“しな”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:シナ
語句割合
支那22.2%
21.3%
17.1%
11.1%
嬌態5.5%
姿態4.6%
3.5%
1.4%
1.3%
1.3%
1.2%
媚態1.0%
0.9%
仕馴0.7%
0.6%
形容0.4%
0.4%
仕做0.3%
品物0.3%
0.3%
0.3%
為無0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
乾干0.1%
仕無0.1%
做直0.1%
0.1%
品格0.1%
商品0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
容子0.1%
差別0.1%
態度0.1%
0.1%
柔軟0.1%
為失0.1%
為慣0.1%
為馴0.1%
物品0.1%
種類0.1%
0.1%
0.1%
身振0.1%
0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
日本にほん化物ばけもの貧弱ひんじやくなのにたいして、支那しなるとまつたことなる、支那しなはあのとほ尨大ぼうだいくにであつて、西にしには崑崙雪山こんろんせつざん諸峰しよぼう際涯はてしなくつらな
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
「やってよけりゃあ、わたしがやるよ。……そんなことをした日にゃあ、店のしなもんが安っぽくなってしょうがないじゃあないか。」
水菓子屋の要吉 (新字新仮名) / 木内高音(著)
多くの草花がへとへとにしなびかかつてゐる灼熱しやくねつの真つ昼間を、瞬きもせず澄みきつた眼を開いて、太陽を見つめてゐるのはこの花です。
石竹 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
すぐ眼の前に藪がかぶさっていて、雪でしなった枝葉のあいだから、細い笹の幹がぼんやりと見え、つい鼻のさきで、新らしい雪が匂った。
ちょうど女の歩きつきの形のままに脱いだ跡が可愛かわいらしく嬌態しなをしている。それを見ると私はたちまち何ともいえない嫉妬しっとを感じた。
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
忠一といふ、今度尋常科の三年に進んだ校長の長男が、用もないのに怖々おづ/\しながら入つて來て、甘える樣な姿態しなをして健の卓に倚掛つた。
足跡 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
てる (やゝ、恥ぢらふやうなしなを作つて)もう、それは、伺はなくつても、わかつてをります……。(袖で顔を覆つて泣く)
秘密の代償 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
『歯がけて演説の時に声がれて困まる』と、此頃口癖のように云うとおり、口のあたりが淋しくしなびているのが、急に眼に付くように思った。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
晃 死ね、死ね、死ね、民のためにきさま死ね。見事に死んだら、俺も死んで、それから百合を渡してやる。死ね、しなないか。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かれはさうでなくてもかつてはき/\とくちいたこともなく、殊更ことさら勘次かんじたいしてはしなびたかほ筋肉きんにくさらしがめてるので
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
なかでも、長身なあなたが、若い鹿しかのように、しなやかな、ひきしまった肉体を、リズミカルにゆさぶっているのが、次の一廻り中、眼にちらついています。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
お吉は八五郎の枕元へ、浮世繪うきよゑの遊女のやうに、ペタリと坐り乍ら、片手はもうその夜具の襟に掛つて、精一杯の媚態しなを作り乍らゆすぶつて居りました。
本より末に至るに随ひ漸く其間しゞまり、竹の育ちすらりとして捩れも無く癖も無く、特に穂竿のかたからず弱からずしてしなやかに能く耐ふる力の八方に同じきなど
鼠頭魚釣り (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
が、彼はだいいだろう、未だいいだろうと思いながら一日延ばしのように、自分の仕馴しなれた喝采をるにきまった狂言から、脱け出そうと云う気を起さなかったのである。
藤十郎の恋 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
アラブ馬のもっともむべき特性は、その動作のしなやかな点で、他にこれよりも美麗駿速な馬種なきにあらざるも、かくまで優雅軽捷けいしょう画のごとく動く馬なし。
髷も女優卷でなく、わざとつい通りの束髮で、薄化粧の淡洒あつさりした意氣造。形容しなに合はせて、煙草入も、好みで持つた氣組の婀娜あだ
渠等は、すっと来て通りしなに、従七位の神官の姿を見て、黙って、言い合せたように、音の無い草鞋をめた。
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
悪い請求たのみをさえすらりといてくれし上、胸にわだかまりなくさっぱりと平日つねのごとく仕做しなされては、清吉かえって心羞うらはずかしく、どうやら魂魄たましいの底の方がむずがゆいように覚えられ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
『盗み出そうって品物しなはどこにあるんだい?』
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
そのしなやかな身を飜して忽ち車上の人となつたが、つと上半身を出したかと思ふと
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
老女が去ったので、浪路は、ぐっとしなを変えていた。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
宮沢の城へ寄せたが、もとより政宗の兵力宮沢の城の攻潰せめつぶせぬことは無いに関らず、人目ばかりに鉄砲を打つ位の事しか為無しなかった。宮沢の城将岩崎隠岐は後に政宗に降った。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
