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急
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あせ
ふりがな文庫
“
急
(
あせ
)” の例文
或時は却て其れから逃れ出やうと
急
(
あせ
)
る程な、感覺の快味に、全く「
我
(
われ
)
」を忘却してしまふ無限の恍惚———私は實に、戀それよりも
歓楽
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
冷
(
れい
)
か、熱か、
匕首
(
ひしゅ
)
、寸鉄にして、英吉のその舌の根を留めようと
急
(
あせ
)
ったが、
咄嗟
(
とっさ
)
に針を吐くあたわずして、主税は黙って
拳
(
こぶし
)
を握る。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
急
(
あせ
)
り切って前後
不揃
(
ぶぞろい
)
にお若伊之助のまいった次第を話しますので、晋齋も不審には思いますが、自分に
遇
(
あ
)
って詫を
為
(
し
)
ようと申すは
不測
(
ふしぎ
)
な
理由
(
わけ
)
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
昨日の親友は今日の
仇敵
(
てき
)
となり、二人は互に露子の愛をかちえようと
急
(
あせ
)
ったが、結局恋の凱歌は八十助の方に揚がった。
火葬国風景
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
この不利な形勢から逃れようと
急
(
あせ
)
っていた所へ、今日ふと投げて見た一石が案外、波紋を描きそうになったので、隙かさず哀訴を試みたのである。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
▼ もっと見る
それを火勢に追われて逃げて来る人々は、ただ、一方の逃げ口の吾妻橋方面へと逃げ出そうと
急
(
あせ
)
っている。
幕末維新懐古談:13 浅草の大火のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
降る雨を
庇
(
ひさし
)
に
厭
(
いと
)
ふて鼻緒をつくろふに、常々
仕馴
(
しな
)
れぬお坊さまの、これは
如何
(
いか
)
な事、心ばかりは
急
(
あせ
)
れども、何としても
甘
(
うま
)
くはすげる事の成らぬ
口惜
(
くや
)
しさ、ぢれて、ぢれて
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
島君も
笄
(
こうがい
)
を握り締め、頭の上へ振りかぶり、闇にもそれと輝いて見えるお吉の眼の辺りへ眼を注ぎ、じっと油断なく構えたが、足場は悪し
急
(
あせ
)
ってもおり既に危く思われた。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
自分では
確
(
たしか
)
に気は付いていたようだが、
急
(
あせ
)
れば
急
(
あせ
)
るほど解らなくなって、
殆
(
ほと
)
んど当惑していると、突然先生の声がしたので、初めて安心しました、と息をはずましながら
談
(
はな
)
して
怪物屋敷
(新字新仮名)
/
柳川春葉
(著)
「
急
(
あせ
)
る事はないさ。それよりも、まず、この豚公を御覧よ……どうも僕は、ただ縄で縛って置くだけではそう何度もうまい工合に轢かれる筈はない、と最初から睨んでいたんだ」
とむらい機関車
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
急
(
あせ
)
らず
逼
(
せま
)
らず、
擒縦
(
きんしょう
)
の術を尽せしが、敵の力や多少弱りけん、四五間近く寄る毎に、翻然延し返したる彼も、今回は、やや静かに寄る如く、
鈎𧋬
(
はりす
)
の結び目さえ、既に手元に入りたれば、船頭も心得て
大利根の大物釣
(新字新仮名)
/
石井研堂
(著)
近来一部の政治家と新聞記者とは各自党派の勢力を張らんがために、これらの裏長屋にまで人権問題の
福音
(
ふくいん
)
を
強
(
し
)
いようと
急
(
あせ
)
り立っている。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
おのれやれ、
死
(
し
)
んで
鬼
(
おに
)
となり、
無事
(
ぶじ
)
に
道中
(
だうちう
)
はさせませう、
魂
(
たましひ
)
が
附添
(
つきそ
)
つて、と
血狂
(
ちくる
)
ふばかりに
急
(
あせ
)
るほど、
弱
(
よわ
)
るは
老
(
おい
)
の
身體
