く音して
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ひよ文鳥ぶんちょう駒鳥こまどり遊仙鳥ゆうせんちょう、そんな小禽ことりが、紅葉もみじちらして歌いあった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と云い放ち、ひよのごとく、庭木のあいだへ駈け去った。逃げたのである。利家は大きく舌打ちした。そしてもう一度秀吉へ詫びを云った。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
稀には何処から迷い込んだか洋服ゲートルの猟者が銃先つつさきしぎひよのけたゝましく鳴いて飛び立つこともあるが、また直ぐともとの寂しさに返える。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)