森川義信
1918.10.11 〜 1942.08.13
著者としての作品一覧
哀歌(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
枝を折るのは誰だらう あはただしく飛びたつ影は何であらう ふかい吃水のほとりから そこここの傷痕から ながれるものは流れつくし かつてあつたままに暮れていつた いちどゆけばもはや帰 …
読書目安時間:約1分
枝を折るのは誰だらう あはただしく飛びたつ影は何であらう ふかい吃水のほとりから そこここの傷痕から ながれるものは流れつくし かつてあつたままに暮れていつた いちどゆけばもはや帰 …
青き蜜柑(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
愁ひ来て丘にのぼりて 酸の香る蜜柑もぐなり 悲しみの青き蜜柑を 栗林こえて見ゆるは 背きにし君の町なるぞ ゆふぐれに深く沈みて 掌にしみる青き蜜柑よ そをかみて何を思はむ 昔の日は …
読書目安時間:約1分
愁ひ来て丘にのぼりて 酸の香る蜜柑もぐなり 悲しみの青き蜜柑を 栗林こえて見ゆるは 背きにし君の町なるぞ ゆふぐれに深く沈みて 掌にしみる青き蜜柑よ そをかみて何を思はむ 昔の日は …
あの人(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
芹をつむ芹の沼べり 今日もまためだかが浮いた 肩あげの肩が細いと あの人はやさしく言つた 名も知らぬ小鳥が鳴いた 讃岐の山雲が通つた あの人は麦笛ふいた 泪ぐみ昼月みて聴いた 肩あ …
読書目安時間:約1分
芹をつむ芹の沼べり 今日もまためだかが浮いた 肩あげの肩が細いと あの人はやさしく言つた 名も知らぬ小鳥が鳴いた 讃岐の山雲が通つた あの人は麦笛ふいた 泪ぐみ昼月みて聴いた 肩あ …
雨(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
どこかに妹がきてゐる tom・tomとゴムまりをついてゐる ぼくの心のゴムまりを 妹はtom・tomとだまつてついてゐる もうとどかない花の日がぬれてゐる 思ふことがみんな童話にな …
読書目安時間:約1分
どこかに妹がきてゐる tom・tomとゴムまりをついてゐる ぼくの心のゴムまりを 妹はtom・tomとだまつてついてゐる もうとどかない花の日がぬれてゐる 思ふことがみんな童話にな …
雨の日(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
硝子窓から青猫がやつて来てぼくの膝にのる よろよろとまるで一枚の翳のやうなやつだ 背をなでてゐるとぼうぼうと啼き出し ぼくの腹の中までぼうぼうと啼き出し こいつこいつ………… だが …
読書目安時間:約1分
硝子窓から青猫がやつて来てぼくの膝にのる よろよろとまるで一枚の翳のやうなやつだ 背をなでてゐるとぼうぼうと啼き出し ぼくの腹の中までぼうぼうと啼き出し こいつこいつ………… だが …
あるひとに(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
もうとどかない花の日よりもさびしかつた つかれのやうに羞んで 古い折返しの向ふへかくれたひとよ もうとどかない花の日のやうにいつまでもぼくは考へてゐる …
読書目安時間:約1分
もうとどかない花の日よりもさびしかつた つかれのやうに羞んで 古い折返しの向ふへかくれたひとよ もうとどかない花の日のやうにいつまでもぼくは考へてゐる …
あるるかんの死(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
眠れやはらかに青む化粧鏡のまへで もはやおまへのために鼓動する音はなく あの帽子の尖塔もしぼみ 煌めく七色の床は消えた 哀しく魂の溶けてゆくなかでは とび歩く軽い足どりも 不意に身 …
読書目安時間:約1分
眠れやはらかに青む化粧鏡のまへで もはやおまへのために鼓動する音はなく あの帽子の尖塔もしぼみ 煌めく七色の床は消えた 哀しく魂の溶けてゆくなかでは とび歩く軽い足どりも 不意に身 …
