“しとやか”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
優容17.2%
優雅13.8%
閑雅13.8%
10.3%
優婉6.9%
静粛6.9%
温容3.4%
3.4%
温藉3.4%
3.4%
優美3.4%
温淑3.4%
温雅3.4%
穩當3.4%
艷麗3.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
縁側に手をつかえて、銀杏返いちょうがえしの小間使が優容しとやかに迎えている。後先あとさきになって勇美子の部屋に立向うと、たちまち一種身に染みるような快いかおりがした。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
妙秀はそういいながら、風炉先ふろさきのそばを離れて、武蔵と息子の前へすすみ、優雅しとやかに茶式の礼儀をした。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お秀と正反対な彼女は、くまで素直すなおに、飽くまで閑雅しとやかな態度を、絶えず彼の前に示す事を忘れないと共に、どうしてもまた彼の自由にならない点を、同様な程度でちゃんともっていた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
愛も恋も、慎しやかさもしとやかさも、その黒髪も白きはだへも。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
「賢く、優婉しとやかに、そしてなかなか教養もあるらしい」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お松は静粛しとやかに返事をしました。
……上衣コオト無しで、座敷着の上へ黒縮緬くろちりめん紋着もんつきの羽織を着て、胸へ片袖、温容しとやかつまを取る、かさねたもすそしっとりと重そうに、不断さえ、分けて今夜は、何となく、柳を杖にかせたい
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と小さな袱紗ふくさづつみをちょっと口へ、清葉は温容しとやかなものである。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼はほとんど我家に帰りきたれると見ゆる態度にて、傱々つかつかと寄りて戸をけんとしたれど、啓かざりければ、かのしとやかゆるしと謂ふ声して
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
応対のしとやかにして人馴ひとなれたる、服装みなりなどの当世風に貴族的なる、あるひ欧羅巴ヨウロッパ的女子職業に自営せる人などならずや。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
隣家の娘というはお勢よりは二ツ三ツ年層としかさで、優しく温藉しとやかで、父親が儒者のなれの果だけ有ッて、小供ながらも学問がすきこそ物の上手で出来る。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
坐舗へ這入りざまに文三と顔を見合わして莞然にっこり、チョイと会釈をして摺足すりあしでズーと火鉢のそばまで参り、温藉しとやかに坐に着く。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
横幅廣く結ひ下げて、平塵ひらぢりの細鞘、しとやかに下げ、摺皮すりかは踏皮たびに同じ色の行纏むかばき穿ちしは、何れ由緒ゆゐしよある人の公達きんだちと思はれたり。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
「ああ、しかも首席よ。出来るんだね。そうして見た処、優美しとやかで、品が良くって、愛嬌あいきょうがある。沢山ない、滅多にないんだ。高級三百顔色なし。照陽殿裏第一人だよ。あたかもよし、学校も照陽女学校さ。」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼奴等あいつら可憐いとしいヂュリエットの白玉はくぎょくつかむことも出來でくる、またひめくちびるから……その上下うへしたくちびるが、きよ温淑しとやか處女氣をぼこぎで、たがひに密接ひたふのをさへわるいことゝおもうてか
やがて中門ちゅうもんより、庭の柴折戸しおりどを静かに開けて、温雅しとやかに歩み来る女を見ると、まぎれもないその娘だ、文金ぶんきんの高島田に振袖のすそも長く、懐中から垂れている函迫はこせこの銀のくさりが、そのおぼろな雪明りに
雪の透く袖 (新字新仮名) / 鈴木鼓村(著)
見て打驚うちおどろきて居たる時におせん穩當しとやかに昌次郎に向ひ昨日一寸ちよつと御目にかゝり金子百五十兩御渡し申せし彌太八樣もう私しかまゐりし上はあらそひ給ふもえきなきこと早々金子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
纒ひて其さまいやしげなれども昔し由緒よしある者なるかたち擧動ふるまひ艷麗しとやかにて縁側へ出擂盆すりばちの手水鉢より水をすくひ手にそゝぎしは縁のはし男は手をば洗ひながら見れば娘はたぐまれなる美女にて有れば是までは女を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)