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縷
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いと
ふりがな文庫
“
縷
(
いと
)” の例文
支那名は繁縷であるがそれはこの草が容易によく繁茂する上にその茎の中に一条の
縷
(
いと
)
、すなわち維管束がある所からこの名が生れたのである。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
何の鳥とも知らず黒い小鳥が
啼
(
な
)
いて、二三羽頭の上を廻っていた。
傍
(
かたわら
)
の垣根の竹に
蛞蝓
(
なめくじ
)
が銀色の
縷
(
いと
)
を引いて止まっている。
櫛
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
けれ共王と貴族と富豪との
傲慢
(
がうまん
)
と罪悪とに媚びて、
縷
(
いと
)
の如き生命を
維
(
つな
)
いでる教会は
戦慄
(
せんりつ
)
します、決して之を容赦致しませぬ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
項
(
うなじ
)
を上げている顔の、
眼瞼
(
まぶた
)
の蔭から湧き出る涙が、鼻の両側を伝わって頤の方へ
縷
(
いと
)
を引きながら流れている。
母を恋うる記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
指端
(
したん
)
を弄して低き音の
縷
(
いと
)
のごときを引くことしばし、突然中止して
船端
(
ふなばた
)
より下りた。自分はいきなり
女難
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
仰いで
皎日
(
こうじつ
)
を
視
(
み
)
て、目
尽
(
ことごと
)
く
眩
(
げん
)
して後、
赤豆
(
せきとう
)
黒豆
(
こくとう
)
を暗室中に
布
(
し
)
いて之を
弁
(
べん
)
じ、又五色の
縷
(
いと
)
を窓外に懸け、月に映じて
其
(
その
)
色を別って
訛
(
あやま
)
つこと無く、
然
(
しか
)
して後に人を相す。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
豊かにして
逼
(
せま
)
らざる重厚なものとなったが、よく読めばおのずから第四句に
縷
(
いと
)
の如くに続き、また一首全体に響いて、気品の高い、いうにいわれぬ歌調となったものである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
客ニ
洞簫
(
とうしよう
)
ヲ吹ク者アリ、歌ニヨツテ
之
(
これ
)
ヲ和ス、其ノ声、
嗚々然
(
おおぜん
)
トシテ、
怨
(
うら
)
ムガ如ク、慕フガ如ク、泣クガ如ク、訴フルガ如シ、
余音
(
よいん
)
嫋々
(
じようじよう
)
トシテ、絶エザルコト
縷
(
いと
)
ノ如シ、
幽壑
(
ゆうがく
)
ノ
潜蛟
(
せんこう
)
ヲ舞ハシ
大菩薩峠:27 鈴慕の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
飛瀑の如き水は我頭上に
灌
(
そゝ
)
ぎ、身は非常なる氣壓の加はるところとなりて、眼中血を
迸
(
ほとばし
)
らしめんと欲するものゝ如く、五官の能既に廢して、わが絶えざること
縷
(
いと
)
の如き意識は唯だ死々と念ずるのみ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
水路の通ずること是の如くなるを以て、小名木川は実に
縷
(
いと
)
の如き小渠なるにもかゝはらず、荷足行き、伝馬行き、達磨行き、蒸汽船行き、夜〻日〻
艪声檣影
(
ろせいしようえい
)
絶ゆる間なし。
水の東京
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
縷
漢検1級
部首:⽷
17画
“縷”を含む語句
縷々
繿縷
婆々縷
縷糸
繁縷
繿縷錦
一縷
縷述
紙縷
縷説
襤縷
金縷
縷紅新草
繿縷布片
萬縷
襤縷々々
縷陳
襤縷片
縷金荷葉
銖分縷析
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