“淑”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
しと54.0%
しとや31.0%
しとやか3.4%
つつ3.4%
つつま2.3%
きよし1.1%
しずか1.1%
しゆく1.1%
つゝ1.1%
よし1.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
一同の話が罷業の臆測をゆるさぬ流れに不安の空気を流しているときとて、話につれてしとやかな彼女の顔もどことなく沈んでいった。
厨房日記 (新字新仮名) / 横光利一(著)
まことにしとやかな人で、道で逢うと僕などにも常にやさしく会釈を給わるのでね、僕は日頃そぞろ敬慕の情禁じ難きものがあったのだ。
メフィスト (新字新仮名) / 小山清(著)
宮はやうやうおもてを向けて、さてしとやかに起ちて、うやうやしく礼するを、唯継は世にも嬉しげなる目して受けながら、なほ飽くまでもおごたかぶるを忘れざりき。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
母も娘もふだんからつつましやかなたちであるので、あまり詳しい説明も与えなかったが、ともかくもこれだけの事をかれらの口から洩らした。
平造とお鶴 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
けれども彼女のつつましさの余り、僕の手巾ハンケチを呉れと言ふ代りに
変遷その他 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
慶応の年中中根きよし君と同じく洋書を読みし童子。駿河の沼津に於て郷校に学びし童子。江原素六氏の監督せる沼津兵学校に学びし書生。
明治文学史 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
この、ものしずかなお澄が、あわただしく言葉を投げて立った、と思うと、どかどかどかと階子段はしごだんを踏立てて、かかる夜陰をはばからぬ、音が静寂間しじま湧上わきあがった。
鷭狩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
所謂いはゆるこしの松ふうしゆく女もいく人か住むといふやうな物しづかな屋しき町でもある。
蓮葉はすは手首てくびつゝましげに、そでげてたもとけると、手巾ハンケチをはらりとる。……
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
女はただやわらかに随ひて貞信に情ふかく静なるをよしとす。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)