歌のない歌:《夕暮に》(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
この傾斜では お伽話はやめて こはれたオペラグラスで アラベスク風な雨をごらん ひととき鳩が白い耳を洗ふと シガーのやうに雲が降りて来て ぼくの影を踏みつけてゐる 光のレエスのシヤ …
読書目安時間:約1分
この傾斜では お伽話はやめて こはれたオペラグラスで アラベスク風な雨をごらん ひととき鳩が白い耳を洗ふと シガーのやうに雲が降りて来て ぼくの影を踏みつけてゐる 光のレエスのシヤ …
帰らぬ春(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
雲のたゆたう丘の上に ほろり散つたはべに椿 呼べども逝つた春の日の 悲しい私のゆめかしら 柳の新芽もほの匂ひ 燕も来たに口づけて 水に流した木れんは どこへ流れて行つたやら …
読書目安時間:約1分
雲のたゆたう丘の上に ほろり散つたはべに椿 呼べども逝つた春の日の 悲しい私のゆめかしら 柳の新芽もほの匂ひ 燕も来たに口づけて 水に流した木れんは どこへ流れて行つたやら …
壁(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
扉や窓を濡し 支柱や車輪を濡し 出ていつた音よ 仄かな調和のどこにも 響はすでに帰らない 色彩はなく 無表情の翳がうかび しづかな匂ひがひろがり 脱落するシヤツのあとには あやまち …
読書目安時間:約1分
扉や窓を濡し 支柱や車輪を濡し 出ていつた音よ 仄かな調和のどこにも 響はすでに帰らない 色彩はなく 無表情の翳がうかび しづかな匂ひがひろがり 脱落するシヤツのあとには あやまち …
樹樹(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
つつましい文字のやうにその指を組み いまじぶんの脚で立つてゐた 空にとどいた梢に 天使のやうな雲がふとつつかかる と 花の咲かない樹樹は そのほそい指のあひだから おびただしいいの …
読書目安時間:約1分
つつましい文字のやうにその指を組み いまじぶんの脚で立つてゐた 空にとどいた梢に 天使のやうな雲がふとつつかかる と 花の咲かない樹樹は そのほそい指のあひだから おびただしいいの …
季節抄:〔梢が〕(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
梢が 空にとどいてゐる 美しい樹々よ 花の咲かない………… 花はなくとも ああせめてものわが願い 樹々の編む 光りのハンモツクに 僕はつつましく腰をおろす 風が静かにひかるとき ゆ …
読書目安時間:約1分
梢が 空にとどいてゐる 美しい樹々よ 花の咲かない………… 花はなくとも ああせめてものわが願い 樹々の編む 光りのハンモツクに 僕はつつましく腰をおろす 風が静かにひかるとき ゆ …
季節抄:〔葩束を編みながら〕(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
葩束を編みながら美しく羞むひとよ 夕べバルコンの影の跫音の言葉なら はるかな愛情も匂ふでせう ★ 梢に鴉の喪章はゐない*** 新しいアアチの青貝路にペンキの響き 自転車で春の帽子が …
読書目安時間:約1分
葩束を編みながら美しく羞むひとよ 夕べバルコンの影の跫音の言葉なら はるかな愛情も匂ふでせう ★ 梢に鴉の喪章はゐない*** 新しいアアチの青貝路にペンキの響き 自転車で春の帽子が …
帰村(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
寒々と背姿の林は続き 連峯は雪 よれよれの路はまた坂になり 鴉はあをあをと山蔭に群がり ああ少年の日の悲歌が甦へる ゆふぐれよりも早く ぱらぱら何時かのように村は花を灯し 村はまた …
読書目安時間:約1分
寒々と背姿の林は続き 連峯は雪 よれよれの路はまた坂になり 鴉はあをあをと山蔭に群がり ああ少年の日の悲歌が甦へる ゆふぐれよりも早く ぱらぱら何時かのように村は花を灯し 村はまた …
漁村(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
