“事件”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
こと35.1%
じけん33.8%
あな14.3%
ことがら5.2%
やつ2.6%
さわぎ1.3%
しごと1.3%
たま1.3%
アフエール1.3%
インシデント1.3%
コト1.3%
トラブル1.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ごうを煮やした小太郎は舌打ちして行ってしまった。ただこれだけの事件ことではあるが、いそうで開けないのを不審と白眼にらめば臭くもある。
千九百二十四年、すなわち大正十三年に、彼はにました。これで一時代じだいが終わったといわれるほど大きな事件じけんでありました。(訳者)
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
捜すんじゃあるめえし、だんなほどの人気男がぼんやり往来ばたへつら突き出して、なんのざまです。ね、いい事件あなみつけてきたんですよ
「火事だ?」と口々に尋ねたが、これは事件ことがら緒口いとぐちを引出そうとするに過ぎない、皆々は云うまでもなく、その間の消息を解していた。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「ウン。僕が狙った事件で外れた事件やつは今までに一つも無いよ。要するにこの頭一つが資本だがね。ハッハッハッ」
山羊髯編輯長 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
桜馬場さくらのばばの目明し駒蔵の手先味噌松というのが金山寺味噌の担売かつぎうりをして平常八州屋へ出入りしているという因縁で、始めからこの事件さわぎへ駒蔵が首を突っ込んでいることだった。
こんな變つた事件しごとも珍らしいから、俺も御用聞冥利みやうりと、徳力屋の主人が氣の毒さに引受けたが、今度といふ今度は、今までのやうには裁き切れない、——思ひ切つて變つたことを
「それが自分で競り上ったってえからにゃあ、屍骸は美野でねえはずだ。不審な事件たまほど、手がけてみりゃあお茶の子さいさいよ。なあ彦。」
この最も奇怪な恐ろしい事件〔フランスでは『事件アフエール』という言葉はまだ我我の感ずるような軽々しい意味を持っていない〕に関しては多くの人々が取り調べられた。
小説ロマンスとは circumstance の詩だと、彼は言った。事件インシデントよりも、それに依って生ずる幾つかの場面の効果を、彼は喜んだのである。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
……なんだ、妙な面をするな、こんなトボケタ小娘だから、なにも知るまいと思って、さんざ出汁だしがらにしゃぶりゃがったが、事件コトのありようは元すえまで、なにもかにも知ってるんだぞ。
金狼 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
事件トラブルでも起したのであろうか、などと今までに例のないことだけに、狐につままれたような感じのなかにも、新子の身を案ずる不安が漂っていた。
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)