(
からだ
)
にこそ。
雪の翼
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
心ばかりは
急
(
あせ
)
れども、何としても
甘
(
うま
)
くはすげる事の成らぬ口惜しさ、ぢれて、ぢれて、袂の中から記事文の下書きして置いた大半紙を
抓
(
つか
)
み出し、ずん/\と裂きて
紙縷
(
こより
)
をよるに
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
無暗
(
むやみ
)
に
急
(
あせ
)
るなよ。それに第一捕えるにしても、吾々は、どれだけ確固とした証拠を持っていると言うんだ。——成る程あの親爺は、確かに先夜君に追われた犯人に、九分九厘違いない。
とむらい機関車
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
「そうだ、そいつだ、居所攻めだ。胴を取られても小手を打たれても、
擦
(
かす
)
った擦ったといって置いて、敵が
急
(
あせ
)
って飛び込んで来るところを、真っ向から拝み打ち、ただ一撃でやっつけるのだ」
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
蟇
(
ひきがえる
)
が出て
鼬
(
いたち
)
の
生血
(
いきち
)
を吸ったと言っても、
微笑
(
ほほえ
)
んでばかりいるじゃありませんか。早く安心がしたくもあるし、こっちは
急
(
あせ
)
って
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
積
(
つも
)
る思いのありたけを語り
尽
(
つく
)
そうと
急
(
あせ
)
れば、
一時
(
ひとしきり
)
鳴く
音
(
ね
)
を
止
(
とど
)
めた虫さえも今は二人が
睦言
(
むつごと
)
を外へは
漏
(
もら
)
さじと
庇
(
かば
)
うがように庭一面に鳴きしきる。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
信如
(
しんによ
)
こまりて
舌打
(
したうち
)
はすれども、
今更
(
いまさら
)
何
(
なん
)
と
法
(
ほう
)
のなければ、
大黒屋
(
だいこくや
)
の
門
(
もん
)
に
傘
(
かさ
)
を
寄
(
よ
)
せかけ、
降
(
ふ
)
る
雨
(
あめ
)
を
庇
(
ひさし
)
に
厭
(
いと
)
ふて
鼻緒
(
はなを
)
をつくろふに、
常々
(
つね/″\
)
仕馴
(
しな
)
れぬお
坊
(
ぼう
)
さまの、これは
如何
(
いか
)
な
事
(
こと
)
、
心
(
こゝろ
)
ばかりは
急
(
あせ
)
れども
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
時に……
急
(
あせ
)
ったせいか、私の方が
真先
(
まっさき
)
に二度
辷
(
すべ
)
った、ドンと手を突いてね、はっと起上る、と一のめりに見事に
這
(
は
)
った。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
吾々が堪へられない程不快に感ずるだけ、此の機會に乘じやうと
急
(
あせ
)
り狂つて居るものが無くてはならない筈だ。
新帰朝者日記
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
と今度は主税が火の附くように
慌
(
あわただ
)
しく
急
(
あせ
)
って云うのを、夫人は済まして、紙入を帯の間へ、キラリと
黄金
(
きん
)
の鎖が動いて
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
死なぬにした處がいつも私に訴へるやう、もう二度と再び男と遊ぶ歡樂の夢を見る事はあるまい。
荒
(
すさ
)
んだ心を一日も早く破滅の老境に托しやうと
急
(
あせ
)
るであらう。
歓楽
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
「そんなに
急
(
あせ
)
らんでもまあ
可
(
え
)
えわい。心配なさるな、どうにかなる。時に、才子は今夜来ていないかの。」綾子「
百田様
(
ももたさん
)
?」伯は「うう」「は、参っております。」
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
寧ろかう云ふ理由から、自分は今
正
(
まさ
)
に、自分が此の世に生れ落ちた頃の時代の
中
(
うち
)
に、せめて虫干の日の半日
一時
(
いつとき
)
なりと、心静かに遊んで見
や
(
ママ
)
うと
急
(
あせ
)
つてゐる最中なのである。
