かべ
扉や窓を濡し 支柱や車輪を濡し 出ていつた音よ 仄かな調和のどこにも 響はすでに帰らない 色彩はなく 無表情の翳がうかび しづかな匂ひがひろがり 脱落するシヤツのあとには あやまちのごとく風が立つた 柱廊はひきつり 手すりはくづれ 静止した …
題名が同じ作品
(新字新仮名)中井正一 (著)