宮城道雄
1894.04.07 〜 1956.06.25
著者としての作品一覧
雨夜の駅(新字新仮名)
読書目安時間:約4分
雨のしとしと降っている夜であった。私は京都の駅で汽車を待っていた。親戚の若い人達が早くから来て場所を取ってくれていたが、それでも列の後の方であった。 そこでは並んでいる人同士で汽車 …
読書目安時間:約4分
雨のしとしと降っている夜であった。私は京都の駅で汽車を待っていた。親戚の若い人達が早くから来て場所を取ってくれていたが、それでも列の後の方であった。 そこでは並んでいる人同士で汽車 …
音の世界に生きる(新字新仮名)
読書目安時間:約8分
幸ありて 昨年の暮、一寸風邪をひいて欧氏管を悪くした。普通の人ならたいして問題にすまいこのことが、九つの年に失明を宣言されたその時の悲しみにも増して、私の心を暗くした。もし耳がこの …
読書目安時間:約8分
幸ありて 昨年の暮、一寸風邪をひいて欧氏管を悪くした。普通の人ならたいして問題にすまいこのことが、九つの年に失明を宣言されたその時の悲しみにも増して、私の心を暗くした。もし耳がこの …
垣隣り(新字新仮名)
読書目安時間:約3分
普通の目の見える人が、自分の家のあたりの景色に親しみを持って見るのと同様に、私には自分の住んでいる近所の音が、私の生活の中に入っているわけである。これは自分の住んでいる周囲の音が懐 …
読書目安時間:約3分
普通の目の見える人が、自分の家のあたりの景色に親しみを持って見るのと同様に、私には自分の住んでいる近所の音が、私の生活の中に入っているわけである。これは自分の住んでいる周囲の音が懐 …
声と食物(新字新仮名)
読書目安時間:約4分
私の経験から歌についていうと、言葉と節とが調和する時と、しない時とがある。従って、外国の歌を日本語に訳した際に、訳され方によって、音と言葉とがあっていないような気がする。殊にオペラ …
読書目安時間:約4分
私の経験から歌についていうと、言葉と節とが調和する時と、しない時とがある。従って、外国の歌を日本語に訳した際に、訳され方によって、音と言葉とがあっていないような気がする。殊にオペラ …
声と性格(新字新仮名)
読書目安時間:約4分
私は盲人であるので、すべてのことを声で判断する。殊に婦人の美しさとか、若い乙女の純な心とかは、その声や言葉によって感じるわけである。従って、声が美しくて、発音が綺麗であると、話して …
読書目安時間:約4分
私は盲人であるので、すべてのことを声で判断する。殊に婦人の美しさとか、若い乙女の純な心とかは、その声や言葉によって感じるわけである。従って、声が美しくて、発音が綺麗であると、話して …
声と人柄(新字新仮名)
読書目安時間:約3分
或時、横須賀から東京に向う省線に逗子駅から乗ったことがあった。ところがその電車が非常に混んでいて、空いた座席が殆どなかった。丁度その時、どこかの地方の青年団の人々が乗っていたが、そ …
読書目安時間:約3分
或時、横須賀から東京に向う省線に逗子駅から乗ったことがあった。ところがその電車が非常に混んでいて、空いた座席が殆どなかった。丁度その時、どこかの地方の青年団の人々が乗っていたが、そ …
心の調べ(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
どんな美しい人にお会いしても、私はその姿を見ることはできませんが、その方の性格はよく知ることができます。美しい心根の方の心の調べは、そのまま声に美しくひびいてくるからです。声のよし …
読書目安時間:約2分
どんな美しい人にお会いしても、私はその姿を見ることはできませんが、その方の性格はよく知ることができます。美しい心根の方の心の調べは、そのまま声に美しくひびいてくるからです。声のよし …
五十年をかえりみて(新字新仮名)
読書目安時間:約4分
この度の音楽生活五十年記念演奏会に際し、皆様に御支援を戴いたことを心から感謝いたします。 私は九歳の年の六月一日に箏を習い始めてから、今年が還暦祝などというと、自分でじじくさく感じ …
読書目安時間:約4分
この度の音楽生活五十年記念演奏会に際し、皆様に御支援を戴いたことを心から感謝いたします。 私は九歳の年の六月一日に箏を習い始めてから、今年が還暦祝などというと、自分でじじくさく感じ …
純粋の声(新字新仮名)
読書目安時間:約3分
私が上野の音楽学校に奉職することになった時、色々話があるからというので、或る日学校に呼ばれて行ったことがある。いよいよ講師としての辞令を渡された時、乗杉校長が、この学校は官立である …
読書目安時間:約3分
私が上野の音楽学校に奉職することになった時、色々話があるからというので、或る日学校に呼ばれて行ったことがある。いよいよ講師としての辞令を渡された時、乗杉校長が、この学校は官立である …
触覚について(新字新仮名)
読書目安時間:約6分
私は盲人であるので、ものの形を目で見るかわりに、手の感覚で探って見るわけである。そして、手の先も始終ものを触って見る練習が積めば、だんだん指先の感じが鋭敏になっていくものである。 …
読書目安時間:約6分
私は盲人であるので、ものの形を目で見るかわりに、手の感覚で探って見るわけである。そして、手の先も始終ものを触って見る練習が積めば、だんだん指先の感じが鋭敏になっていくものである。 …
春雨(新字新仮名)
読書目安時間:約3分
