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みつ
夜更の事とて
誰も知らず、
朝になりて
見着けたる、お春の
身体は冷たかりき、蜘蛛の
這へりし跡やらむ、縄にて
縊りし如く青き
条をぞ
画きし。
その
佃煮に
駈けつけた
時は……
先刻に
見着けた
少しばかりの
罐詰も、それも
此も
賣切れて
何にもなかつた。
さ、
其を
食べた
所爲でせう、お
腹の
皮が
蒼白く、
鱶のやうにだぶだぶして、
手足は
海松の
枝の
枯れたやうになつて、
漸つと
見着けたのが
鬼ヶ
島、——
魔界だわね。
蟋蟀でさへ、
其の
蟲は、
宛然夕顏の
種が
一つこぼれたくらゐ
小くつて、なか/\
見着かりませんし、……
何うして
掴まりつこはないさうです……
貴女がなさいますやうに
幸ひ
美少年録も
見着からず、
教師は
細君を
連れて
別室に
去り、
音も
其ツ
切聞えずに
濟んだ。
兄じやに
見着かつた
上からは
安穩に
村には
居られぬ、と
思ふと、
寺の
和尚まで
一所に
成つて、
今にも
兩親をはじめとして、ドヤ/\
押寄せて
來さうに
思はれ、さすがに
小助は
慌しく
鯊を
見着けたが、
買はうと
思ふと、いつもは
小清潔な
店なんだのに、
其の
硝子蓋の
中は、と
見るとギヨツとした。
眞黒に
煮られた
鯊の、
化けて
頭の
飛ぶやうな、
一杯に
跳上り
飛𢌞る
蠅であつた。
『
己が
見着けて
持つて
帰る、
死骸の
来るのを
待つて
居れ。』と
睨みつけて
廊下を
蹴立てゝ
出た——
帳場に
多人数寄合つて、
草鞋穿の
巡査が
一人、
框に
腰を
掛けて
居たが、
矢張此の
事に
就いてらしい。
『
可から、
死骸でも
何でも
見着かつた
時にせう。』
此間見着けた時には、腹は立たないで涙が出たぞ