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舌打
「トム、トム……。」と、二三度呼んだが、犬は
食物に気を
奪られて、主人の声を
聞付けぬらしい。市郎は
舌打しながら
引返して来た。
腹も
立たずか
言譯しながら
後刻に
後刻にと
行過るあとを、
一寸舌打しながら
見送つて
後にも
無いもんだ
來る
氣もない
癖に
そしてガラス
球のような、
冷ややかに
光る
目でじっとそれを
見ていましたが、やがて
舌打ちをして、いまいましそうにいいました。
「
中根だな、
相變らず
爲樣のない
奴だ‥‥」と、
私は
銃身で
突き
上げられた
左の
頬を
抑へながら、
忌々しさに
舌打ちした。