“雫”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
しずく74.8%
しづく22.4%
こぼ0.6%
しず0.6%
しづ0.6%
つゆ0.3%
びっしょり0.3%
シズク0.3%
シヅク0.3%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
と、冷たいしずくが、襟もとへぱらと降った。——ふと、うつつに返った後醍醐は、がくとお顔を振りあげて、そのお眸を朝雲にすえたまま、
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
霧はいよいよ深くなって、路をさえぎる立木のこずえから冷たいしずくがばらばらと笠の上に降って来ました。草鞋はだんだんに重くなりました。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
杜若かきつばたく墨の、紫のしずくを含んだのであろう、えんなまめかしく、且つ寂しく、翌日あすの朝は結う筈の後れ毛さえ
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
えのきえだからはとき々はら/\としづくちる、中流ちうりう太陽がさして、みつめてるとまばゆいばかり。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
われ疑ひをいだき、心の中にいひけるは。いへ、いへ、わが淑女にいへ、彼甘きしづくをもてわがかわきをとゞむるなれば。 一〇—一二
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
「へへへ……」少僮ボオイは口を歪めたまゝ、珈琲皿を受取つてなかを覗き込んで見た。不味い珈琲はたつた一しづくも残つて居なかつた。
老いたる侍 只今其方そちの母御はな……え、思ふだに涙がこぼれるわ……其方の不孝をう、怨み、怨み死にに死んでおぢやつたのぢや。
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
で、よくよく座敷の中をしらべてみると、その座敷の隅々すみずみ四隅よすみところに、素麪そうめんとお茶が少しずつ、こぼしたように置いてあった。
□本居士 (新字新仮名) / 本田親二(著)
久しくそれは聞いたこともなかったものだというよりも、もう二度とそんな気持を覚えそうもない、夕ごころに似た優しい情感で、温まっては滴り落ちるしずくのような音である。
洋灯 (新字新仮名) / 横光利一(著)
「それはそれは! お前さまはまったく御親切なお方じゃ!」プリューシキンは喜びのあまり、鼻の孔から嗅煙草のかすが、まるで濃い珈琲のしずくみたいに甚だ不体裁に、にょろりと覗いたことも、また部屋着の前がはだけて、ちょっと見るのも憚られるような下着が顔を出したことも気がつかずに、喚きたてた。
しゆ蝋涙ろふるい毒杯どくはいむらさきみだし照りしづく。
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
梨のしづく切口、
海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「お前の今宵の艶やかさは——その眉は、星月夜の空に飛んだ流れ星のやうな風韻を含んでゐる。その眉の下にうつとりと見開いてゐる瞳は神潭しんたんつゆを宿して、虹の影が瞬いてゐる。」
夜の奇蹟 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
いよいよ林檎畠の隅へ追い詰められて、樹と樹との間へ御身体がはさまって了って、もう絶体絶命という時に御目が覚めて見れば——寝汗は御かきなさる、枕紙はれる、御寝衣おねまきはまるでびっしょりになっておったということでした。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
シズクの雨がそぼ降る日、なきがらを納めた白木の棺はしづ/\と緑ふかい高台の墓地へと運ばれました。
手紙 (新字旧仮名) / 知里幸恵(著)
した/\と、岩伝イハヅタシヅクの音。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)