舌打したう)” の例文
そしてガラスだまのような、ややかにひかでじっとそれをていましたが、やがて舌打したうちをして、いまいましそうにいいました。
消えた美しい不思議なにじ (新字新仮名) / 小川未明(著)
中根なかねだな、相變あひかはらず爲樣しやうのないやつだ‥‥」と、わたし銃身じうしんげられたひだりほほおさへながら、忌々いまいましさに舌打したうちした。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
執事しつじの勝見伍策というのが出迎えましたが、直ちに私の兄で、赤耀館の当主であった丈太郎に取次ぎましたが、兄は舌打したうちをして顔の色さえ変えました。
赤耀館事件の真相 (新字新仮名) / 海野十三(著)
と忍剣は苦笑して、さきに打ちたおした黒衣こくいの影武者をのぞいたが、呂宋兵衛るそんべえ偽者にせものと知って舌打したうちする。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それからいまいましそうに舌打したうちをして、弾丸のこもった鉄砲をかついで、帰りかけました。
狸のお祭り (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
天滿與力てんまよりきは、渡船とせんもどしてみたけれど、ほとんど片足かたあし餘地よちもないので、腹立はらだたし舌打したうちして、みぎはつてゐたが、やがてたかく、とらえるやうにこゑげると
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
運転台うんてんだいにすわって、舌打したうちをしながら、それを動かすようなかっこうをしました。そして心の中では、こんなすばらしい機械ではたけがのりまわせたら、すてきなんだがなあ、と思いました。
馬鹿ばかだな、苟且かりにも主人しゆじんが呼んだら、なに御用ごようでもりますかと手を突いてふもんだ、チヨツ(舌打したうち)大きな体躯なりで、きたねえ手のあかを手のひらでぐる/\んで出せばくらゐ手柄てがらになる
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
舌打したうちしたお蓮さまは、ツと立って、障子をひらいた。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
父親ちちおやは、さもうまそうに舌打したうちをしてんでいましたが、にわかにさかずきしたいて、かんがみながら
幸福のはさみ (新字新仮名) / 小川未明(著)
川内警部は、ことごとに、鼻をならしたり、舌打したうちをしたりして、針目博士はりめはくしに反抗の色をしめしていたが、第二研究室にはいるときだけは、検事にならって、しずかにはいった。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
腹立はらだたしげに、舌打したうちをしていかけると、それを持っていた三太郎猿さんたろうざるは、手をすべらして庭先にわさきやりを落としたので、十兵衛じゅうべえの方をふりかえると、ケン! と人をちゃにした奇声きせいはっしながら
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ばかなちょうだな、んでこなければいいのに……。」と、あに太郎たろうさんは舌打したうちをしました。
黒いちょうとお母さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、卜斎ぼくさい舌打したうちをして
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)