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焦燥
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しょうそう
ふりがな文庫
“
焦燥
(
しょうそう
)” の例文
この
不自由
(
ふじゆう
)
な、
醜
(
みにく
)
い、
矛盾
(
むじゅん
)
と
焦燥
(
しょうそう
)
と
欠乏
(
けつぼう
)
と
腹立
(
はらだ
)
たしさの、
現実
(
げんじつ
)
の
生活
(
せいかつ
)
から、
解放
(
かいほう
)
される
日
(
ひ
)
は、そのときであるような
気
(
き
)
がしたのです。
希望
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
その
時分
(
じぶん
)
の
不安
(
ふあん
)
、
焦燥
(
しょうそう
)
、
無念
(
むねん
)
、
痛心
(
つうしん
)
……
今
(
いま
)
でこそすっかり
精神
(
こころ
)
の
平静
(
へいせい
)
を
取
(
と
)
り
戻
(
もど
)
し、
別
(
べつ
)
にくやしいとも、
悲
(
かな
)
しいとも
思
(
おも
)
わなくなりましたが
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
あたしはお
腹
(
なか
)
が空いて、たまらなくなった。もう自分の身体のことも気にならなくなった。ただ一杯のスープに、あたしの
焦燥
(
しょうそう
)
が集った。
俘囚
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
栄三郎はいつでもいてもたってもいられぬ
焦燥
(
しょうそう
)
に駆られて、狂いたつように、手慣れの豪刀武蔵太郎安国をひっつかんでみる。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そう思いながらも、彼は次の夜も言いがたい
焦燥
(
しょうそう
)
の胸をいだいて、彼女のくるのを待っていた。しかし、彼女はこなかった。
世界怪談名作集:16 鏡中の美女
(新字新仮名)
/
ジョージ・マクドナルド
(著)
▼ もっと見る
わけても「
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
」と「セレナード」と「海辺にて」と「君こそ安らいなれ」と「
焦燥
(
しょうそう
)
」が絶品である(ポリドール、スレザーク愛唱曲集)。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
だが、このことは口でいつても判ることではなし、むしろ独りで夜の空気の中を
彷徨
(
ほうこう
)
する方が
焦燥
(
しょうそう
)
の感じを少くした。
夏の夜の夢
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
即ち男尊女卑の倫理の下に、一夫多妻主義の許容されているところには、却って一家の風波の絶間なく、男子をして常に
煩悶
(
はんもん
)
焦燥
(
しょうそう
)
せしむるものである。
現代の婦人に告ぐ
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
恥かしい! と丈八郎はくちびるを噛んだが、人々が、驚きと、
焦燥
(
しょうそう
)
に、気づかずにいるので、口に出さなかった。
無宿人国記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お
判
(
わか
)
りですか。又家畜を去勢します。則ち生殖に対する
焦燥
(
しょうそう
)
や何かの為に費される
勢力
(
エネルギー
)
を保存するようにします。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
自分でも女一人から脱け出ようとしていじらしいまでに
焦燥
(
しょうそう
)
している姿に、そうしてまた女一人の生活の空虚さと戦っているうちに、彼女自身の人間が損われ
雨の玉川心中:01 太宰治との愛と死のノート
(新字新仮名)
/
山崎富栄
(著)
宰相中将は少しも
焦燥
(
しょうそう
)
するふうを見せずに、冷静な態度を取り続けているのであったから、こちらから、結婚談をしかけることも世間体の悪いことと思われて
源氏物語:32 梅が枝
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
彼は、さながら不安と
焦燥
(
しょうそう
)
との地獄にうめいていた。いきなり立ち上って、今井と宮田との頭を、つづけさまになぐりつけたいような、いらいらしさを感じた。
第二の接吻
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
雲に乗って飛んでいる様な、夢を見ている様な、一方では限りなき
焦燥
(
しょうそう
)
を感じながら、一方では
落付
(
おちつ
)
きはらっている様な、何とも形容の出来ない心持でありました。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
一方早く自身の生活に立ち
還
(
かえ
)
らなければならないという
焦燥
(
しょうそう
)
に駆られながらも、危ない
断崕
(
だんがい
)
に追い詰められているような現実からどう転身していいかに迷っていた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