波がものを言ふやうになつてから 誰も姿を見せない砂浜に 抵抗する事を知らない貝殻のやうな女が 私生児を抱いて立つてゐた それは——生きる為には、生きる為には 泥蟹をまで食べなければ …
読書目安時間:約1分
波がものを言ふやうになつてから 誰も姿を見せない砂浜に 抵抗する事を知らない貝殻のやうな女が 私生児を抱いて立つてゐた それは——生きる為には、生きる為には 泥蟹をまで食べなければ …
衢路(新字旧仮名)
読書目安時間:約2分
友よ覚えてゐるだらうか 青いネクタイを軽く巻いた船乗りのやうに さんざめく街をさまよふた夜の事を—— 鳩羽色のペンキの香りが強かつたね 二人はオレンジの波に揺られたね お前も少女の …
読書目安時間:約2分
友よ覚えてゐるだらうか 青いネクタイを軽く巻いた船乗りのやうに さんざめく街をさまよふた夜の事を—— 鳩羽色のペンキの香りが強かつたね 二人はオレンジの波に揺られたね お前も少女の …
幻燈:《幼な日の思ひ出のために》(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
せるろいどのやうにふるへる むかしむかしのお姫さまよ 童話の向ふから童話のやうに掌をあげて 黒びらうどの青い喪服がよく似合ふ あれあれ木馬もお通りなさる がたがた首をゆさぶり はげ …
読書目安時間:約1分
せるろいどのやうにふるへる むかしむかしのお姫さまよ 童話の向ふから童話のやうに掌をあげて 黒びらうどの青い喪服がよく似合ふ あれあれ木馬もお通りなさる がたがた首をゆさぶり はげ …
勾配(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
非望のきはみ 非望のいのち はげしく一つのものに向つて 誰がこの階段をおりていつたか 時空をこえて屹立する地平をのぞんで そこに立てば かきむしるやうに悲風はつんざき 季節はすでに …
読書目安時間:約1分
非望のきはみ 非望のいのち はげしく一つのものに向つて 誰がこの階段をおりていつたか 時空をこえて屹立する地平をのぞんで そこに立てば かきむしるやうに悲風はつんざき 季節はすでに …
残像(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
翳だけがささへてゐる あなたの重量から ゆめの耳もみえない 疲れのやうに羞んで よりそへば傷ついてゐる言葉たち どもつて吃つてわたしは じぶんの位置をかんがへる …
読書目安時間:約1分
翳だけがささへてゐる あなたの重量から ゆめの耳もみえない 疲れのやうに羞んで よりそへば傷ついてゐる言葉たち どもつて吃つてわたしは じぶんの位置をかんがへる …
習作(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
テラアスにちかい海の日は アメシストの鏡から水もながれる だから頬をみがけぼくのアリサ 葉ざくらのかげでお前は青い花だ ハアプがながれてゐる月夜 葡萄の木蔭はフオルマリンの匂ひがい …
読書目安時間:約1分
テラアスにちかい海の日は アメシストの鏡から水もながれる だから頬をみがけぼくのアリサ 葉ざくらのかげでお前は青い花だ ハアプがながれてゐる月夜 葡萄の木蔭はフオルマリンの匂ひがい …
(上等兵安藤孝雄を憶ふ)(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
友よお前は二十歳 ひととき朔北の風よりも疾く お前の額を貫ぬいて行つたものについては もう考へまい わたしは聞いた大きな秩序のなかに ただはげしい意欲をお前の軍靴の音を わたしの力 …
読書目安時間:約1分
友よお前は二十歳 ひととき朔北の風よりも疾く お前の額を貫ぬいて行つたものについては もう考へまい わたしは聞いた大きな秩序のなかに ただはげしい意欲をお前の軍靴の音を わたしの力 …
ジンタ(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
ジンタは寂しい港町です 朔風にうらぶれた潮騒です 吐息のやうにとぎれては続きます 濡れてゐるやうに泣いてゐるやうに ラツパ・たいこ・クラリオネツト ジンタは冬がやつて来た港町です …
