“やはらか”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
44.7%
23.4%
柔軟10.6%
柔和4.3%
柔嫩2.1%
2.1%
微温2.1%
柔従2.1%
温和2.1%
絹布2.1%
2.1%
脆弱2.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
うなじからかたおもふあたり、ビクツと手応てごたへがある、ふつと、やはらかかるく、つゝんで抱込かゝへこむねへ、たをやかさと重量おもみかゝるのに、アツとおもつて、こしをつく。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あひだかれたゞの一でもやはらかなめしこゝろよくくだしたことがない、勞働者らうどうしやおほむさぼらねばならぬ強健きやうけんなる到底たうていやはらかものところではない。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
その次には柔軟やはらかな、無論引きしまつた唇、その次には中程の下にきゆつとくぼみのあるしつかりした顎、無論黒色の顎髯が要る。
承毛うけげは白く柔和やはらかに谷のおと飛ぶときも
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
敬之進のことは一時いつときもお志保の小な胸を離れないらしい。柔嫩やはらか黒眸くろひとみの底には深い憂愁うれひのひかりを帯びて、頬もあか泣腫なきはれたやうに見える。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
野に満ちた光を通して、丑松は斯の労働の光景ありさまを眺めて居ると、不図ふと倚凭よりかゝつた『藁によ』のわきを十五ばかりの一人の少年が通る。日に焼けた額と、柔嫩やはらかな目付とで、直に敬之進のせがれと知れた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
あの白壁の中にどんなやはらかい、どんなに美しい、見ただけで胸がわくわくするやうな、珍しい反物や珠玉しゆぎよくしまつてあるだらうか、それが一一手に取つて見えるやうにも感ぜられるのであつた。
夜烏 (新字旧仮名) / 平出修(著)
子あるまゝを塩引にしたるを子籠ここもりといふ、古へのすはよりといひしも是ならんか。本草にさけあぢはひうま微温やはらかどくなし、主治きゝみちうちあたゝさかんにす、多くくらへばたんおこすといへり。
二里あまりへだてたる村より十九歳のよめをむかへしに、容姿すがたにくからず生質うまれつき柔従やはらかにて、糸織いとはたわざにも怜利かしこければしうとしうとめ可愛かあいがり、夫婦ふうふの中もむつまし家内かない可祝めでたく春をむかへ
やうやく安心して、やがて話し/\行く連の二人の後姿は、と見ると其時はおよそ一町程も離れたらう。急に日があたつて、湿しめつた道路も輝き初めた。温和やはらか快暢こゝろよい朝の光は小県ちひさがたの野に満ちあふれて来た。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
いさゝか氣骨は折れるにせよ遊ぶにひとしき多人數の中にまじりて、絹布やはらかづくめに務めらるゝ華族の奉公ならば、その身の爲の行末もよく、世間の聞えも宜かるべきに、お新はいかにぞと問へば
花ごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
冬の雪はやはらかなるゆゑ人の蹈固ふみかためたるあとをゆくはやすけれど、往来ゆきゝ旅人たびゝと宿しゆくの夜大雪降ばふみかためたる一すぢの雪道雪にうづまみちをうしなふゆゑ、郊原のはらにいたりては方位はうがくをわかちがたし。
いかんとなれば冬の雪はいかほどつもりても凝凍こほりかたまることなく、脆弱やはらかなる事淤泥どろのごとし。かるがゆゑに冬の雪中はかんじきすかり穿はきみちゆく里言りげんには雪をこぐといふ。