“蟇”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
がま53.0%
ひき22.3%
ひきがえる17.5%
ひきがへる5.4%
かえる0.6%
かへる0.6%
がえる0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
杖の柄に僕は劇しく両肱を組み肱の上には不遜な肩を鋭く張つて、がまの形にのめり出しながら、憎々しげに隅の一方を凝視めてゐた。
海の霧 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
老婆は、片手に、まだ死骸の頭から奪った長い抜け毛を持ったなり、ひきのつぶやくような声で、口ごもりながら、こんな事を云った。
羅生門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
まったく無音無色のなかに無神経な冬眠をジッとつづけているひきがえるみたいなものです。蟇といわなければ神様のような人間になっている。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
下谷青石横丁したやあをいしよこちやうの、晝間も大きなひきがへるが出て來て蚊を吸つてゐるやうな、古い庭のある、眞つ暗な家に祖母と二人住んでゐて、硫黄仙人いわうせんにんとあだなされる
日本橋あたり (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
そのトリフォンという牧師は、ルアンの近くのサン・ジョルジュ・ド・ボシェルヴィルの修道院に埋められたが、その墓からはただかえるが生じたのみだった。
野口米次郎よねじらう氏は「かへるを食べるのは、その唄をも食べるといふ事だ。七面鳥を頬張るのは、その夢をも頬張るといふ事だ。」
彼の大嫌いな大きなイボがえるであった。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)