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舌打
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したうち
ふりがな文庫
“
舌打
(
したうち
)” の例文
「トム、トム……。」と、二三度呼んだが、犬は
食物
(
くいもの
)
に気を
奪
(
と
)
られて、主人の声を
聞付
(
ききつ
)
けぬらしい。市郎は
舌打
(
したうち
)
しながら
引返
(
ひっかえ
)
して来た。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
腹
(
はら
)
も
立
(
た
)
たずか
言譯
(
いひわけ
)
しながら
後刻
(
のち
)
に
後刻
(
のち
)
にと
行過
(
ゆきすぎ
)
るあとを、
一寸
(
ちよつと
)
舌打
(
したうち
)
しながら
見送
(
みおく
)
つて
後
(
のち
)
にも
無
(
な
)
いもんだ
來
(
く
)
る
氣
(
き
)
もない
癖
(
くせ
)
に
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
明
(
あく
)
る
日
(
ひ
)
も
亦
(
また
)
同
(
おな
)
じ
樣
(
やう
)
に
雨
(
あめ
)
が
降
(
ふ
)
つた。
夫婦
(
ふうふ
)
も
亦
(
また
)
同
(
おな
)
じ
樣
(
やう
)
に
同
(
おな
)
じ
事
(
こと
)
を
繰
(
く
)
り
返
(
かへ
)
した。その
明
(
あく
)
る
日
(
ひ
)
もまだ
晴
(
は
)
れなかつた。
三日目
(
みつかめ
)
の
朝
(
あさ
)
になつて、
宗助
(
そうすけ
)
は
眉
(
まゆ
)
を
縮
(
ちゞ
)
めて
舌打
(
したうち
)
をした。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
『まア
貴下
(
あなた
)
あれが
見
(
み
)
えないの。アゝ
最早
(
もう
)
見
(
み
)
えなくなつた。』と
老婦人
(
らうふじん
)
は
殘念
(
ざんねん
)
さうに
舌打
(
したうち
)
をした。
義母
(
おつかさん
)
は
一寸
(
ちよつ
)
と
其方
(
そのはう
)
を
見
(
み
)
たばかり
此時
(
このとき
)
自分
(
じぶん
)
は
思
(
おも
)
つた
義母
(
おつかさん
)
よりか
老婦人
(
らうふじん
)
の
方
(
はう
)
が
幸福
(
しあはせ
)
だと。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
清水一学は、二人へ挨拶すると、すぐ
早駕
(
はや
)
の方へ、眼をやって、
舌打
(
したうち
)
をならした。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
……
畜生
(
ちくしょう
)
、いよいよ入りやがったな、と
舌打
(
したうち
)
しながらその方へ歩いて往った。
水魔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「これか」岩はチェッと
舌打
(
したうち
)
をした。「小僧に捲きつけられた
鋼
(
はがね
)
のロープだが、上の
鉤
(
かぎ
)
のところはやっと
外
(
はず
)
して来たが、あとは足首から切り離そうとしても、固くてなかなか切れやしない」
地中魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「また始めやがツた。」と俊男は
眉
(
まゆ
)
の間に
幾筋
(
いくすぢ
)
となく
皺
(
しわ
)
を寄せて
舌打
(
したうち
)
する。
切
(
しきり
)
に
燥々
(
いら/\
)
して來た
氣味
(
きみ
)
で、奧の方を見て眼を
爛
(
きら
)
つかせたが、それでも
耐
(
こら
)
えて、體を
斜
(
なゝめ
)
に兩足をブラり
椽
(
えん
)
の板に落してゐた。
青い顔
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
銭占屋は独り
舌打
(
したうち
)
しては、いつまでも寝返りばかりしていたが
世間師
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
平次は大きな
舌打
(
したうち
)
をして、十手を懷にねぢ込みました。
銭形平次捕物控:097 許婚の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と、座長の
角面
(
かくづら
)
がつゞけ
状
(
ざま
)
に
舌打
(
