“ゆうえん”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
優婉29.7%
幽婉21.6%
幽艶10.8%
優艶8.1%
遊園5.4%
幽遠5.4%
優艷2.7%
幽燕2.7%
幽艷2.7%
幽邃2.7%
悠遠2.7%
游衍2.7%
由縁2.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
粗雑なようで優婉ゆうえんであり、ごちごちしているようで精緻を極め一度ページを開いたが最後、文字通り巻を蔽ふあたわざらしめる。
黒岩涙香のこと (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
即ち、よく歌うクライスラーや、快刀乱麻を断つのフーベルマンや、冷美幽婉ゆうえんのゴールドベルクに委ねるのになんの不思議があろう。
あ、この幽艶ゆうえん清雅な境へ、すさまじい闖入者ちんにゅうしゃ! と見ると、ぬめりとした長い面が、およそ一尺ばかり、左右へ、いぶりを振って、ひゅっひゅっと水をさばいて、真横に私たちの方へ切って来る。
半島一奇抄 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「ピアノ四重奏曲=第二番イ長調(作品二六)」はさらに優艶ゆうえんで、ビクターに入っているゼルキン(ピアノ)、ブッシュ(ヴァイオリン)、ドクトル(ヴィオラ)
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
たっぷり半マイル(一ドイツマイルは七・五キロメートル)はある遊園ゆうえんもあって、そこには大きなシカでも、小さなシカでも、ウサギでも、人のほしいと思うものは、なんでもおりました。
意匠に勁健けいけんなるあり、優柔なるあり、壮大なるあり、細繊さいせんなるあり、雅樸がぼくなるあり、婉麗えんれいなるあり、幽遠ゆうえんなるあり、平易なるあり、荘重そうちょうなるあり、軽快なるあり、奇警きけいなるあり、淡泊たんぱくなるあり
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
この世に若し人魚というものがあるならば、きっとあの女の様な優艷ゆうえんな肌を持っているに相違ない。
陰獣 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「ここには、南は南蛮、北は幽燕ゆうえんの境におよぶ所までの、相撲好きという相撲好きはお集まりのはず、従って、われと思う大力の衆も必ず中にはいようというもの」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
足をかさねて入口のドアによりかかっているすがたが、青オい電燈の灯をあび、さそうような幽艷ゆうえんさをたたえていた。
放浪作家の冒険 (新字新仮名) / 西尾正(著)
雖然けれども何んとなく物靜な、しんめりとした景色の中に、流の音が、ちよろ/\と響いてゐて、數の知れぬ螢が飛んでゐるところは實に幽邃ゆうえんであつた。
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
崇高にして悠遠ゆうえんなる山岳のあこがれを呼びさまされて、自然と、人生との、髣髴ほうふつに接触することができる。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それも、春始めの、人間らしく、或は地上のものらしく、憧憬や顫える呼吸をもった游衍ゆうえんではない。心が、深くセレーンな空気の裡に溶け入りて一体となり、それ自体透明な輝きとなってしまう。
透き徹る秋 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
妖異の所業しわざと解釈してかる伝説の由縁ゆうえんを作るべき事は疑を容れず、すなわちかかる伝説、口碑の殆ど全部が、屍体に側近する者のすくなき貧家の不幸事、もしくは屍体一個
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)