“しず”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:シズ
語句割合
31.2%
22.4%
19.7%
10.4%
7.2%
3.5%
2.5%
0.6%
0.3%
0.3%
0.3%
0.1%
0.1%
四圖0.1%
0.1%
沈思0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
鎮圧0.1%
鎮子0.1%
0.1%
静謐0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
すなはち仏前に座定ざじょうして精魂をしずめ、三昧さんまいに入る事十日余り、延宝二年十一月晦日みそかの暁の一点といふに、忽然こつぜんとしてまなこを開きていわ
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
和尚おしょうさんのお部屋へやがあんまりしずかなので、小僧こぞうさんたちは、どうしたのかとおもって、そっと障子しょうじから中をのぞいてみました。
文福茶がま (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
これをおきになった、おうさまは、ふかうれいにしずまれました。いつしかかがりえて、管弦かんげんんでしまったのでございます。
北海の白鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
月は、森の樹々のたゆたう波の上に絶間たえまなく黄ろい焔を散らす青金の火の円のすがたして、しずかに昇った。星がひとつひとつ現われた。
(新字新仮名) / フィオナ・マクラウド(著)
争う二人、——大名の若君と、町のしずと、その不思議な図は、丁度通りかかった高力家の家来達によって掻き乱されてしまいました。
女は、その琵琶を弾じて、その音の調子が、その時間が特にもつ深いしずけさにピタリと音が通うのを探っていたわけであります。
日本の美 (新字新仮名) / 中井正一(著)
「敵の人数色黒み備しずかにして勢い殊之外ことのほか見事也。間近になると拍子を揃え太鼓を鳴らし大筒を打立うちたて黒烟を立てて押寄す」
碧蹄館の戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
もりを越え、田を横ぎり、また林を越えて、しのびやかに通りく時雨の音のいかにもしずかで、また鷹揚おうような趣きがあって、やさしくゆかしいのは、じつに武蔵野の時雨の特色であろう。
武蔵野 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
その紙がまだ濡れている間に、(だからと云ってしずくのたれているようではこまるのだが)、その一枚をとって、ワクのなかに四十五度にはめられた透明な硝子ガラスの上の本物の札の上におくのである。
“能筆ジム” (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
久しくそれは聞いたこともなかったものだというよりも、もう二度とそんな気持を覚えそうもない、夕ごころに似た優しい情感で、温まっては滴り落ちるしずくのような音である。
洋灯 (新字新仮名) / 横光利一(著)
わたくしは寿女さんの訃を信じかねて、そのことをもう一度たしかめてみたく師匠を見遣ったが、ものしずかなその姿には声をかけるさえ臆せられた。
痀女抄録 (新字新仮名) / 矢田津世子(著)
いつまでもしずかな容子を視ているうちに、不意にそわそわし出した。
痀女抄録 (新字新仮名) / 矢田津世子(著)
そこでさかずきかわして、つて、今日までもしずまつておいでになります。これらの歌は神語かむがたりと申す歌曲かきよくです。
このイザナギの命は、淡路の多賀たがやしろにおしずまりになつておいでになります。
第五十二だいごじゆうにさん四圖しず
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
また姉のしず子は海軍造船中将(男爵)山内万寿治に嫁して昭和十七年に亡くなり、次兄輔宗は外国商館に勤めておりましたが、これも昭和三年に亡くなっております。
「大そう沈思しずんでいらっしゃるのね。どうかなさいまして?」
ふみたば (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
普通に『前漢書』列伝李広善く射る、出猟し草中の石を見て虎と思い射て石にて矢をいしずむ、見れば石なり。
明智は気づかれては大変と、大急ぎで階段を這い降りて、二階の部屋の片隅に身をしずめた。
暗黒星 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
やあ火の玉の親分か、わけがある、打捨うっちゃっておいてくれ、と力を限り払いけんともが焦燥あせるを、栄螺さざえのごとき拳固げんこ鎮圧しずめ、ええ、じたばたすればり殺すぞ、馬鹿め。
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
沖縄では、今ではこの貝を網を曳く時の鎮子しずに使っているが、むかし貨幣に使ったのは小さな宝貝であったろうと思う。海のすれすれぐらいに、珊瑚礁の上にこの宝貝がすんでいる。
故郷七十年 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「春夜不寐。」〔春夜ネズ〕と題した長句の中には「独臥空床展転頻。帳影如烟闃無人。紅袖娯夜非我分。青灯長伴苦吟身。」〔独臥空床展転スルコト頻リナリ/帳影烟ノ如クしずカニシテ人無シ/紅袖娯夜ハ我ガ分ニ非ズ/青灯長ク伴フ苦吟ノ身ニ〕と言い
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
真夜中をすぎた頃おいらしく、静謐しずけさのさなかで生きもののような月の息づかいが手にとるように聞え、大豆や玉蜀黍とうもろこしの葉っぱが、ひときわ青く透かされた。
蕎麦の花の頃 (新字新仮名) / 李孝石(著)