トップ
>
柔
>
やはらか
ふりがな文庫
“
柔
(
やはらか
)” の例文
麥色の
薔薇
(
ばら
)
の花、
括
(
くくり
)
の弛んだ重い
小束
(
こたば
)
の麥色の
薔薇
(
ばら
)
の花、
柔
(
やはらか
)
くなりさうでもあり、
硬
(
かた
)
くもなりたさうである、
僞善
(
ぎぜん
)
の花よ、
無言
(
むごん
)
の花よ。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
頸
(
うなじ
)
から
肩
(
かた
)
と
思
(
おも
)
ふあたり、ビクツと
手応
(
てごたへ
)
がある、ふつと、
柔
(
やはらか
)
く
軽
(
かる
)
く、つゝんで
抱込
(
かゝへこ
)
む
胸
(
むね
)
へ、
嫋
(
たをやか
)
さと
気
(
き
)
の
重量
(
おもみ
)
が
掛
(
かゝ
)
るのに、アツと
思
(
おも
)
つて、
腰
(
こし
)
をつく。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
彼が
鴫沢
(
しぎさわ
)
の家に在りける日宮を恋ひて、その優き声と、
柔
(
やはらか
)
き手と、温き心とを得たりし彼の満足は、何等の
楽
(
たのしみ
)
をも以外に求むる事を忘れしめき。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
そのとなりの庭には、開き戸の側に、南天の木の
柔
(
やはらか
)
い葉の茂つた一と株があつて、白い粒々の花がいくつも附いてゐる。
女の子
(旧字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
熊手をあげて
我
(
わし
)
が口へ
柔
(
やはらか
)
におしあてる事たび/\也しゆゑ、
蟻
(
あり
)
の事をおもひだし
舐
(
なめ
)
てみれば
甘
(
あま
)
くてすこし
苦
(
にが
)
し。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
▼ もっと見る
月の光は夕日の反映が西の空から消え去らぬ中、早くも深夜に異らぬ光を放ち、どこからともなく漂つてくる木犀の薫が、
柔
(
やはらか
)
で冷い絹のやうに人の肌を撫る。
虫の声
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
さて深く息して聲を出すに、その力、その
柔
(
やはらか
)
さ、能くかく迄に至らんとは、みづからも初より思ひかけざる程なりき。
火伴
(
つれ
)
のものは覺えず
微
(
かすか
)
なる聲にて喝采す。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「どれ、寝るかな。」——二三時間の後、夫は
柔
(
やはらか
)
な髭を撫でながら、大儀さうに長火鉢の前を離れた。
秋
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
伯爵家の台所はかなり
贅沢
(
ぜいたく
)
なものだが、それとは打つて変つて伯自身のお
膳立
(
ぜんだて
)
は伯爵夫人のお
心添
(
こゝろぞへ
)
で滋養本位の
柔
(
やはらか
)
い物づくめなので
頓
(
とん
)
と腕の見せどころが無いさうだ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
柔
(
やはらか
)
い、弾力のあるベッドに寝てゐると、仲々寝つかれない。
太棹
(
ふとざを
)
の三味線でも聴いてゐるやうに、食用蛙が、ぽろんぽろんと雨滴のやうに何時までも二人の耳についてゐた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
何の罪なく眠れるものを、たゞ
一打
(
ひとうち
)
ととびかゝり、鋭い
爪
(
つめ
)
でその
柔
(
やはらか
)
な
身体
(
からだ
)
をちぎる、鳥は声さへよう発てぬ、こちらはそれを
嘲笑
(
あざわら
)
ひつゝ、引き裂くぢゃ。何たるあはれのことぢゃ。
二十六夜
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
それからといふものは、風早は毎朝其の橋を渡りかけると、
柔
(
やはらか
)
な微笑が頬に
上
(
のぼ
)
る。
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
それをきいて人の顔をじろじろ見ながらうなづいてた先生はもの
柔
(
やはらか
)
に
銀の匙
(新字旧仮名)
/
中勘助
(著)
うち絶えつ、またも響く
柔
(
やはらか
)
い
薫
(
かをり
)
のうちから
北原白秋氏の肖像
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
何時しらず、
柔
(
やはらか
)
かに
陰影
(
かげ
)
してぞゆく。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
この
仇無
(
あどな
)
き
娧
(
いと
)
しらしき、美き娘の
柔
(
やはらか
)
