“二雫”の読み方と例文
読み方割合
ふたしずく100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
答のない口元が結んだまましゃくんで、見るうちにまた二雫ふたしずく落ちた。宗近君は親譲の背広せびろ隠袋かくしから、くちゃくちゃの手巾ハンケチをするりと出した。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
万歳がとまると共に胸のうちに名状しがたい波動が込み上げて来て、両眼から二雫ふたしずくばかり涙が落ちた。
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
すると帽子のひさしへ雨が二雫ふたしずくほど落ちたような気がするので、彼はまた仰向あおむいて黒い空を眺めた。やみよりほかに何も眼をさえぎらない頭の上は、彼の立っている電車通と違って非常に静であった。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)