したうち
)
をしながら言つた。
光籃
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「あ、
失敗
(
しま
)
った!」と、市郎は思わず
舌打
(
したうち
)
した。が、現在の位置にあって再び蝋燭を
点
(
つ
)
けると云うことは、殆ど不可能であった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
藤本
(
ふぢもと
)
は
來年
(
らいねん
)
學校
(
がくかう
)
を
卒業
(
そつげう
)
してから
行
(
ゆ
)
くのだと
聞
(
き
)
いたが、
何
(
ど
)
うして
其樣
(
そんな
)
に
早
(
はや
)
く
成
(
な
)
つたらう、
爲樣
(
しやう
)
のない
野郎
(
やらう
)
だと
舌打
(
したうち
)
しながら
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
彼は
今更
(
いまさら
)
気がついたように、頭の上に
被
(
かぶ
)
さる黒い空を仰いで、
苦々
(
にがにが
)
しく
舌打
(
したうち
)
をした。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そしてチェッと
舌打
(
したうち
)
をしたが、そのとき後からついていった私が
扉
(
ドア
)
に当ってガタリと音を立てたものだから、彼は
吃驚
(
びっくり
)
して私の方を振りかえった。その面は、明かに不安の色が濃く浮んでいた。
ゴールデン・バット事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
と
山伏
(
やまぶし
)
は又湖水を飲む音。
舌打
(
したうち
)
しながら
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
今
(
いま
)
はと
決心
(
けつしん
)
の
臍
(
ほぞ
)
固
(
かた
)
まりけんツト
立上
(
たちあが
)
りしが
又
(
また
)
懷中
(
ふところ
)
に
手
(
て
)
をさし
入
(
い
)
れて
一思案
(
ひとしあん
)
アヽ
困
(
こま
)
つたと
我知
(
われし
)
らず
歎息
(
たんそく
)
の
詞
(
ことば
)
唇
(
くちびる
)
をもれて
其儘
(
そのまゝ
)
に
身
(
み
)
はもとの
通
(
とほ
)
り
舌打
(
したうち
)
の
音
(
おと
)
續
(
つゞ
)
けて
聞
(
きこ
)
えぬ
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
懐中
(
ふところ
)
を探ると、
燐寸
(
まっち
)
の箱は
既
(
も
)
う
空虚
(
から
)
であった。彼は
舌打
(
したうち
)
して
明箱
(
あきばこ
)
を
投
(
ほう
)
り出した。
此上
(
このうえ
)
は何とかして燐寸を求め得ねばならぬ。重太郎は思案して町の
方
(
かた
)
へ歩み去った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
三度目に津田の姿が眼に浮んだ時、彼女は
舌打
(
したうち
)
をしたくなった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そのあとで彼、酒田は意外なことを発見して強く
舌打
(
したうち
)
をした。
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
と
舌打
(
したうち
)
、
生意氣
(
なまいき
)
なもの
言
(
い
)
ひで
山の手小景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
信如
(
しんによ
)
こまりて
舌打
(
したうち
)
はすれども、
今更
(
いまさら
)
何
(
なん
)
と
法
(
ほう
)
のなければ、
大黒屋
(
だいこくや
)
の
門
(
もん
)
に
傘
(
かさ
)
を
寄
(
よ
)
せかけ、
降
(
ふ
)
る
雨
(
あめ
)
を
庇
(
ひさし
)
に
厭
(
いと
)
ふて
鼻緒
(
はなを
)
をつくろふに、
常々
(
つね/″\
)
仕馴
(
しな
)
れぬお
坊
(
ぼう
)
さまの、これは
如何
(
いか
)
な
事
(
こと
)
、
心
(
こゝろ
)
ばかりは
急
(
あせ
)
れども
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
舌
常用漢字
小6
部首:⾆
6画
打
常用漢字
小3
部首:⼿
5画
“舌”で始まる語句
舌
舌鼓
舌鋒
舌切雀
舌舐
舌頭
舌皷
舌端
舌長
舌嘗