紙縷こより)” の例文
にはなる美登利みどりはさしのぞいて、ゑゝ不器用ぶきようんなつきしてうなるものぞ、紙縷こより婆々縷ばゝよりわらしべなんぞ前壺まへつぼかせたとてながもちのすることでは
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
美人は紙縷こよりひねりて、煙管を通し、溝泥どぶどろのごとき脂におもてしわめて
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
三人よれ文珠もんじゆさへ授けぬ奸智かんち智慧袋ちゑぶくろはたいたそこやぶれかぶれ爲術せんすべつき荒仕事あらしごと娘にあはすと悦ばせて誘引おびき出すは斯々と忽ちきまる惡計にさしさゝれつ飮みながらとは云ふものゝまくは餘り感心かんしんせぬ事成れば姉御あねごと己とくじにせんと紙縷こよりひねつて差出せばお定は引て莞爾につこりわら矢張やつぱり兄貴あにきが當り鬮と云はれて三次は天窓あたま
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
たもとの中から記事文の下書きして置いた大半紙を抓み出し、ずんずんと裂きて紙縷こよりをよるに、意地わるの嵐またもや落し来て、立かけし傘のころころところがいづるを
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
左右を見ずしてひたあゆみにしなれども、生憎あやにくの雨、あやにくの風、鼻緒をさへに踏切りて、せんなき門下もんした紙縷こよりる心地、き事さまざまにどうもへられぬ思ひの有しに
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
此處こゝ大黒屋だいこくやのとおもときより信如しんによものおそろしく、左右さゆうずしてひたあゆみにしなれども、生憎あやにくあめ、あやにくのかぜ鼻緒はなををさへに踏切ふみきりて、せんなき門下もんした紙縷こより心地こゝち
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
心ばかりはあせれども、何としてもうまくはすげる事の成らぬ口惜しさ、ぢれて、ぢれて、袂の中から記事文の下書きして置いた大半紙をつかみ出し、ずん/\と裂きて紙縷こよりをよるに
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
なんとしてもうまくはすげることらぬ口惜くやしさ、ぢれて、ぢれて、たもとなかから記事文きじぶん下書したかきしていた大半紙おほばんしつかし、ずん/\ときて紙縷こよりをよるに、意地いぢわるのあらしまたもやおと
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)