読書目安時間:約1分
ジンタは寂しい港町です 朔風にうらぶれた潮騒です 吐息のやうにとぎれては続きます 濡れてゐるやうに泣いてゐるやうに ラツパ・たいこ・クラリオネツト ジンタは冬がやつて来た港町です …
高館:―七月の旅の思ひ出―(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
高館に登りて見れば 小糠雨烟りて寒く 朽ちかけし家のほとりの 高き木に鳴く蝉かなし 苔かほる古き木に倚り その昔の人をしのべど 木々に吹く風も寂しく 消えて行く思ひ儚し 遠山の淡く …
読書目安時間:約1分
高館に登りて見れば 小糠雨烟りて寒く 朽ちかけし家のほとりの 高き木に鳴く蝉かなし 苔かほる古き木に倚り その昔の人をしのべど 木々に吹く風も寂しく 消えて行く思ひ儚し 遠山の淡く …
高館:―平泉の思ひ出より―(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
草深きなかに訪ねし 夢跡の寒きかなしさ 朽ち柵に倚れば仄かに 胸にしむ旅のうれひよ 緑濃きなかに見出でし 人の世のさぶしさ 夢を皆遠く流せし 北上が瞳にしみる。 …
読書目安時間:約1分
草深きなかに訪ねし 夢跡の寒きかなしさ 朽ち柵に倚れば仄かに 胸にしむ旅のうれひよ 緑濃きなかに見出でし 人の世のさぶしさ 夢を皆遠く流せし 北上が瞳にしみる。 …
旅(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
渡り鳥の様に旅をしてみたい時がある 雲の様に旅をしてみたい時がある 風のままに漂々と旅をした俳人芭蕉を憶ふ 病の床にあれば一人旅を欲する—— 束縛された人生を思ふからである 葬り去 …
読書目安時間:約1分
渡り鳥の様に旅をしてみたい時がある 雲の様に旅をしてみたい時がある 風のままに漂々と旅をした俳人芭蕉を憶ふ 病の床にあれば一人旅を欲する—— 束縛された人生を思ふからである 葬り去 …
旅人の唄(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
旅は泪よ故里はまだかよ その日その日の夢になく 運命に弱い 我は悲しい渡り鳥 旅は夢かよ春も逝くかよ 柳の雨に濡れて泣く 燕でないが 我も悲しい渡り鳥 —10・5・4— …
読書目安時間:約1分
旅は泪よ故里はまだかよ その日その日の夢になく 運命に弱い 我は悲しい渡り鳥 旅は夢かよ春も逝くかよ 柳の雨に濡れて泣く 燕でないが 我も悲しい渡り鳥 —10・5・4— …
断章(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
おほくの予感に充ち おまへの皮膚にはとどかず はるかに高い所を わたつた あの鋭い動きさへ 速かに把へたのに 精神よ 季節は錆だ 新しい時へ 歩みを移すこともできず 灰は灰に 石は …
読書目安時間:約1分
おほくの予感に充ち おまへの皮膚にはとどかず はるかに高い所を わたつた あの鋭い動きさへ 速かに把へたのに 精神よ 季節は錆だ 新しい時へ 歩みを移すこともできず 灰は灰に 石は …
衢(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
よりそふ暇もなく こみあげる約束はうばはれていつた 疲れのやうに 吃つてゐる炎よ くづれる愛をさらに踏みしめ 時間のかげに身をこがしても じぶんの力で倒れかかり 義足よ 記憶は埋れ …
読書目安時間:約1分
よりそふ暇もなく こみあげる約束はうばはれていつた 疲れのやうに 吃つてゐる炎よ くづれる愛をさらに踏みしめ 時間のかげに身をこがしても じぶんの力で倒れかかり 義足よ 記憶は埋れ …
衢にて(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
翳に埋れ 翳に支へられ その階段はどこへ果ててゐるのか はかなさに立ちあがり いくたび踏んでみたことだらう ものいはず濡れた肩や 失はれたいのちの群をこえ けんめいに あふれる時間 …
読書目安時間:約1分
