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見着
夜更の事とて
誰も知らず、
朝になりて
見着けたる、お春の
身体は冷たかりき、蜘蛛の
這へりし跡やらむ、縄にて
縊りし如く青き
条をぞ
画きし。
その
佃煮に
駈けつけた
時は……
先刻に
見着けた
少しばかりの
罐詰も、それも
此も
賣切れて
何にもなかつた。
さ、
其を
食べた
所爲でせう、お
腹の
皮が
蒼白く、
鱶のやうにだぶだぶして、
手足は
海松の
枝の
枯れたやうになつて、
漸つと
見着けたのが
鬼ヶ
島、——
魔界だわね。