“こより”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:コヨリ
語句割合
紙縒29.4%
紙捻23.5%
紙撚23.5%
紙縷7.4%
捻紙4.4%
1.5%
小撚1.5%
紙差1.5%
紙捩1.5%
紙搓1.5%
紙綟1.5%
紙線1.5%
紙繕1.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それから、あれはまた何の催しだったのか、部屋中に一杯賞品が飾られ、父の机の上には紙縒こよりくじの大きな束が置いてあった。
昔の店 (新字新仮名) / 原民喜(著)
「をツさん、また詰まつてるな。素人しろとの煙草呑みはこれやさかいな。」と、俯いて紙捻こよりを拵へ、丁寧に煙管の掃除を始めた。
鱧の皮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
石婦石郎せきふせきろうもこの木の枝に紙撚こよりを結びつけて祈願すれば子宝を授かるとある。尤も片手で結ばないと御利益がないそうだから多少難行なんぎょうに属する。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
美人は紙縷こよりひねりて、煙管を通し、溝泥どぶどろのごとき脂におもてしわめて
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
兄貴がこの墨を頂戴せしそのありがたがりし笑顔、今もなお目にあり、古参の子供らが捻紙こよりつなぎの文銭もてぜひに買わんとい、あるいは半紙十枚と換えくれと請いたれども承知せず
空家 (新字新仮名) / 宮崎湖処子(著)
初めて鳴鳳楼で逢った以来儂のではお厭なのと云って手巾を出されたことを第一として、自分と手をひかれて歩いた事、結んだこよりに目賀田とあるを悦んだ事
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
今度は鼻紙を細く引裂いてこよりこしらえ、見ちゃアいけませんよと、向むいてその端へ何やら書附け、御神籤おみくじのように振って居たが、あなたこれを結んで頂戴なその墨のついたのをよ
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
彼は健三から受取った半紙をいて小撚こよりこしらえた。それで二返も三返も羅宇ラウの中を掃除した。彼はこういう事をするのに最もれた人であった。健三は黙ってその手際を見ていた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私が子供の時、蜘蛛が嫌いなのを友達が知っていて紙差こよりを作って、「そら蜘蛛だ」といって、私のからだにそれを触れさして脅かすと、私があわてて逃げるのを面白がっていたくらいである。
触覚について (新字新仮名) / 宮城道雄(著)
山の総円そうえんさんに来て貰って、紙捩こよりで封じて貰った、総円さんは飲んだくれのようなやくざ山伏やまぶしと人はいうけれども、俺はつくづくと今度だけはえらいと思った
糞尿譚 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
嗅煙草を包んだ紙搓こよりのことであるが、眠っていた中学生は、夢うつつのこととて思いきりその煙草を鼻へ吸いこんで、はっと眼をさますなり、跳び起きて、寝ぼけ眼をみはり
待人の紙綟こよりが結ばっていそうだし、取残したすだれの目から鬢櫛びんぐしが落ちて来そうで、どうやらみどりとばりくれないしとねを、無断で通り抜ける気がして肩身が細い。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
短い髪を水引即ち水捻みずよりにした紙線こよりで巻き立て、むずかしい眼を一筋縄でも二筋縄でも縛りきれぬ面魂つらだましいに光らせて居たのだから、異相という言葉で昔から形容しているが
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
あわせ紺飛白こんがすりに一本独鈷どっこの博多の角帯を締め、羽織の紐代りに紙繕こよりを結んでいる青年音楽家は、袖をつめた洋装を着た師の妹娘を後に従えて、箱根旧街道へと足を向けた。
呼ばれし乙女 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)