虫干
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「来年卒業してから試験を受けるんでさアね。大学校へ行く前に、もう一ツ……大きな学校があるんです。」お豊は何も
彼
(
か
)
も
一口
(
ひとくち
)
に説明してやりたいと心ばかりは
急
(
あせ
)
っても
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
急
(
あせ
)
って、
踠
(
もが
)
いて、立ったり居たり、
汀
(
みぎわ
)
もそちこち、場所を変えてうろついて見込んだが、ふと心づいて
眗
(
みまわ
)
せば、早や何が
染
(
そま
)
るでもなく、緑は緑、青は青で、樹の間は
薄暮合
(
うすくれあい
)
。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
自分の父は世間の親のやうに報恩と云ふ收穫をば急いで其の子から得やうと
急
(
あせ
)
りはしない。
新帰朝者日記 拾遺
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
と気を揉んで、我を忘れて、小芳の背中をとんとんと叩いて、取次げ、と
急
(
あせ
)
って云う。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「来年卒業してから試験を受けるんでさアね。大学校へ行く前に、もう一ツ………大きな学校があるんです。」お
豊
(
とよ
)
は
何
(
なに
)
も
彼
(
か
)
も一口に説明してやりたいと心ばかりは
急
(
あせ
)
つても
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
美人したたか身を
急
(
あせ
)
れば、
髷
(
まげ
)
崩れ、
装
(
なり
)
乱れ、帯はするする、
裳
(
もすそ
)
ははらはら、いとしどけなくなれるに恥じて、はや
一歩
(
ひとあし
)
も移し得ず、肩をすぼめて地にひれふし、
活
(
いき
)
たる心地更に無し。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
または子供を背負った
児娘
(
こむすめ
)
までが
笊
(
ざる
)
や籠や
桶
(
おけ
)
を持って濁流の
中
(
うち
)
に入りつ乱れつ富裕な屋敷の池から流れて来る
雑魚
(
ざこ
)
を捕えようと
急
(
あせ
)
っている有様、通りがかりの橋の上から眺めやると
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「あれ、拓さん、」とばかり身を
急
(
あせ
)
るお雪が膝は、早や水に包まれているのである。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そして真黒な
裸体
(
らたい
)
の男や、腰巻一つの
汚
(
きたな
)
い女房や、又は子供を背負つた
児娘
(
こむすめ
)
までが
笊
(
ざる
)
や籠や
桶
(
をけ
)
を持つて濁流の
中
(
うち
)
に入りつ乱れつ富裕な屋敷の池から流れて来る
雑魚
(
ざこ
)
を捕へやうと
急
(
あせ
)
つてゐる有様
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
予は叫ばむとするに声
出
(
い
)
でず、
蹶起
(
はねお
)
きて逃げむと
急
(
あせ
)
るに、
磐石一座
(
ばんじやくいちざ
)
夜着を圧して、身動きさへも
得
(
え
)
ならねば、我あることを気取らるまじと、
愚
(
おろか
)
や
一縷
(
いちる
)
の
鼻息
(
びそく
)
だもせず、心中に仏の
御名
(
みな
)
を
唱
(
とな
)
へながら
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
少くとも此れ以上醉つてはならぬと
急
(
あせ
)
つた。すると急れば急るほど、私は醉の𢌞るを覺え、眼がぐら/\して、身體全體が次第々々に他人のものであるやうな心持がして………遂に意識が
失
(
なくな
)
つた。
歓楽
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
照子はわくせく気を
急
(
あせ
)
らし、腰元附添い
駈出
(
かけい
)
でて、永田町へ……
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
急
常用漢字
小3
部首:⼼
9画
“急”を含む語句
急遽
性急
急忙
急込
急須
危急
急激
大急
急足
急拵
早急
急流
急立
火急
急々
急歩
急使
急湍
急病
緩急
...