“いらだ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
苛立53.3%
焦立33.0%
3.0%
2.6%
焦燥2.6%
焦躁1.5%
燥立1.1%
一朶0.4%
挑動0.4%
棘立0.4%
焦慮0.4%
焦躁立0.4%
燋立0.4%
0.4%
躁立0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そんな言葉の一つ/\に、深い/\意味でも籠るやうな、思はせ振りな調子は、色つぽくはあるにしても、相手をひどく苛立いらだたせます。
蜘蛛くもの巣のようなひびが八方にひろがり、その穴から冷たい海風がサッとガスを吹き込むと、危なげな蝋燭の火がジジッと焦立いらだつ。
灯台鬼 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
とにもかくにも二本まで腹へさわられて大兵の男はいらだって、めん籠手こて、腹のきらいなく盛んな気合で畳みかけ畳みかけ、透間すきまもなく攻め立てる。
ああ、もうもう思うまい思うまい、悲しいんだやら、こう気がいらだってくるばかりで、やはりこれが悲しいんであろう。涙が知らずに湧いて来る。
彼の頭は焦燥いらだつと共に乱れて来た。彼の観念は彼のへやの中をめぐって落ちつけないので、制するのも聞かずに、戸外へ出て縦横に走った。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
手ぬるし手ぬるしむごさが足らぬ、我に続けと憤怒ふんぬの牙噛み鳴らしつつ夜叉王のおどり上って焦躁いらだてば、虚空こくうち満ちたる眷属、おたけび鋭くおめき叫んでしゃに無に暴威を揮うほどに
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
長二が黙ってたれて居りますから、恒太郎は燥立いらだちて、側に落ちている才槌を取って打擲ろうと致しますに、お政が驚いて其の手にすがりついて
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
タジタジと来る八五郎の手を逃れて、女は一朶いらだほのおのように、夜の街へ飛出します。
たゞぼく心配しんぱいでならぬは家内かない——だ。ことほうべにしたようになつて呼吸こきうせわしくなる。ぼくこれるのがじつつらい。先生せんせい家内かないおなやまいのものが挑動いらだとき呼吸こきうきいことがあるかネ。
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
冬になると、そのやぶは黒ずみ湿り棘立いらだちおののいて、家の方をいくらか透かし見せた。
一禅、二禅、三禅の境地が、中空の月のようにしずしずと心の中に冴え渡って行った。だがそれから先へはどうしても進めない。心に仕切りがあるようにどうしても進めない。わたしは焦慮いらだった。
阿難と呪術師の娘 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
その時の作が代表して僕に見せてくれた女性にょしょうのある方面の性質が、想像の刺戟しげきにすら焦躁立いらだちたがっていた僕の頭を静めてくれたのだろうと思う。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
逃げのこった一羽燋立いらだつ風でカゴの中から外を見ては鳴いて居た、その様子を見守り感ずることあり。明日野上さん来訪の予定、かたがた日本橋へ買い出しにゆく。その前に、仕事。三枚半。
其處でいらだつ心を押付けて、沈思默想しんしもくそうていとなる。と謂ツても彼は、何時まで此の問題にのみ取つ付いて、屈詫くつたくおほい頭腦を苦しめてゐる程の正直者しやうぢきものでは無かツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
此家ここへ入るのに肩をそびやかしたほど、平吉がかかる態度に、織次は早や躁立いらだあせる。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)