焦燥じれ)” の例文
「鍋、鍋、鍋」たてつけて呼んでも返答をしない。焦燥じれきッていると、気の抜けたころに、間の抜けた声で
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
當事者たうじしやたる彼等かれらには五月繩うるさ支障さはりをこつそりとはら退けねばらぬ焦燥じれつたいかんまないのに
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「変だね。」G——は苦笑したが、焦燥じれつたく思つた。
彷徨へる (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
かれしばらあひだいてはまたんで/\噛締かみしめてもれぬあるものたいするやうな焦燥じれつたさと
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
怨恨うらみといふよりも焦燥じれつたさであつた。おつぎの身體からだにはうして事件じけんおこすべき機會きくわいあたへられなかつた。それでもたつた一人ひとりおつぎとつてかたることにまでちかづきたものがあつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)