“優婉”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ゆうえん64.7%
しとやか11.8%
あでやか5.9%
いうえん5.9%
たおや5.9%
やさ5.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
嵯峨さが御室おむろ」で馴染なじみの「わたしゃ都の島原できさらぎという傾城けいせいでござんすわいな」の名文句から思い出の優婉ゆうえんな想像が全く破れる。
婚約のある情人を訪れようとして息をはずませながら、しかも優婉しとやかさを失わずにやって来たようなこの婦人を見たことは何を見たにもまさって、沈んだ思を捨吉に与えた。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
彼を綺羅な一室にとりこにしてから滅多に訪れて来ることもなく、また広い屋敷うちなので、優婉あでやかな姿を庭先に見せることも極めて稀であった。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けんらん優婉いうえんな藤原文化が現出したのでありまして、四世紀間も戰爭もなく、一つ國の人間が暮らして來たといふことは、西洋史にも、中華の歴史にもみないことですから、藤原文化といふものには
折々の記 (旧字旧仮名) / 吉川英治(著)
その肩に藤の花をになわせたら、大津絵の藤娘になりそうな——と人々はその優婉たおやかな姿が、あしたからここに見られないのを惜しんだ。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
優婉やさしいうちにも、どことなく毅然しやんとしたところが有る。斯う銀之助は考へて、奈何どう友達のことを切出したものか、と思ひつゞけて居た。間も無くお志保は奥の方から出て来た。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)