しず)” の例文
鼻の孔から嗅煙草のかすが、まるで濃い珈琲のしずくみたいに甚だ不体裁に、にょろりと覗いたことも、また部屋着の前がはだけて
久しくそれは聞いたこともなかったものだというよりも、もう二度とそんな気持を覚えそうもない、夕ごころに似た優しい情感で、温まっては滴り落ちるしずくのような音である。
洋灯 (新字新仮名) / 横光利一(著)