“いらだ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
苛立52.6%
焦立31.9%
3.4%
3.0%
焦燥3.0%
焦躁1.7%
燥立1.3%
一朶0.4%
挑動0.4%
棘立0.4%
(他:4)1.9%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
親仁おやじ大いに苛立いらだって、たたいたり、ったり、馬の胴体について二三度ぐるぐると廻ったが少しも歩かぬ。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
二万トンの××は高い両舷りょうげんの内外に無数の職工をたからせたまま、何度もいつにない苛立いらだたしさを感じた。
三つの窓 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
その夜は、浜田達にとって、一と晩じゅう、眠ることの出来ない、奇妙な、焦立いらだたしい、滅入めいるような不思議な夜だった。
前哨 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
しきりにこゝろ焦立いらだてたが、海軍かいぐん軍律ぐんりつげんとしてうごかすからず
満枝は彼の枕をとらへてふるひしが、貫一の寂然せきぜんとしてまなこを閉ぢたるにますますいらだちて、
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
されば傾城もかくてはなるまじいと気をいらだつたか、つと地獄絵のもすそひるがへして、斜に隠者の膝へとすがつたと思へば、
きりしとほろ上人伝 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
猛狒ゴリラいかつて刀身たうしん双手もろてにぎると、水兵すいへいいらだつてその胸先むなさき蹴上けあげる
この二人ふたりをば避難ひなんせしめんとしきりこゝろいらだてたのである。
と軍医大佐はしきりに首肯うなずいていたが、その顔面筋肉には何ともいえない焦燥いらだたしい憤懣の色が動揺するのを私は見逃さなかった。
戦場 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
しかし私はその方向には眼もくれなかった。のみならず、その音を聞くと同時にイヨイヨ自分の無罪を確信しつつ、メチャクチャに相手をタタキ付けてしまおうと焦燥いらだった。
一足お先に (新字新仮名) / 夢野久作(著)
これらの人形も三方から兵助を取り囲んで斬り込んでくるので、それを使っている紋作は自分が敵に囲まれているように焦躁いらだってきた。
半七捕物帳:38 人形使い (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
手ぬるし手ぬるしむごさが足らぬ、我に続けと憤怒ふんぬの牙噛み鳴らしつつ夜叉王のおどり上って焦躁いらだてば、虚空こくうち満ちたる眷属
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
少しもこたえない様子で、長二が黙ってたれて居りますから、恒太郎は燥立いらだちて、側に落ちている才槌を取って打擲ろうと致しますに、お政が驚いて其の手にすがりついて
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
まち人々ひとびとのことはかれはいつも軽蔑けいべつして、無教育むきょういく禽獣的生活きんじゅうてきせいかつののしって、テノルの高声たかごえ燥立いらだっている。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
目つぶしの嬌笑。タジタジと来る八五郎の手を逃れて、女は一朶いらだほのおのように、夜の街へ飛出します。
先生せんせい家内かないおなやまいのものが挑動いらだとき呼吸こきうきいことがあるかネ。
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
冬になると、そのやぶは黒ずみ湿り棘立いらだちおののいて、家の方をいくらか透かし見せた。
けれども今考えて見てもそれよりほかの源因は全く考えつかないようだから、やっぱり作が——作がというより、その時の作が代表して僕に見せてくれた女性にょしょうのある方面の性質が、想像の刺戟しげきにすら焦躁立いらだちたがっていた僕の頭を静めてくれたのだろうと思う。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
逃げのこった一羽燋立いらだつ風でカゴの中から外を見ては鳴いて居た、その様子を見守り感ずることあり。
其處でいらだつ心を押付けて、沈思默想しんしもくそうていとなる。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
「ないはずはないじゃないか、あんなに頼んで置いたんだから。……」と何故なぜかこの絵が、いわれある、活ける恋人の如く、容易たやすくは我が手にらない因縁いんねんのように、寝覚めにも懸念して、此家ここへ入るのに肩をそびやかしたほど、平吉がかかる態度に、織次は早や躁立いらだあせる。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)