“こより”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
紙縒27.1%
紙撚25.4%
紙捻23.7%
紙縷6.8%
捻紙3.4%
小撚1.7%
紙差1.7%
紙捩1.7%
紙搓1.7%
紙綟1.7%
(他:3)5.1%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「健ちゃ、徴兵よかったな。大した儲けだな。」——近所の小作だった。紙縒こよりを煙管の中に通していた。「石山の信ちゃとられたものな。」
不在地主 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
袂から紙を出してわざ/\紙縒こよりを拵へて、それを長くつないだのを看護婦の背中へくつ附けて、知らぬ顏をしてゐたりなぞして人を笑はせた。
赤い鳥 (旧字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
線香花火は硝石、硫黄、炭素の粉をよく混じて磨り合わせたもので、これを日本紙の紙撚こよりの先端に包み込んだものである。
線香花火 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
このとき思い当るのは、手内職というてこの奇異なる武士が、暇にまかせてこしらえておいた紙撚こよりであります。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ばかばかしくても指を縛るくらいはなんでもないので、すぐ手をやって神中の手にしたものをとった。それは紙捻こよりであった。
雀が森の怪異 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「をツさん、また詰まつてるな。素人しろとの煙草呑みはこれやさかいな。」と、俯いて紙捻こよりを拵へ、丁寧に煙管の掃除を始めた。
鱧の皮 (新字旧仮名) / 上司小剣(著)
せんなき門下もんした紙縷こより心地こゝちことさま/″\にうもへられぬおもひのありしに
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
美人は紙縷こよりひねりて、煙管を通し、溝泥どぶどろのごとき脂におもてしわめて、
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
写真を見ると、平田と吉里のを表と表と合わせて、裏には心という字を大きく書き、捻紙こよりにて十文字にからげてあッた。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
一個ひとつの抽匣から取り出したのは、一束ひとつかねずつ捻紙こよりからげた二束ふたつふみである。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
彼は健三から受取った半紙をいて小撚こよりこしらえた。それで二返も三返も羅宇ラウの中を掃除した。彼はこういう事をするのに最もれた人であった。健三は黙ってその手際を見ていた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私が子供の時、蜘蛛が嫌いなのを友達が知っていて紙差こよりを作って、「そら蜘蛛だ」といって、私のからだにそれを触れさして脅かすと、私があわてて逃げるのを面白がっていたくらいである。
触覚について (新字新仮名) / 宮城道雄(著)
何とも知れんことを口走ったり、何でも手あたり次第に投げたり、暴れるので危ないから、山の総円そうえんさんに来て貰って、紙捩こよりで封じて貰った、総円さんは飲んだくれのようなやくざ山伏やまぶしと人はいうけれども
糞尿譚 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
⦅驃騎兵⦆というのは、嗅煙草を包んだ紙搓こよりのことであるが、眠っていた中学生は、夢うつつのこととて思いきりその煙草を鼻へ吸いこんで、はっと眼をさますなり、跳び起きて、寝ぼけ眼をみはり、馬鹿のように四方八方をキョロキョロと見𢌞しながら
と云ううちにも、掻巻かいまきの袖には枕が包まれ、布団の綴糸つづりいとに、待人の紙綟こよりが結ばっていそうだし、取残したすだれの目から鬢櫛びんぐしが落ちて来そうで
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
然し弥兵衛等も政宗に会って見て驚いたろう、先ず第一に年は僅に二十四五だ、短い髪を水引即ち水捻みずよりにした紙線こよりで巻き立て、むずかしい眼を一筋縄でも二筋縄でも縛りきれぬ面魂つらだましいに光らせて居たのだから、異相という言葉で昔から形容しているが、全く異相に見えたに相違無い。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
あわせ紺飛白こんがすりに一本独鈷どっこの博多の角帯を締め、羽織の紐代りに紙繕こよりを結んでいる青年音楽家は、袖をつめた洋装を着た師の妹娘を後に従えて、箱根旧街道へと足を向けた。
呼ばれし乙女 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
自分と手をひかれて歩いた事、結んだこよりに目賀田とあるを悦んだ事、御新造さまと呼ばれて莞爾にっこりあいよと笑った事、それやこれや小歌の我れに対する誠が一通りでないようで、かつまたあのやさしい小歌に
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
これがあなたですよ、これがあなたの奥さんですよと云って、小歌が画といえば画、丸に目鼻を書いて居る折婢が来て、感心だね歌ちゃんは絵心があるよと笑って見て居たが、小歌はそれにも飽たか半分で止めて、今度は鼻紙を細く引裂いてこよりこしら
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)