焦燥いら/\)” の例文
畜生ちきしやう!』とお大は無上に胸が焦燥いら/\して、『莫迦にしてら』と突拍子な聲を出しながら、スタ/\歩出す。
絶望 (旧字旧仮名) / 徳田秋声(著)
根も性も尽き果てゝ了ふやうな焦燥いら/\した心持から、兎にも角にも自然の静かな懐の中に入つて行くといふことは、女の人達に取つても、何とも言はれない慰藉であるに相違なかつた。
女の温泉 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
私の不器用さが、癇癪持らしい彼女を焦燥いら/\させたに違ひないが、田舎から来たばかりの、それも伯父の身内の者だといふので、彼女は、正面から叱り散らすことを遠慮したのであらう、と私は思つた。
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
『誰が引張るもんか。』とお大は相變らず喧嘩腰で、焦燥いら/\しながら『子供に襤褸ぼろを着せておいちや、年中役者騷ぎをしてゐるんぢやないか。亭主こそい面の皮だ。』
絶望 (旧字旧仮名) / 徳田秋声(著)
『何を言つてやがるんだよ。』とお大は血走つたやうな目で床屋をねめつけ、肉と血とでふくらんだ頬をいよいふくらましたが、『何とでも言ふがいよ。口は重寶なものさ。』ともう焦燥いら/\して口がけず
絶望 (旧字旧仮名) / 徳田秋声(著)