家の者が、「座右寶」に梅原氏の絵が出ていると言うので、私はさわらせて貰った。さわってみても私に絵がわかる筈はないが、それでもやはりさわってみたい。いろいろと説明を聞きながらさわって …
読書目安時間:約3分
家の者が、「座右寶」に梅原氏の絵が出ていると言うので、私はさわらせて貰った。さわってみても私に絵がわかる筈はないが、それでもやはりさわってみたい。いろいろと説明を聞きながらさわって …
耳の日記(新字新仮名)
読書目安時間:約5分
友情 いつであったか、初夏の気候のよい日に内田百間氏がひょっこり私の稽古場を訪ねて来て、今或る新聞社の帰りでウイスキーを貰って来たから撿挍にお裾分けしようと言われた。待っていた弟子 …
読書目安時間:約5分
友情 いつであったか、初夏の気候のよい日に内田百間氏がひょっこり私の稽古場を訪ねて来て、今或る新聞社の帰りでウイスキーを貰って来たから撿挍にお裾分けしようと言われた。待っていた弟子 …
昔の盲人と外国の盲人(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
昔は盲人に特別の位を与えたものである。よく何市、何市とあるが、あれも市名といって、盲人の位の一つで、一番下である。しかし何といっても一番よいのは撿挍であって、昔は撿挍になるには千両 …
読書目安時間:約2分
昔は盲人に特別の位を与えたものである。よく何市、何市とあるが、あれも市名といって、盲人の位の一つで、一番下である。しかし何といっても一番よいのは撿挍であって、昔は撿挍になるには千両 …
山の声(新字新仮名)
読書目安時間:約7分
私が失明をするに至った遠因ともいうべきものは、私が生れて二百日程たってから、少し目が悪かったことである。しかし、それから一度よくなって、七歳の頃までは、まだ見えていたのであるが、そ …
読書目安時間:約7分
私が失明をするに至った遠因ともいうべきものは、私が生れて二百日程たってから、少し目が悪かったことである。しかし、それから一度よくなって、七歳の頃までは、まだ見えていたのであるが、そ …
レコード夜話(新字新仮名)
読書目安時間:約4分
メニューヒンの演奏会を日比谷の公会堂へ聴きに行って、あとで楽屋へ挨拶に行くと、握手をしながら how do you do と言われた。その声が高い若々しい調子に聞こえた。帰ろうとす …
読書目安時間:約4分
メニューヒンの演奏会を日比谷の公会堂へ聴きに行って、あとで楽屋へ挨拶に行くと、握手をしながら how do you do と言われた。その声が高い若々しい調子に聞こえた。帰ろうとす …
私のすきな人(新字新仮名)
読書目安時間:約3分
私のすきな人はたくさんあるので、みな書くことは出来ないが、最近倒れた印度のガンジー翁などはすきである。ラジオや新聞によると、ガンジーは、いつもヤギの乳や、ナツメの実ばかり食べて生活 …
読書目安時間:約3分
私のすきな人はたくさんあるので、みな書くことは出来ないが、最近倒れた印度のガンジー翁などはすきである。ラジオや新聞によると、ガンジーは、いつもヤギの乳や、ナツメの実ばかり食べて生活 …
私の若い頃(新字新仮名)
読書目安時間:約6分
私は七八歳の頃、まだ眼が少し見えていたが、その頃何よりもつらく感じた事は、春が来て四月になると、親戚の子や、近所の子が小学校へ上ることで、私も行きたいが眼が癒らない。親達は気やすめ …
読書目安時間:約6分
私は七八歳の頃、まだ眼が少し見えていたが、その頃何よりもつらく感じた事は、春が来て四月になると、親戚の子や、近所の子が小学校へ上ることで、私も行きたいが眼が癒らない。親達は気やすめ …
“宮城道雄”について
宮城 道雄(みやぎ みちお、1894年〈明治27年〉4月7日 - 1956年〈昭和31年〉6月25日)は、日本の作曲家・箏曲家である。兵庫県神戸市生まれ。旧姓は菅(すが)。十七絃の開発者としても知られる。大検校であったため、広く『宮城検校』と呼ばれた。
『雨の念仏』(1935年)などの随筆により文筆家としての評価も高い。作家の内田百閒とは親友同士であり、交友も深く、双方の随筆でたびたび言及していた。
(出典:Wikipedia)
『雨の念仏』(1935年)などの随筆により文筆家としての評価も高い。作家の内田百閒とは親友同士であり、交友も深く、双方の随筆でたびたび言及していた。
(出典:Wikipedia)
“宮城道雄”と年代が近い著者
きょうが誕生日(12月8日)
きょうが命日(12月8日)
山村暮鳥(1924年)
今月で生誕X十年
ラデャード・キプリング(生誕160年)
ライネル・マリア・リルケ(生誕150年)
野口米次郎(生誕150年)
瀬沼夏葉(生誕150年)
相馬泰三(生誕140年)
山中峯太郎(生誕140年)
観世左近 二十四世(生誕130年)
平山千代子(生誕100年)
今月で没後X十年
アウグスト・プラーテン(没後190年)
フィオナ・マクラウド(没後120年)
徳永保之助(没後100年)
エドワード・シルヴェスター・モース(没後100年)
寺田寅彦(没後90年)
生田葵山(没後80年)
百田宗治(没後70年)
安井曽太郎(没後70年)
米川正夫(没後60年)
今年で生誕X百年
平山千代子(生誕100年)
今年で没後X百年
大町桂月(没後100年)
富ノ沢麟太郎(没後100年)
細井和喜蔵(没後100年)
木下利玄(没後100年)
富永太郎(没後100年)
エリザベス、アンナ・ゴルドン(没後100年)
徳永保之助(没後100年)
後藤謙太郎(没後100年)
エドワード・シルヴェスター・モース(没後100年)