“焦燥”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
しょうそう39.6%
あせ20.8%
せうさう8.3%
いらだ7.3%
やきもき3.1%
いら2.1%
いら/\2.1%
じれ2.1%
もどか2.1%
アセ2.1%
(他:10)10.4%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
“焦燥”を含む作品のジャンル比率
文学 > 日本文学 > 小説 物語1.7%
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)0.7%
文学 > 日本文学 > 日記 書簡 紀行0.5%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
そう思いながらも、彼は次の夜も言いがたい焦燥しょうそうの胸をいだいて、彼女のくるのを待っていた。しかし、彼女はこなかった。
だが、このことは口でいつても判ることではなし、むしろ独りで夜の空気の中を彷徨ほうこうする方が焦燥しょうそうの感じを少くした。
夏の夜の夢 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
私はそうした神秘的な……息苦しい気持を押え付けよう押え付けようと焦燥あせりつつ、なおも、解放治療場内の光景に眼を注いだ。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
二人の心は一日も早くと焦燥あせりはしたが、席亭よせ組合の懇願もだしがたく、綾之助の引退は一ヶ年の後に延引のばされた。
竹本綾之助 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
好い男の顏が、苦惱と焦燥せうさうにさいなまれて、濃い影を作つて居りますが、態度はさすがに客馴れた調子で、少しも惡びれません。
平次が乘込んだ時は、加納屋は無氣味な不安と焦燥せうさうに、沼の底に沈んだ寺のやうに靜まり返つて居ました。
と軍医大佐はしきりに首肯うなずいていたが、その顔面筋肉には何ともいえない焦燥いらだたしい憤懣の色が動揺するのを私は見逃さなかった。
戦場 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
しかし私はその方向には眼もくれなかった。のみならず、その音を聞くと同時にイヨイヨ自分の無罪を確信しつつ、メチャクチャに相手をタタキ付けてしまおうと焦燥いらだった。
一足お先に (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そんな気持のこうじて来たお島には、自分一人がどんなに焦燥やきもきしても、出世する運が全く小野田にはないようにさえ考えられてきた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「もうあなたここまでぎつけたんですもの。そう焦燥やきもきしないでいた方がよござんすよ。」
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
それを知らない師直は、かれもおなじくこの謎を判じかねているものと見たらしく、やや焦燥いらだって来たようにその口髭をむしりながら催促した。
小坂部姫 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
黄金丸は打驚き、しりえふりかえりて見れば、真白なる猟犬かりいぬの、われを噛まんと身構みがまえたるに、黄金丸も少し焦燥いらつて
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
畜生ちきしやう!』とお大は無上に胸が焦燥いら/\して、『莫迦にしてら』と突拍子な聲を出しながら、スタ/\歩出す。
絶望 (旧字旧仮名) / 徳田秋声(著)
『誰が引張るもんか。』とお大は相變らず喧嘩腰で、焦燥いら/\しながら『子供に襤褸ぼろを着せておいちや、年中役者騷ぎをしてゐるんぢやないか。亭主こそい面の皮だ。』
絶望 (旧字旧仮名) / 徳田秋声(著)
かれしばらあひだいてはまたんで/\噛締かみしめてもれぬあるものたいするやうな焦燥じれつたさと
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
當事者たうじしやたる彼等かれらには五月繩うるさ支障さはりをこつそりとはら退けねばらぬ焦燥じれつたいかんまないのに
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
信一郎は、もう四十分の後には、愛妻の許に行けるかと思ふと、汽車中で感じた焦燥もどかしさや、いらだたしさは、後なく晴れてしまつた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
信一郎は、もう四十分の後には、愛妻のもとに行けるかと思うと、汽車中で感じた焦燥もどかしさや、いらだたしさは、後なく晴れてしまった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
と、酒樽にもたれて酔眼を見開き、勢あまつて尚も口だけをパクパクと動かしてゐたのだが、行者はニタニタと笑ひつつ面白さうに俺のパクパクを眺めながら焦燥アセらず周章てず尚も幾杯かを傾けてしばらく沈黙の後(ああ! 悲劇の前奏曲よ!)静かに鼻の頭をこすつて
と、酒樽にもたれて酔眼を見開き、勢あまって尚も口だけをパクパクと動かしていたのだが、行者はニタニタと笑いつつ面白そうに俺のパクパクを眺めながら焦燥アセらず周章てず尚も幾杯かを傾けてしばらく沈黙の後(ああ! 悲劇の前奏曲よ!)静かに鼻の頭をこすって、
健三は心のうちでこう考えた。ただ焦燥あせりに焦燥ってばかりいる今の自分が、恨めしくもありまた気の毒でもあった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
夜更けて馴染みの女から俥に送られて帰って来た良人おっとと、しばらくぶりでそうして話しているお増の心には、以前自分のところへ通って来る浅井を待ち受けた時などの、焦燥いらいらしさがあった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
黄金丸が病に伏してより、やや一月にも余りしほどに、身体みうちの痛みもせしかど、前足いまだえずして、歩行もいと苦しければ、心しきりに焦燥いらちつつ
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
私のようにどこか突き抜けたくっても突き抜ける訳にも行かず、何かつかみたくっても薬缶頭やかんあたまを掴むようにつるつるして焦燥れったくなったりする人が多分あるだろうと思うのです。
私の個人主義 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
お延は彼がとくにこうして自分を焦燥じらしているのではなかろうかという気さえ起した。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
だが、如何いかな彼女らも、後から後からと送られて来る生産力のそれには、絶えず追っ立てられ、焦燥じりじりさせられ、慄えさせられ、しまいにはへとへとにされてしまう。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
彼女は焦燥じれったそうな眼つきをして、
頸飾り (新字新仮名) / ギ・ド・モーパッサン(著)
血性けつせい大雅に過ぐるもの、何ぞ進歩の遅々たるに焦燥せうそうの念無きを得可けんや。
それでも時々は気が済まなかったのでしょう、発作的に焦燥はしゃまわって彼らを驚かした事もあります。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ワンワン、ガヤガヤと、焦燥もどかしそうな群衆の声が聞える。
夜泣き鉄骨 (新字新仮名) / 海野十三(著)