血眼になって、あせりきって、歯噛みをして、地団太を踏みつづけながらも、どこか心頭の一片に鉄の如きものがあって、あらゆる短気と、
焦燥
(
しょうそう
)
とを圧えきっている。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
侮辱と
唾棄
(
だき
)
の表現のために、
刎
(
は
)
ね掛けられた柄杓の水さえ
救
(
すくい
)
の露のしたたるか、と多津吉は今は恋人の
生命
(
いのち
)
を求むるのに急で、
焦燥
(
しょうそう
)
の極、放心の
体
(
てい
)
でいるのであったが。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
素子がヤキモチをやいて肉体に
焦燥
(
しょうそう
)
しだすのが堪えられない気持だから。ともかく、まア、ここまで書いたことに就ては、私は多く苦痛であったが、多少は満足もしている。
戯作者文学論:――平野謙へ・手紙に代えて――
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
不安も、
焦燥
(
しょうそう
)
も、はにかみも、
綺麗
(
きれい
)
に除去せられ、自分は甚だ陽気な能弁家になるのでした。
人間失格
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
とはいえ、私は決して、この物置小屋の陰気さを
厭
(
いと
)
うたのではない。貧乏と苦痛とには私はもう
馴
(
な
)
れきっている。私はただ、この「女中部屋」の生活の無意味さに
焦燥
(
しょうそう
)
を感じたのだ。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
彼の
焦燥
(
しょうそう
)
は彼のなかに荒れ立ってゆき、彼は身動きもせずに
愉
(
たの
)
しい五年の月日をあとぐりし、それにふたたび
逢
(
あ
)
えなくなればどうなる自分であろうか、筒井がいるために貧窮すら
応
(
こた
)
えず
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
心の片隅に小鬼でもいて、それが鋭い爪の先で彼の心を引っ掻くかのような、いても立ってもいられないような変な
焦燥
(
しょうそう
)
を覚えるのであった。事実彼の心からいつか安穏は取り去られていた。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
焦燥
(
しょうそう
)
と
煩悶
(
はんもん
)
、それに病気もしていて、幾度か書きかけては、床についた。
『田舎教師』について
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
いらいらして、皆につきかかって行きたいような
焦燥
(
しょうそう
)
が起った。
風宴
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
いくらさがしてもみつからない
焦燥
(
しょうそう
)
もさることながら。
花をうめる
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
病家の
焦燥
(
しょうそう
)
然
(
さ
)
もあるべきことながら
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
自分の神経が
焦燥
(
しょうそう
)
しだした。
死児を産む
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
このときの治明博士の
焦燥
(
しょうそう
)
と
驚愕
(
きょうがく
)
とは、たとえるもののないほどはげしかった。彼は席から立って、舞台のまん中へとんでいきたかった。
霊魂第十号の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼
(
かれ
)
の
青年時代
(
せいねんじだい
)
は、
夢
(
ゆめ
)
も
多
(
おお
)
かったかわりに、また、
反面
(
はんめん
)
あまりに
醜
(
みにく
)
かった
現実
(
げんじつ
)
のために、
焦燥
(
しょうそう
)
と
苦悶
(
くもん
)
をきわめたのです。
風はささやく
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
宝の山に入りつつ手を空しゅうするようなものと、源十郎、思えば思うほどわれながらふがいなく、身内の焼けるような
焦燥
(
しょうそう
)
の念に駆られざるを得なかった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
だが、池内という
仲立
(
なかだち
)
にそむかれては、手も足も出ない彼であったから、そうして、芙蓉と会わぬ日が長引くに従って、耐え難き
焦燥
(
しょうそう
)
を感じないではいられなかった。
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
三平はそう云って、青白く疲労した
眉宇
(
びう
)
に
焦燥
(
しょうそう
)
を湛えたが、藤左衛門は年上だけに、渡船の上にある間も、なるべく休息を
摂
(
と
)
って措くことの方が賢明であると
諭
(
さと
)
して
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