翳に埋れ 翳に支へられ その階段はどこへ果ててゐるのか はかなさに立ちあがり いくたび踏んでみたことだらう ものいはず濡れた肩や 失はれたいのちの群をこえ けんめいに あふれる時間 …
廃園(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
骨を折る音 その音のなかに 流れる水は乾き 菫色の空は落ちて 石に濡れた額は傾くままに眠つた みえない推移の重さに みえない推移の重さに 眼をとぢて凍える半身は 崩れるもの影ととも …
読書目安時間:約1分
骨を折る音 その音のなかに 流れる水は乾き 菫色の空は落ちて 石に濡れた額は傾くままに眠つた みえない推移の重さに みえない推移の重さに 眼をとぢて凍える半身は 崩れるもの影ととも …
廃園:《断片》(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
骨を折る音 その音のなかに 流れる水は乾き 鳶色の風は落ちて 石に濡れた額は傾くままに眠つた みえない推移の重さに 骨を折る音 その音のなかに 佯りの 眼を閉ぢて 凍える半身は 倒 …
読書目安時間:約1分
骨を折る音 その音のなかに 流れる水は乾き 鳶色の風は落ちて 石に濡れた額は傾くままに眠つた みえない推移の重さに 骨を折る音 その音のなかに 佯りの 眼を閉ぢて 凍える半身は 倒 …
春:〔春の帽子を〕(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
春の帽子を振らう。 ヴイーナスの歌を聞かう。 こんなにも若い青空。 花ある胸。 新月新月を食べよう。 鈴が走る。 驢馬が駆ける。 何だか何だか優しく通る。 春の帽子を振らう。 小鳥 …
読書目安時間:約1分
春の帽子を振らう。 ヴイーナスの歌を聞かう。 こんなにも若い青空。 花ある胸。 新月新月を食べよう。 鈴が走る。 驢馬が駆ける。 何だか何だか優しく通る。 春の帽子を振らう。 小鳥 …
春:〔風船に〕(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
風船にひつぱられて小鳥は中空たかくのぼつていつた 風船はくるめく日傘をまはしあたたかな銀の雨を降らした 小鳥はむしやうにうれしくなり力いつぱいそのすずを鳴らした それにしても風船に …
読書目安時間:約1分
風船にひつぱられて小鳥は中空たかくのぼつていつた 風船はくるめく日傘をまはしあたたかな銀の雨を降らした 小鳥はむしやうにうれしくなり力いつぱいそのすずを鳴らした それにしても風船に …
冬の夜の歌(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
私は墜ちて行くのだ 破れた手風琴の挽歌におくられて 古びた天鵞絨の匂ひに噎び 黝い霧に深く包まれて ゆふぐれの向ふへと私は墜ちて行くのだ 今はこの掌に触れた蒼空もなく 胸近く海のや …
読書目安時間:約1分
私は墜ちて行くのだ 破れた手風琴の挽歌におくられて 古びた天鵞絨の匂ひに噎び 黝い霧に深く包まれて ゆふぐれの向ふへと私は墜ちて行くのだ 今はこの掌に触れた蒼空もなく 胸近く海のや …
星:〔星は夢の様に〕(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
星は夢の様に美しくかなしい 星は思ひ出の様になつかしくわびしい 故里を遠くはなれた旅人は星を見れば 故里を思ひ出すだらう—— 明り星の出てゐる故里の山を 星の様にやさしく星の様に …
読書目安時間:約1分
星は夢の様に美しくかなしい 星は思ひ出の様になつかしくわびしい 故里を遠くはなれた旅人は星を見れば 故里を思ひ出すだらう—— 明り星の出てゐる故里の山を 星の様にやさしく星の様に …
街:《或る友に》(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
枯れ葉は足につつかかり 街燈はぬれてまたたき 霧さへ降つてゐたおそい街の夜だつた お前は人の歌をそつと歌ひ お前は思い出したやうに歩いた 僕たちの街と本当に言へただらうか 美しい愛 …
読書目安時間:約1分
