“縷”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
63.0%
いと18.5%
5.6%
いとすじ3.7%
より3.7%
かが1.9%
かゞ1.9%
ちりば1.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
路は暫し松林しようりんの間を穿うがちて、茅屋ばうおく村舍の上になびける細き烟のさながらの如くなるを微見ほのみつゝ、次第に翠嵐すゐらん深き處へとのぼり行きしが
秋の岐蘇路 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)
支那名は繁縷であるがそれはこの草が容易によく繁茂する上にその茎の中に一条のいと、すなわち維管束がある所からこの名が生れたのである。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
左右を見ずしてひたあゆみにしなれども、生憎あやにくの雨、あやにくの風、鼻緒をさへに踏切りて、せんなき門下もんした紙縷こよりる心地、き事さまざまにどうもへられぬ思ひの有しに
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
この刀は外国から買ったものですが、人を殺すにいまだ一度だって、いとすじうるおしたことがありません。私で三代これをつけております。
田七郎 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
問はゞ左りへあやなし越前とやらめい奉行でも何のおそるゝ事やあらんと高手たかて小手こていましめの繩のよりさへ戻す氣で引れ行くこそ不敵ふてきなれ。
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
と、すぐその障子の影へ入れる、とすぐ靴の紐をかがっていた洋装のが、ガチリと釣銭を衣兜かくし掴込つかみこんで、がっしりした洋傘こうもりいて出て行く。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
友染いうぜんきれに、白羽二重しろはぶたへうらをかさねて、むらさきひもくちかゞつた、衣絵きぬゑさんが手縫てぬい服紗袋ふくさぶくろつゝんで、そのおくつた、しろかゞや小鍋こなべである。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
空には滴る星の光がちりばめられ園林の葉枝は夜風を迎え始めた。
阿難と呪術師の娘 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)