“あせ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:アセ
語句割合
32.3%
29.2%
焦心13.1%
焦慮6.2%
5.5%
焦燥4.8%
1.9%
焦躁1.7%
1.4%
0.7%
(他:14)3.2%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ときあせにぎるやうな亂牌振らんパイぶりられゝば、颯爽さつさうたる一人拂ひとりばら
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
きまりの魚軒さしみふと、だいぶ水氣立みづけだつたとよりは、あせいて、かどおとして
祭のこと (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
もつと力いつぱいのものが欲しいといつたもどかしさで、ゆき子は富岡から力いつぱいのものを探し出したい気であせつてゐた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
放心のあまりに現在そのものの感じがなくなり、私は現在そのものをしきりに思い出そうとしてあせっているのかも知れなかった。
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
あたかも其氷屋の旗が、何かしらよう/\と焦心あせり乍ら、何もせずにゐる自分の現在の精神の姿の様にも思はれた。
氷屋の旗 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
先を急ぐことに焦心あせりきっている梅軒の眼には、ただではあり得なそうな二人の刹那の驚きも眼にはとまらないらしく、
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
沼へでも落ちた人が足を抜こうと焦慮あせるたびにぶくぶく深く沈むように、噛めば噛むほど口が重くなる、歯が動かなくなる。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
『……ああいう人気者は蜉蝣かげろうだね、だからわずかな青春のうちに、巨大な羽ばたきをしようと焦慮あせるんだ——ね』
腐った蜉蝣 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
昨日の親友は今日の仇敵てきとなり、二人は互に露子の愛をかちえようとあせったが、結局恋の凱歌は八十助の方に揚がった。
火葬国風景 (新字新仮名) / 海野十三(著)
と今度は主税が火の附くようにあわただしくあせって云うのを、夫人は済まして、紙入を帯の間へ、キラリと黄金きんの鎖が動いて、
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
私はそうした神秘的な……息苦しい気持を押え付けよう押え付けようと焦燥あせりつつ、なおも、解放治療場内の光景に眼を注いだ。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
二人の心は一日も早くと焦燥あせりはしたが、席亭よせ組合の懇願もだしがたく、綾之助の引退は一ヶ年の後に延引のばされた。
竹本綾之助 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
車の両輪を失った南朝方がいかにあせっても狂っても、どうなるものではないと、どの人もみな楽観しているらしかった。
小坂部姫 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
いかにれても、あせっても、怪しい蝶はもうその影を見せないのである。ふたりはあきらめて顔を見合わせた。
半七捕物帳:69 白蝶怪 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
で——木村丈八も、ちょうど、江戸へもどって病床についたのを最後として、もう以前のような仕事に焦躁あせる事はしなかった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そう気がつくと同時に一層猛烈に藻掻きまわって、嬢次少年を一刻も早く引っ捕えるべく、焦躁あせりまわらずにはいられなくなった事がある。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そのまた女を追って火焔を上げた男が、女の火を叩き消そうとして狂気のようにあせっている。
生不動 (新字新仮名) / 橘外男(著)
むやみに快楽を追おうとする所にいっさいの紛雑が生ずるのだ。あせればあせるほど、藻掻けば藻掻くほどすべてが粗笨そほんに傾き、ますます空虚となってゆくばかりだ。そうではないか。
田舎医師の子 (新字新仮名) / 相馬泰三(著)
かく言捨てて蒲田は片手しておのれの帯を解かんとすれば、時計のひも生憎あやにくからまるを、あせりに躁りて引放さんとす。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
十分に念を入れて描きたいと、あせればあせるほど其の筆は妙に固くなって、彼として相当の自信のあるような作物がどうしても出来あがらなかった。
半七捕物帳:33 旅絵師 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
だから、結婚を必要事件と、初手から断定して、何時かこれを成立させようとあせる努力を、不自然であり、不合理であり、かつあまりに俗臭を帯びたものと解釈した。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
だから、結婚を必要事件と、初手から断定して、何時いつか之を成立させ様とあせる努力を、不自然であり、不合理であり、且つあまりに俗臭を帯びたものと解釈した。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「暗いじゃあないか、おい、おい。」とただあせる。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
益々ます/\あせつて、
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
とあきらめたやうにつたが、また其處そこどころではささうな、こゑあせつて、
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
とばかりありて、身を横さまに、格子戸にハタとあたりて、うめきつつ、片足踏出でてあせれる染をば、追い来し者ありて引捉ひっとらえ、恐しき声にて叱りたるが、引摺ひきずりて内にりぬ。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
まだ世馴れざる里の子の貴人きにんの前に出でしようにはじを含みてくれないし、額の皺の幾条いくすじみぞには沁出にじみ熱汗あせたた
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
額の皺の幾条の溝には沁出にじみ熱汗あせを湛へ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
私は見る見る血の気をうしなって行く自分自身を自覚した。タマラナイ興奮と、恐怖のために全身ビッショリと生汗あせを流しながら、身動き一つ出来ずにいた。
けむりを吐かぬ煙突 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
青年はたちまさっと赤くなった。そうしてまた急に青白くなって、房々した頭髪の下に隠れている白い額にニジンダ生汗あせを、平手でジックリと拭い上げた。
女坑主 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
板にもが。吾兄あせ三三を。 (歌謠番號一〇五)
尾津の埼なる 一つ松、吾兄あせ一〇
正一の気は、焦立あせって、こうしていることが出来なくなった。
過ぎた春の記憶 (新字新仮名) / 小川未明(著)
お鯉さんのこれからの生活は、かなり色のあせた、熱のないものであろうとその時わたしは思った。
一世お鯉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
美しいお鯉——わたしは手箱に秘めてあったものが、ほどへて開いて見たおりに、色もあせずにそのままあったように、安心と、悦びと、満足の軽い吐息が出るのを知った。
一世お鯉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
はゝ形見かたみ地赤ぢあかいろの、褪色あせのこるもあはれいたまし、ところ何方いづく
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)