枯れ葉は足につつかかり 街燈はぬれてまたたき 霧さへ降つてゐたおそい街の夜だつた お前は人の歌をそつと歌ひ お前は思い出したやうに歩いた 僕たちの街と本当に言へただらうか 美しい愛 …
霙の中(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
妹よあの跫音は何であらう 喪はれた美しい日々の歌声ではない 今日も夕暮近い霙の中を通つてよ 怖ろしい鴉の黒い群であらうか 散薬の重いしめりに病み呆けた わたしの胸にやつて来て わた …
読書目安時間:約1分
妹よあの跫音は何であらう 喪はれた美しい日々の歌声ではない 今日も夕暮近い霙の中を通つてよ 怖ろしい鴉の黒い群であらうか 散薬の重いしめりに病み呆けた わたしの胸にやつて来て わた …
虚しい街(新字旧仮名)
読書目安時間:約2分
白亜の立体も ひたむきな断面も せつない暗さの底へ沈みつつ 沈みつつ 翳に埋れ 影に支へられ その階段はどこへ果ててゐるのか はかなさに立ちあがり いくたび踏んでみたことだらう 煙 …
読書目安時間:約2分
白亜の立体も ひたむきな断面も せつない暗さの底へ沈みつつ 沈みつつ 翳に埋れ 影に支へられ その階段はどこへ果ててゐるのか はかなさに立ちあがり いくたび踏んでみたことだらう 煙 …
悒鬱な花(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
はながさいてゐる 目をつむつてぼくは見てゐる はなびらは色をうしなひ あを白くうなだれて…… はななればはなのやうに なぜ笑はないのだらう はながさいてゐる 目をそつとつむると い …
読書目安時間:約1分
はながさいてゐる 目をつむつてぼくは見てゐる はなびらは色をうしなひ あを白くうなだれて…… はななればはなのやうに なぜ笑はないのだらう はながさいてゐる 目をそつとつむると い …
別れ(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
別れの馬車の鈴の音が つらい心をまたせめる 日暮峠でみかへれば 山が霞んで遠くなる 寒い夜風に町の灯が 悲しく遠くゆれてゐる 馬車の窓から故山見れば 空にほんのりおぼろ月 (四・十 …
読書目安時間:約1分
別れの馬車の鈴の音が つらい心をまたせめる 日暮峠でみかへれば 山が霞んで遠くなる 寒い夜風に町の灯が 悲しく遠くゆれてゐる 馬車の窓から故山見れば 空にほんのりおぼろ月 (四・十 …
別れ:(この小さき歌を友・源氏太郎に聞かす)(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
ゆふぐれを君みおくりて ばらの実の丘にのぼりつ 鳩笛のおとに濡れゆく よは肩の君のほそさよ この赤きばらの木の実を をとめの日君はめでしに おそ秋の小径に消ゆる うしろ姿の君は悲し …
読書目安時間:約1分
ゆふぐれを君みおくりて ばらの実の丘にのぼりつ 鳩笛のおとに濡れゆく よは肩の君のほそさよ この赤きばらの木の実を をとめの日君はめでしに おそ秋の小径に消ゆる うしろ姿の君は悲し …
“森川義信”と年代が近い著者
きょうが誕生日(12月7日)
与謝野晶子(1878年)
きょうが命日(12月7日)
今月で生誕X十年
ラデャード・キプリング(生誕160年)
ライネル・マリア・リルケ(生誕150年)
野口米次郎(生誕150年)
瀬沼夏葉(生誕150年)
相馬泰三(生誕140年)
山中峯太郎(生誕140年)
観世左近 二十四世(生誕130年)
平山千代子(生誕100年)
今月で没後X十年
アウグスト・プラーテン(没後190年)
フィオナ・マクラウド(没後120年)
徳永保之助(没後100年)
エドワード・シルヴェスター・モース(没後100年)
寺田寅彦(没後90年)
生田葵山(没後80年)
百田宗治(没後70年)
安井曽太郎(没後70年)
米川正夫(没後60年)
今年で生誕X百年
平山千代子(生誕100年)
今年で没後X百年
大町桂月(没後100年)
富ノ沢麟太郎(没後100年)
細井和喜蔵(没後100年)
木下利玄(没後100年)
富永太郎(没後100年)
エリザベス、アンナ・ゴルドン(没後100年)
徳永保之助(没後100年)
後藤謙太郎(没後100年)
エドワード・シルヴェスター・モース(没後100年)