“やさ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ヤサ
語句割合
62.0%
22.3%
5.2%
容易3.1%
柔和1.4%
1.0%
0.7%
0.7%
温柔0.3%
0.3%
0.3%
優婉0.3%
平易0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
女子の特質とも言うべき柔和な穏やかな何処どこまでもやさしいところを梅子さんは十二分にもっておられる。これには貴所あなたも御同感と信ずる。
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
渡左衛門尉わたるさえもんのじょうと云う名は、今度の事に就いて知ったのだが、男にしてはやさしすぎる、色の白い顔を見覚えたのは、いつの事だかわからない。
袈裟と盛遠 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「ぼくにはずいぶんやさしいと思えますよ。あなたのお母さまが読んでいらっしゃるときに聞いていて、ぼくはたいていおぼえました」
その場合この仕事の価値は事柄をはっきりさせたという点にあるのであって、実際のところ、事柄をはっきりさせるということはそう容易やさしいことではないのである。
雑魚図譜 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
ベンヺ やれ/\、柔和やさしらしうゆるこひめが、そんなむごいことや手荒てあらいことをしますか?
ここに豐玉とよたま毘賣の命、その伺見かきまみたまひし事を知りて、うらやさしとおもほして、その御子を生み置きて白さく
何事も皆天運まはりあはせぢや、此方の了見さへ温順すなほやさしく有つて居たなら又好い事の廻つて来やうと、此様おもつて見ればのつそりに半口与るも却つて好い心持
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
さあ遠慮を捨ててかずに、老衲をば朋友ともだち同様におもうて話すがよい、とあくまでやさしき注意こころぞえ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ロミオ なに、こひ温柔やさしい? 温柔やさしいどころか、粗暴がさつ殘忍あらけなものぢゃ。荊棘いばらのやうにひとむねすわい。
マーキュ なんぢゃ、壓伏おしつける? あのこひ重荷おもにを? さりとは温柔やさしいもの慘酷むごたらしうあつかうたものぢゃ。
受けて墨摺流すりながす空のきおい夕立の雨の一しきりさらさらさっと書流せばアラ無情うたて始末にゆかぬ浮雲めがやさしき月の面影を
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
相愛あいあいしていなければ、文三に親しんでから、お勢が言葉遣いを改め起居動作たちいふるまいを変え、蓮葉はすはめて優にやさしく女性にょしょうらしく成るはずもなし、又今年の夏一夕いっせきの情話に、我からへだての関を取除とりの
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
右の手高く振上ふりあげなたには鉄をも砕くべきが気高くやさしきなさけあふるるばかりたたゆる姿、さても水々として柔かそうな裸身はだかみらば熱血もほとばしりなんを、どうまあ邪見に鬼々おにおにしくやいばむごくあてらるべき
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
優婉やさしいうちにも、どことなく毅然しやんとしたところが有る。斯う銀之助は考へて、奈何どう友達のことを切出したものか、と思ひつゞけて居た。間も無くお志保は奥の方から出て来た。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
小さい時分いくら手習をさせても記憶おぼえが悪くって、どんなに平易やさしい字も、とうとう頭へ這入はいらずじまいに、五十の今日こんにちまで生きて来た女だと思うと
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
送りけるが彼の十兵衞の娘お富お文はそろひも揃ひし容貌きりやうにて殊に姉のお文は小町こまち西施せいしはぢらうばかりの嬋妍あでやかもの加之そのうへ田舍ゐなかそだちには似氣にげもなく絲竹いとたけの道は更なり讀書よみかきつたなからずいとやさしき性質成れば傍輩はうばい女郎もいたはりて何から何まで深切しんせつ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ここに圓野まとの比賣やさしみて「同兄弟はらからの中に、姿みにくきによりて、還さゆる事、隣里ちかきさとに聞えむは、いとやさしきこと」といひて、山代の國の相樂さがらかに到りし時に、樹の枝に取りさがりて、死なむとしき。
やさがみし
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
やさしや尼となりにけり
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
溌溂はつらつたる令嬢、やさしい若奥様、四、五人づれでしゃべってゆく女学生、どこかで逢ったことのある女給、急ぎ足のダンサーなどと、どっちを向いても薔薇ばらの花園に踏みこんでいるような気がした。
流線間諜 (新字新仮名) / 海野十三(著)