外は漸くぽかぽかする風に、軽く砂がたって、いつの間にか芽ぐんで来た柳条やなぎのえだが、たおやかにしなっていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
それから帰りしなにその非人の処を通りかかりましたが、酔うたマギレの上機嫌で
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ましてやしなへ起き伏すれいの野のべ
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
仲仕切の暖簾のれんに、人影が、そぼ降る雨に陰気にすと、そこへ、額の抜上った、見上皺みあげじわを深く刻んだ、頬のげっそりこけた、ばさばさ乾干しなびた、色の悪いおんな
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
保雄が毎げつ生活くらしに困る様な事も無からうが、新体詩はう買つて呉れる所も無いから保雄の方でも自分から進んで売らうとは仕無しない、たまたま雑誌社からでも頼まれゝば書くが
執達吏 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
文三は狼狽あわてて告別わかれの挨拶を做直しなおして匇々そこそこ戸外おもてへ立出で、ホッと一息溜息ためいきいた。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
彼女は、猫のようなしなやかさで動いてゆき、身を差し伸べるときには藻草のような髪が垂れ、それが岩礁の中で、果物の中の葉のように蒼々あおあおと見えた。
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
今しも書生の門前をうはさして過ぎしは、此のひとの上にやあらん、むらさき単衣ひとへに赤味帯びたる髪房々ふさ/\と垂らしたる十五六とも見ゆるは、いもとならん、れど何処いづこともなく品格しないたくくだりて
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
そのまた女商人がそれを持つてこのソロチンツイの定期市ヤールマルカへやつて来たちふ訳だが、それ以来、その女商人の商品しながさつぱりけなくなつてしまつただよ。
ところが、その矢先——焔の尽きたうずみびが弓のようにしなだれて、燐寸マッチが指頭から放たれた。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
今はへ難くて声も立ちぬべきに、始めて人目あるをさとりてしなしたりと思ひたれど、所為無せんなくハンカチイフをきびしく目にてたり。静緒の驚駭おどろきは謂ふばかり無く
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
『若菜集』におけるあのしなやかな曲線的表現は、「常盤樹」に来て、非常に直線的な格調をもちはじめた。用語も、和文脈から漢詩の様式を思い浮ばせる形式に推移して来る。
藤村の文学にうつる自然 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
とお雪が言うと、娘は神経質らしい容子しなをして、やがてキマリが悪そうに出て行った。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
殺すわけあらば娘にあはした上なれば十兵衞殿への土産みやげも有るにお前もお前頼まるゝ事にも差別しなあるものを罪もうらみもなきわし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「だあれ。」娘はあまえるやうな態度しなをした。
脂肪の多い生白いからだやしなやかな人柄ではあるが、怒りも喜びもそをつと秘密にしてをくやうな陰性な極端に悪く云へば男妾的な性格をあまり好いてはゐなかつた。
二人の男 (新字旧仮名) / 島田清次郎(著)
きぬ柔軟しなしたうすいかわつけて
まざあ・ぐうす (新字新仮名) / 作者不詳(著)
為失しなしたりと貫一はひそか術無じゆつなこぶしを握れり。満枝はなほも言足らで
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
手術の始まったその時から、それの終ったこの今まで、三人のとった行動は、恐ろしいほど冷静で、ちょうど為慣しなれた組織立った仕事を、法則通りにやる人の、無感激さえ感じられた。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「いや。あれは只己にさう思はれるのだ。」かう云つて、セルギウスは居間の隅へ歩いて往つた。そこには祈祷をする台が据ゑてある。セルギウスはいつも為馴しなれてゐる儀式通りに膝を衝いた。
彼女は先ず正に沐浴して、其天然の麗質玉の如きを磨くにも左の物品しなを要するなり、曰
当世女装一斑 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
誠実は往々にして人を破却にふ、破却もとよりにくむべし、然れども破却の中に誠実あり、人死して誠実残る、愛の妙相は之なり、「真玉白玉、種類しなあれど、愛にふべき物はなし」
しな照る 片岡山かたをかやまに いひて こやせる 旅人たびとあはれ 親無おやなしに なれりけめや 剌竹さすたけの きみはやき いひて こやせる 旅人たびとあはれ
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
それともはやし雜木ざふきはまだ持前もちまへさわぎをめないで、路傍みちばたこずゑがずつとしなつておしなうへからそれをのぞかうとすると、うしろからも/\はやしこずゑが一せいくびす。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
何でもしきりに身振しなをしている。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
柔い黒羅紗くろらしゃ外套がいとう色沢いろつや、聞きれるようなしなやかな編上げの靴の音なぞはいかに彼の好奇心をそそったろう。何時の間にか彼も良家の子弟の風俗を学んだ。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)