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紙縷
庭なる
美登利はさしのぞいて、ゑゝ
不器用な
彼んな
手つきして
何うなる
物ぞ、
紙縷は
婆々縷、
藁しべなんぞ
前壺に
抱かせたとて
長もちのする
事では
無い
美人は
紙縷を
撚りて、煙管を通し、
溝泥のごとき脂に
面を
皺めて
三人
寄ど
文珠さへ授けぬ
奸智の
智慧袋はたいた
底の
破れかぶれ
爲術盡し
荒仕事娘に
逢すと悦ばせて
誘引出すは斯々と忽ち
極る惡計に
獻つ
酬れつ飮みながらとは云ふものゝ
此の
幕は餘り
感心せぬ事成れば
姉御と己と
鬮にせんと
紙縷捻つて差出せばお定は引て
莞爾笑ひ
矢張兄貴が當り鬮と云はれて三次は
天窓を