見着みつ)” の例文
夜更よふけの事とてたれも知らず、あしたになりて見着みつけたる、お春の身体からだは冷たかりき、蜘蛛のへりし跡やらむ、縄にてくびりし如く青きすぢをぞゑがきし。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
その佃煮つくだにけつけたときは……先刻さき見着みつけたすこしばかりの罐詰くわんづめも、それもこれ賣切うりきれてなんにもなかつた。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さ、それべた所爲せゐでせう、おなかかは蒼白あをじろく、ふかのやうにだぶだぶして、手足てあし海松みるえだれたやうになつて、つと見着みつけたのがおにしま、——魔界まかいだわね。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
蟋蟀こほろぎでさへ、むしは、宛然まるで夕顏ゆふがほたねひとつこぼれたくらゐちひさくつて、なか/\見着みつかりませんし、……うしてつかまりつこはないさうです……貴女あなたがなさいますやうに
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
さいは美少年録びせうねんろく見着みつからず、教師けうし細君さいくんれて別室べつしつり、おとそれきりきこえずにんだ。
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
あにじやに見着みつかつたうへからは安穩あんのんむらにはられぬ、とおもふと、てら和尚をしやうまで一所いつしよつて、いまにも兩親りやうしんをはじめとして、ドヤ/\押寄おしよせてさうにおもはれ、さすがに小助こすけあわたゞしく
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
はぜ見着みつけたが、はうとおもふと、いつもは小清潔こぎれいみせなんだのに、硝子蓋がらすぶたなかは、とるとギヨツとした。眞黒まつくろられたはぜの、けてあたまぶやうな、一杯いつぱい跳上はねあが飛𢌞とびまははへであつた。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一體いつたいじゆくでは小説せうせつ嚴禁げんきんなので、うつかり教師けうし見着みつかると大目玉おほめだまふのみならず、この以前いぜん三馬さんば浮世風呂うきよぶろ一册いつさつ沒收ぼつしうされて四週間ししうかん置放おきつぱなしにされたため、貸本屋かしほんやから嚴談げんだんつて、大金たいきんられ
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
おれ見着みつけてつてかへる、死骸しがいるのをつてれ。』とにらみつけて廊下らうか蹴立けたてゝた——帳場ちやうば多人数たにんず寄合よりあつて、草鞋穿わらぢばき巡査じゆんさ一人ひとりかまちこしけてたが、矢張やつぱりこといてらしい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いゝから、死骸しがいでもなんでも見着みつかつたときにせう。』
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
此間このあひだ見着みつけた時には、腹は立たないで涙が出たぞ
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)