“柔軟”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
やわらか20.0%
じゅうなん17.1%
やはらか14.3%
しなやか8.6%
やはら8.6%
しなや5.7%
にゅうなん5.7%
かよわ2.9%
しな2.9%
じうなん2.9%
じゆうなん2.9%
ものやわらか2.9%
やわら2.9%
ナド2.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
家内は一人ずつ寝巻に着えさせた。下女はまた、人形でも抱くようにして、柔軟やわらかなお繁のほおへ自分の紅い頬を押宛てていた。
芽生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
なおその上にもう一つ、彼の詩的人生観に一層の深まりや柔軟じゅうなん屈折くっせつあたえたものとして、彼の生れや育ちの事情も忘れてはなりますまい。
「はつ恋」解説 (新字新仮名) / 神西清(著)
吾は猶五形を殖やすべし、五形の枕は最も柔軟やはらかに頭ざはり善しと君ののたまひしかば。汝も金仙花をへらして蒲公英を増しては如何に。
花枕 (旧字旧仮名) / 正岡子規(著)
彼は松の若木のようにたけ高く柔軟しなやかで、皮膚は女の胸のように白く、眼は烈しく輝く青色で、その中に太陽の光のような白い光が宿っていた。
五月が過ぎ、六月が来て私らの皮膚に柔軟やはらかなネルのにほひがやや熱く感じられるころとなれば、西洋料理店レストラントの白いテエブルクロスの上にも紫の釣鐘草と苦い珈琲の時季が来る。
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
さうして時々その古い一絃の古琴のうへに疲れたる汝の柔軟しなやかな白い手をさしのべよ。
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「憐みのおん母、おん身におん礼をなし奉る。流人るにんとなれるえわの子供、おん身に叫びをなし奉る。あわれこの涙の谷に、柔軟にゅうなんのおん眼をめぐらさせ給え。あんめい。」
おぎん (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
庭の草木も濡れて復活いきかえった。毎日々々のあつさで、柔軟かよわ鳳仙花ほうせんかなぞは竹の垣のもとに長い葉を垂れて、紅く咲いた花も死んだように成っていたが、これも雨が来て力を得た。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
きぬ柔軟しなしたうすいかわつけて
まざあ・ぐうす (新字新仮名) / 作者不詳(著)
今日こんにちこれ復興ふくこうするをべし、而してその復興ふくこうはうたるや、安楽椅子あんらくいすかゝり、或は柔軟じうなんなる膝褥しつぢよくうへひざまづ如何程いかほど祈祷きたう叫号きうごうするも無益むえきなり
問答二三 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
おゝ、その優しさ! それは威力ゐりよくに比べてどれ程大きな力があることか! 私にはセント・ジョンの怒りを拒絶することは出來た。だが、彼の優しさの下には私はあしのやうに柔軟じゆうなんになつてしまつた。
それでいて何処か図太そうな柔軟ものやわらかさで、巧みな弁舌を弄んで行くけれども、容貌は羅漢宛らの醜怪な相で、しかも人参色の皮膚をしている——その対照が非度く不気味なのだった。
後光殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
彼は誰とも親しくなれる質の柔軟やわらかな心をもつてゐた。
老苦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
だから其すは極めて微量な敬意を示し、話しクチ柔軟ナドやかなことの為に遣つてゐるやうにさへ見えるが、而もすは丁寧法即対話敬語となりきつてゐる訣ではない。
「さうや さかいに」 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)