“しずか”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
75.9%
8.4%
閑静2.8%
2.4%
静寂2.4%
閑寂1.4%
1.0%
幽静1.0%
静粛0.7%
0.3%
安静0.3%
寂寞0.3%
幽寂0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
静謐0.3%
0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
朦朧もうろうと見えなくなって、国中、町中にただ一条ひとすじ、その桃の古小路ばかりが、漫々として波のしずか蒼海そうかいに、船脚をいたように見える。
絵本の春 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しかし考えて御覧なさいまし。お思い当りあそばす事がありは致しませんか。(画家こうべを垂る。令嬢はしずかに画家のかたわらより離れ去る。)
閑静しずかだから、こっちへ——といって、さも待設けてでもいたように、……疏水そすいですか、あの川が窓下をすぐに通る、離座敷へ案内をすると、蒲団ふとんを敷かせる。
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あの乗合客の中で、独り他念なく読書三昧のていだったが、そのしずかな姿には、どことなく、武人の骨ぐみが出来ている。すこしも体に隙がない。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おいそぎでなくば、少しおやすみなさらぬか。まことに静寂しずかでござりますぞ、黙っていても、清々すがすがと、よい気もちで、心が空の青さに溶けてゆくような」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
昼はそれぞれ働きに出してあるので、お浪の母が残っているばかりで至って閑寂しずかである。
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ばりっとしずかな夜気をやぶって、この三人の耳を驚かした。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
畠を作ったり、鶏を飼ったりした八年間の田園生活、奈何どんなにそれが原の身にとって、閑散のんきで、幽静しずかで、楽しかったろう。
並木 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
『そりゃ、解っておるだろうさ。それだけになお心配なんだ……さあ乗り込んだ……ボーシュレーは、そっちへ乗れ……よし……出した……出来るだけ静粛しずかに漕ぐんだぞ』
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
坂崎しずか氏、森口多里氏など、この研究会の幹事であったが——それから、三ヶ月、毎日、上野の図書館へ通った。
死までを語る (新字新仮名) / 直木三十五(著)
その時に、私は静かに眼を開き安静しずかな気持ちで受験番号や名前も書き入れ、問題の解答を書き進めて行きました。
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
塚田巡査が喜んで帰ったあとは又寂寞しずかになった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
子供と一緒に近くにある禅宗の寺院おてらを訪ねた時、幽寂しずかな庭に添うた廻廊で節子を思い出したことを書きつけたところもあった。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
独ソノ東ヲ欠ク十二。島嶼とうしょソノ間ニ星羅せいら棊布きふシ皆青松ニおおハル。潮ハ退キ浪ハしずかニシテ鴎鷺おうろ游嬉ゆうきシ、漁歌相答フ。こうトシテ画図ニ入ルガ如シ。既ニシテ舟松島ノ駅ニ達ス。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
この、ものしずかなお澄が、あわただしく言葉を投げて立った、と思うと、どかどかどかと階子段はしごだんを踏立てて、かかる夜陰をはばからぬ、音が静寂間しじま湧上わきあがった。
鷭狩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
金井しずか君は哲学が職業である。
ヰタ・セクスアリス (新字新仮名) / 森鴎外(著)
しずかなうちに人を圧す声である。さらに、本多、大久保、榊原、井伊、岡部などの諸臣がひとみをそろえて二使を見すえている。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
先達せんだつの女房に、片手、手をかれて登場。姿をしずかに、深く差俯向さしうつむき、面影やややつれたれども、さまで悪怯わるびれざる態度、おもむろに廻廊を進みて、床を上段に昇る。昇る時も、裾捌すそさばしずかなり。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
が、それは地上ちじょう人間界にんげんかいのことで、こちらの世界せかいいたって静謐しずかなものじゃ。わし一人ひとりでそなたをあのおみや案内あんないすればそれでことむので……。まァこれまでの修行場しゅぎょうば引越ひっこしと格別かくべつ相違そういもない……。
しずかなり、ひとり坐れば。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)