庸三は部屋へ
還
(
かえ
)
って
支度
(
したく
)
をしたが、しかし何となく
億劫
(
おっくう
)
でもあった。火に
生命
(
いのち
)
を取られる虫のような
焦燥
(
しょうそう
)
もいつか失われていたので、電話の
刺戟
(
しげき
)
はあったけれど、心は煮えきらなかった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
僕もさっきの不覚の
焦燥
(
しょうそう
)
などは綺麗に忘れ、ひどく幸福な気持で
微笑
(
ほほえ
)
んだ。
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
私は
遣
(
や
)
る
瀬
(
せ
)
ない
焦燥
(
しょうそう
)
を感じる。このままこの黴臭い息づまるような空気の中で、——女中部屋の中で、一生を過ごさねばならないのではないか、こういった不安に私はしょっちゅう襲われた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
人に立去られると、はじめて感ずる、
寂寥
(
せきりょう
)
と
焦燥
(
しょうそう
)
とを通り越した恐怖——
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そう考えると、直也の心は、恐ろしい
苦悶
(
くもん
)
と
焦燥
(
しょうそう
)
のために、烈しく動乱した。が、それよりも、自分の父が自分の恋人を奪う悪魔の手下であることを知ると、彼は
憤怒
(
ふんぬ
)
と恥辱とのために、逆上した。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
翌日から僕は新しい希望と新しい
焦燥
(
しょうそう
)
とを持って、自分の研究室へつめかけた。だが、落付いた気持で研究室に坐っていることは出来なかった。
階段
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
私は
殆
(
ほとん
)
ど五分間の間経験のない
焦燥
(
しょうそう
)
に攻められながら、もじもじしていましたが、やがてたまらなくなって、いきなり立上ると、どうするという
当
(
あて
)
もなく、兎も角も部屋を出て
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「まあ、おちつき給え」と、呉用は彼の
焦燥
(
しょうそう
)
をなだめて——
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
という
焦燥
(
しょうそう
)
にもだえるのでした。
人間失格
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
博士に会いたくて
焦
(
こ
)
げつきそうな
焦燥
(
しょうそう
)
を感じていた某大国の特使閣下も、この噂に突き当られ、
落胆
(
らくたん
)
のあまり今にもぶったおれそうな
蒼
(
あお
)
い顔色でもって
地軸作戦:――金博士シリーズ・9――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
さあ大変である、満座、みな不安と
焦燥
(
しょうそう
)
に吹き
研
(
と
)
がれた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
考えて見れば、昼間の
焦燥
(
しょうそう
)
は無意味であった。
灰神楽
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
すると雪子学士の面に
焦燥
(
しょうそう
)
の色があらわれた。彼女は大きく眼を見開き、室内をぐるっと一めぐり見わたした。と、彼女は課長の机の前をはなれて、すたすたと室内を歩きだした。
四次元漂流
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
不安な
焦燥
(
しょうそう
)
をもった老先生の姿である。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「お話中を恐れ入りますが、他の重大事件には私は殆んど関心を持って居りませんので。はい、
只々
(
ただただ
)
重大人物博士の
失踪
(
しっそう
)
について非常なる
憂慮
(
ゆうりょ
)
と不安と
焦燥
(
しょうそう
)
とを覚えている次第でございます」
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
いても立ってもいられない
焦燥
(
しょうそう
)
である。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
水洟
(
みずばな
)
を
啜
(
すす
)
りあげながら、なおも来る夜来る夜を頑張り続けた。さりながらその
甲斐
(
かい
)
は一向に現われず、
焦燥
(
しょうそう
)
は日と共に加わった。珠子とあの仇し男とは、余程巧みに万事をやっているらしい。
大脳手術
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
“焦燥”の意味
《名詞》
焦 燥(しょうそう 「焦躁」の「同音の漢字による書きかえ」)
いらいらして焦ること。
(出典:Wiktionary)
焦
常用漢字
中学
部首:⽕
12画
燥
常用漢字
中学
部首:⽕
17画
“焦燥”で始まる語句
焦燥感
焦燥気味