“しずか”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
75.3%
8.6%
閑静3.0%
2.6%
静寂2.6%
閑寂1.5%
幽静1.1%
0.7%
静粛0.7%
0.4%
(他:9)3.5%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その六人が六人とも、五十歳以上の老人ばかり揃っていたせいか、まだ春の浅い座敷の中は、肌寒いばかりにものしずかである。
或日の大石内蔵助 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
を置き、女郎花、清らかなる小掻巻こがいまきを持ち出で、しずかに夫人のせなに置き、手をつかえて、のち去る。
天守物語 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
麓へ着くと怪物は張をおろして、己の胸のあたりの毛を一掴み抜いてそれを張の手に握らししずかに山の上へ帰って往きました。
人蔘の精 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
道衍の峻機しゅんき険鋒けんぼうを以て、しずかに幾百年前の故紙こしに対す、縦説横説、はなはれ容易なり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そういう閑静しずかな所でもあり、何しろ大蔵大臣の邸ですから、セラに居った時分の僧侶の友達までが恐れて出て来ない。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
——夜、寝床に入りますまで、二階屋の上下うえした、客は私一人、あまり閑静しずか過ぎて寝られませんから、枕頭へ手を伸ばして……亭主の云った、袋戸棚を。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この弟宮も、しごくしずかさがではあったが、父皇の遠謀によるおいいつけと、また兄宮大塔の下にもよくその命に従って、
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「つまり、しずかであれば、人が山を見。忙しければ、人は山に見られているということなので」
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まだ宵ながら山奥の夜は静寂しずかで、ただ折りおりに峰を渡る山風が大浪の打ち寄せるように聞えるばかりであった。
木曽の旅人 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
今までは凍り着いたように静寂しずかであった町も村も、にわかに何となくさわがしくなった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
わたしは一向おもしろくなかったが、おやじは閑寂しずかでいいとかいうので、その軽井沢の大きい薄暗い部屋に四日ばかり逗留していました。
木曽の旅人 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
お浪の母が残っているばかりで至って閑寂しずかである。
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
畠を作ったり、鶏を飼ったりした八年間の田園生活、奈何どんなにそれが原の身にとって、閑散のんきで、幽静しずかで、楽しかったろう。
並木 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
土塀どべいに近く咲いた紫と、林檎りんごの根のところに蹲踞うずくまったような白とが、互に映り合て、何となくこの屋根の下を幽静しずか棲居すまいらしく見せた。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
——けれども彼の心は決して、幽林の如くしずかではなかった。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
沖はよくぎてさざなみしわもなく島山の黒き影に囲まれてそのしずかなるは深山みやまの湖水かとも思わるるばかり、足もとまで月影澄み遠浅とおあさの砂白く水底みなそこに光れり。
置土産 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「たしかに打たれました。けれど春子様、朝田は何時も静粛しずかで酒も何にも呑まないで、少しも理窟を申しませんからお互に幸福しあわせですよ。」
恋を恋する人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
『そりゃ、解っておるだろうさ。それだけになお心配なんだ……さあ乗り込んだ……ボーシュレーは、そっちへ乗れ……よし……出した……出来るだけ静粛しずかに漕ぐんだぞ』
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
坂崎しずか氏、森口多里氏など、この研究会の幹事であったが——それから、三ヶ月、毎日、上野の図書館へ通った。
死までを語る (新字新仮名) / 直木三十五(著)
その時に、私は静かに眼を開き安静しずかな気持ちで受験番号や名前も書き入れ、問題の解答を書き進めて行きました。
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
塚田巡査が喜んで帰ったあとは又寂寞しずかになった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
子供と一緒に近くにある禅宗の寺院おてらを訪ねた時、幽寂しずかな庭に添うた廻廊で節子を思い出したことを書きつけたところもあった。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
この、ものしずかなお澄が、あわただしく言葉を投げて立った、と思うと、どかどかどかと階子段はしごだんを踏立てて、かかる夜陰をはばからぬ、音が静寂間しじま湧上わきあがった。
鷭狩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
金井しずか君は哲学が職業である。
ヰタ・セクスアリス (新字新仮名) / 森鴎外(著)
しずかなうちに人を圧す声である。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
姿をしずかに、深く差俯向さしうつむき、面影やややつれたれども、さまで悪怯わるびれざる態度、おもむろに廻廊を進みて、床を上段に昇る。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
往来おうらいには掛茶屋かけちゃややら、屋台店やたいみせやらが大分だいぶできてる……。が、それは地上ちじょう人間界にんげんかいのことで、こちらの世界せかいいたって静謐しずかなものじゃ。
しずかなり、ひとり坐れば。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)