き手を携へて、人無き野道の
長閑
(
のどか
)
なるを
語
(
かたら
)
ひつつ行かば、
如何
(
いか
)
ばかり楽からんよと、彼ははや心も
空
(
そら
)
になりて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
(それでは
恁麼
(
こんな
)
ものでこすりましては
柔
(
やはらか
)
いお
肌
(
はだ
)
が
擦剥
(
すりむ
)
けませう、)といふと
手
(
て
)
が
綿
(
わた
)
のやうに
障
(
さは
)
つた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
柔
(
やはらか
)
な円みの上に、かすかなくぼみが、うすく
膚膩
(
あぶら
)
をためてゐる——その膝がわかつたのだ。
世之助の話
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
何方
(
どちち
)
かと謂へば、
落着
(
おちつ
)
ついた、
始終
(
しじう
)
柔
(
やはらか
)
な
波
(
なみ
)
の
漂
(
たゝよ
)
ツてゐる
内氣
(
うちき
)
らしい眼だ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
暑
(
あつ
)
い
時分
(
じぶん
)
ぢやが、
理屈
(
りくつ
)
をいふと
恁
(
か
)
うではあるまい、
私
(
わし
)
の
血
(
ち
)
が
湧
(
わ
)
いたせいか、
婦人
(
をんな
)
の
温気
(
ぬくみ
)
か、
手
(
て
)
で
洗
(
あら
)
つてくれる
水
(
みづ
)
が
可
(
いゝ
)
工合
(
ぐあひ
)
に
身
(
み
)
に
染
(
し
)
みる、
尤
(
もツと
)
も
質
(
たち
)
の
佳
(
い
)
い
水
(
みづ
)
は
柔
(
やはらか
)
ぢやさうな。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
なまじひに、くどく、すすめるよりは、自分で
啜
(
すす
)
つて見せる方がいいと思つたからである。所が、まだ茶碗が、
柔
(
やはらか
)
な口髭にとどかない中に、婦人の
語
(
ことば
)
は、突然、先生の耳をおびやかした。
手巾
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
あ、
痛
(
いた
)
! さう強く
撞
(
つ
)
くから毎々球が
滾
(
ころ
)
げ出すのだ。風早の球は
暴
(
あら
)
いから
癇癪玉
(
かんしやくだま
)
と謂ふのだし、遊佐のは馬鹿に
柔
(
やはらか
)
いから
蒟蒻玉
(
こんにやくだま
)
。それで、二人の撞くところは
電公
(
かみなり
)
と
蚊帳
(
かや
)
が
捫択
(
もんちやく
)
してゐるやうなものだ
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
といつて
手先
(
てさき
)
へ
柔
(
やはらか
)
な
掌
(
てのひら
)
が
障
(
さは
)
ると
第一番
(
だいいちばん
)
に
次作兄
(
じさくあに
)
いといふ
若
(
わか
)
いのゝ(りやうまちす)が
全快
(
ぜんくわい
)
、お
苦
(
くる
)
しさうなといつて
腹
(
はら
)
をさすつて
遣
(
や
)
ると
水
(
みづ
)
あたりの
差込
(
さしこみ
)
の
留
(
と
)
まつたのがある
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
首
(
くび
)
を
締
(
し
)
めて
殺
(
ころ
)
さば
殺
(
ころ
)
せで、
這出
(
はひだ
)
すやうに
頭
(
あたま
)
を
突附
(
つきつ
)
けると、
真黒
(
まつくろ
)
に
成
(
な
)
つて
小山
(
こやま
)
のやうな
機関車
(
きくわんしや
)
が、づゝづと
天窓
(
あたま
)
の
上
(
うへ
)
を
曳
(
ひ
)
いて
通
(
とほ
)
ると、
柔
(
やはらか
)
いものが
乗
(
の
)
つたやうな
気持
(
きもち
)
で、
胸
(
むね
)
がふわ/\と
浮上
(
うきあが
)
つて
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と
本章
(
ほんしやう
)
に
書
(
か
)
いてある、
字
(
じ
)
は
硬
(
かた
)
いが、もの
柔
(
やはらか
)
にあはれである。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
雪枝
(
ゆきえ
)
は
身
(
み
)
を
絞
(
しぼ
)
つて
湧出
(
わきいづ
)
るやうに、
熱
(
あつ
)
い、
柔
(
やはらか
)
い
涙
(
なみだ
)
が
流
(
なが
)
れた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
柔
常用漢字
中学
部首:⽊
9画
“柔”を含む語句
柔和
柔軟
温柔
柔弱
物柔
柔順
柔術
柔媚
柔々
柔肌
柔道
優柔
柔婉
手柔
柔嫩
柔輭
柔毛
柔手
御柔軟
柔情
...